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「遠くない将来、安倍時代を懐かしく思う日が来る」海外メディアが安倍元首相の死を惜しむワケ

2022-09-29 07:50:49 | 日本
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「遠くない将来、安倍時代を懐かしく思う日が来る」海外メディアが安倍元首相の死を惜しむワケ

憲政史上最長の8年8カ月にわたり、総理大臣を務めた安倍晋三氏の功績とは何か。評論家の八幡和郎さんは「アメリカの民主党、共和党の両方と良好な関係を築いたのは安倍さんが初めてだろう。日本のマスコミが批判したトランプ大統領とのゴルフ外交も、世界からは賛辞されている」という――。 

安倍氏を警戒していたアメリカのリベラル勢力  民主党政権が崩壊後、2012年の総選挙で政権の座に返り咲いた安倍晋三首相が総裁選挙を通じて訴えたのは、「戦後レジームからの脱却」でした。

  戦後70年を迎えるにあたって、敗戦国としてのさまざまな制約のなかで組み立てられた国家意識とか国家体制を、21世紀にあって自立的なものとして立て直すという意図だったと思います。

その考え方は理解できるのですが、そういう考え方を本気で推し進めると、アメリカ、とくにリベラルなオバマ政権との関係は大丈夫かと心配でした。

  当時の大統領はリベラルなバラク・オバマ氏です。日本の自称リベラルの人たちから「安倍晋三はリビジョニスト(修正主義者)」「危険なナショナリスト」と告げ口を吹き込まれたアメリカのリベラル勢力には安倍新首相に対する警戒感がありました。  

アメリカのリベラルと日本の自称リベラルはまったく違う思想です。たとえば、中国の人権侵害に対してアメリカではリベラルな人たちほど厳しく、保守派のほうが中国との実利的な関係重視で、あまりうるさく言わないほどです。

 ■欧米のマスコミには日本が歪んで見えている  ただ、朝日新聞とニューヨーク・タイムズの古くからの提携などもあって、アメリカのリベラル系マスコミは日本について、反米容共勢力の立場に立った記事を書いたりします。しかも、それが場合によっては、日本人記者(スタッフ)やもっとひどい場合には半島系などの記者(スタッフ)だったりする、といわれる有り様です。 

 欧米では先祖がどこから来たとかいうのは、プライバシーとして隠すことではありませんが、日本では隠します。ですから、移民系の言論人がそれを隠したまま、母国寄りの言動をしても背景を考慮されることなく日本の言論空間を歪めることができるのですが、このことは、日本の国際的地位をひどく傷つけています。 

 また、欧米の主要マスコミが代表的な日本の知識人として重用する人のなかに、共産党の機関紙の常連などがいますが、日本以外の国ではそんな人を国を代表する論者の意見として紹介するなど絶対にあり得ないのです。

 各国首脳と信頼関係を築き、評価は好転  しかし、安倍さんはオーストラリアのアボット首相やインドのモディ首相、トルコのエルドアン大統領などとも強い信頼関係を築き、中国の習近平主席や韓国の朴槿恵大統領の浅はかな反日姿勢にも粘り強く日本の立場を説明してきました。 

 さらに女性活用への目に見えた支援などを行い、アメリカのリベラルからの安倍さんへの好意的な評価は定着してきたのです。  それは、2015年4月のアメリカ議会での演説と、同年8月の「戦後70年談話」において、戦後体制の成果を前向きに評価し、戦前への反省も十分にしつつも、明治以来の近代日本の歩みへの正当な評価を求めるというバランスのとれた歴史観に結実しました。

  そして安全保障分野では、アメリカや他の友好諸国に対する責任を果たすための象徴的な課題が、集団的安全保障に参加するための体制整備だったと思います。  

もともと、私は安倍さんについてあまり評価していなかったのです。そのことから、私はもともとリベラルといわれていたのが、保守化したといわれることもありますが、私自身の考え方はほとんど変わっていません。 

あるのは、安倍政権の政治がリベラルな視点からも評価できるものになったのと、野党がひどく左傾化し現実主義的性格を失ったこと、あと中国・韓国・北朝鮮の反日路線の強化、中国の覇権主義、北朝鮮の核開発に対応する必要があることの三つの変化です。

 ■リベラルの王道、ケネディ家とケリー家との交流  それに、安倍さんの外交能力そのものが非常に上がったのです。それは、諸外国首脳との強い信頼関係を築いたことでも証明されました。 

 また、東京オリンピック招致を決めた2013年9月のブエノスアイレスのIOC(国際オリンピック委員会)総会での演説や、2015年4月のアメリカ議会での演説など、安倍さんの英語による演説は非常に素晴らしいもので、海外から高い評価を得ることに成功するのです。 

 2015年の訪米で一番印象的だったのは、ワシントンD.C.の前にボストンへ行って、ジョン・ケリー国務長官私邸でキャロライン・ケネディ駐日大使を交えて食事をしたことで、これは実はたいへんなことなのです。 

 なぜかというと、ボストンのあるマサチューセッツ州という地、そしてケネディ家、ケリー家というのはアメリカのリベラルの王道だからです。  

ボストンにあるケリー家で、しかもジョン・F・ケネディ大統領の娘と一緒に食事をするということは、アメリカのリベラルが安倍さんを歴史修正主義者だとか、あるいはウルトラナショナリストなどではないということを認めたことを意味するわけです。

 巧みな演説で戦前の日本をポジティブに発信  本来なら、アメリカ留学経験があって英語もペラペラ、しかも「友愛」などという看板をかけていることでもわかる通り、メンバーかどうかは知りませんが、フリーメイソンにも近そうな民主党の鳩山由紀夫さんが首相になったとき、アメリカとの関係がさらに良くなると期待しましたが、惨憺(さんたん)たる結果となりました。

それと比べての安倍さんの成功は本当に素晴らしいものです。  アメリカ議会での安倍さんの演説は、戦争については日本が失敗したことは認めつつ、全面的に日本ばかりが悪いというトーンではありませんでした。

しかも、その反省点は満州事変以降のことにほぼ限られていて、日露戦争での勝利を含め、戦前の日本というものをむしろポジティブに評価するべきだというメッセージを巧みに盛り込んでいました。 

 これはアメリカのリベラルを納得させて、かつ保守派も怒らせない素晴らしい内容でした。日本の主な保守派も「まぁこれならいいだろう」と認めざるを得ないものです。さらに、それに続く「70年談話」で完成させたと思います。

 ■慰安婦問題の日韓合意ではアメリカがサポート  トランプ大統領と最初から良い関係が築けたのは、自民党が伝統的に良い関係の共和党政権ということで当たり前といえば当たり前ですが、民主党と共和党の両方とうまくやった日本の首相、なかでもとくに民主党とうまくやった首相というのは、安倍さん以外にかつていません。  

2015年に日韓で結ばれた慰安婦問題の日韓合意にしても、これはアメリカの強い支持のもとで行われたものです。その後に就任した韓国の文在寅大統領は、国内世論に押されて慰安婦の名誉回復を日本に求める意思を示しましたが、もし韓国側から合意破棄ということになれば、アメリカは韓国に対して厳しい対応を行ったことでしょう。 

 日韓合意については、そもそも甘かったという人もいますが、アメリカのリベラル派政権も巻き込むとすればあのあたりの着地で仕方なかったと思いますし、そうして彼らを巻き込んでおいたからこそ、ワシントンが噛んだ形で後ろから撃たれる心配が少ないのです。

 いまも語られるオバマ大統領の広島訪問  オバマ大統領は、安倍氏暗殺の報に接したときに、Twitterで、「広島と真珠湾を一緒に訪れた感動的な経験を忘れない」と書き込みました。

これについて、キャサリン・ケネディ元駐日米国大使も、安倍元首相がオバマ大統領(大使の在任当時)の広島訪問に尽力したことについて「日米関係における歴史的瞬間」だったといっています。 

 アメリカでは今も、原爆投下について肯定的意見が多いので、高官の広島訪問は難しく、日米関係にとって棘になっていました。それを、伊勢志摩サミットの帰途に上手な形で実現できたことはたいへんなことでした。 

 岩国基地にまず飛び、そこで、米軍兵士と自衛隊隊員の前で演説し、それから広島入りするとしたのも、苦心の演出でした。また、安倍さんも任期満了直前のオバマ大統領とともに、大統領の出身地であるハワイでともに真珠湾を訪問したのも、相手に配慮した最高の気遣いでした。

 ■トランプ大統領とは「ケミストリーが合う」  ドナルド・トランプが2016年の大統領選挙で勝利したことは、世界はほとんど予知できず、驚天動地の出来事でした。

日本でも外務本省は、その可能性はないとして対策をあまり打ってなかったといわれますが、駐米大使館は、人脈づくりなど手を抜かずにしていて、それが生きたと聞いています。 

 そして、当選直後の11月に、訪米した安倍さんは、破天荒にもニューヨークのトランプ・タワーにトランプ大統領を訪ね、両者は「ケミストリーが合う」と意気投合しました。前政権がまだ続いているにもかかわらず、次期大統領と会談するというのは異例ですが、オバマ大統領の機嫌を損じないように根回しし、上記の真珠湾訪問でオバマ大統領に花を持たせています。 

 両者は、オバマ大統領が離任後、トランプ大統領が訪日したときにも一緒に食事などしており、良い関係が続いていました。トランプという人は、そういう、相手が自分と波長が合う相手かどうかをとても大事にします。

 マスコミが批判したゴルフ外交の本当の価値  トランプさんと安倍さんは、しばしば、ゴルフをしました。日本では外国首脳とゴルフなどすると、だいたい良くいわれません。

安倍さんの祖父の岸信介さんが、アイゼンハワー大統領とゴルフをしたときも、日本のマスコミは批判的に書き、嘲笑したものです。  トランプさんは、ビジネスマンとして、細かい話より、ゴルフなどしなから、相手がどこまで本気なのかとか、信用できるかとかを推し量りながら仕事をしてきた人ですから、こういう付き合いはとてもいいのです。 

 ただ、岸信介元首相も、マスコミも見ているなかで第1打を打つときには、人生でもまれなほど緊張したそうですし、安倍さんも同じだったそうです。

  トランプ大統領が来日したときには、徹底的にトランプ大統領の趣味に合わせた接待で、喜ばせました。とくに、枡席を改造までして行われた大相撲見物で、観衆からも暖かく熱狂的な歓迎を受けたことは大統領を喜ばせました。

 ■「トランプ大統領の制御に最も成功した指導者」  このトランプとの良い関係について、安倍さんが退陣したとき、あるいは、亡くなったときに多くの賛辞が寄せられました。  メルケル首相が、「安倍首相は常に多国間主義に向けて努力してきた。

日独間の距離にかかわらず、両国は基本的価値を共有していることを示した」としているのは、こうしたことを評価したものです。  フィナンシャル・タイムズ紙は、「日本の外交政策に『ルールに基づく世界経済秩序の擁護者』という新たな役割を持ち込み、法の支配へのコミットメントを共有するアジアでの連携を追求した」としました。

  米紙ワシントン・ポストの外交・安保専門コラムニスト、デビッド・イグナチウス氏がコラムで安倍さんを次のように賞賛しました。  

「安倍首相はトランプ大統領の変則的な行動を制御することにかけて、世界で最も成功した指導者で、日米に利益となる合理的な政策のため、絶妙にトランプ大統領を言いくるめた」 「日本の対米貿易黒字を批判して防衛費分担金増額の圧力を加えても、結局は安倍首相が要求する通りにしていた」 「安倍首相は在日米軍基地なしに太平洋を守ることがどれだけ高くつくか、トランプ大統領に想起させながらも、米国の若者たちが日本を守るために命を懸けていることに感謝していると説得した」 「トランプ大統領の在韓米軍撤退を引き止めることができた」

 「顔の見えない日本」の地位を引き上げた  さらに、マイケル・オースリン(スタンフォード大学フーバー研究所)が、Foreign Policy Magazineに書いてニューズウィーク日本版(電子版)に転載された「安倍晋三は『顔の見えない日本』の地位を引き上げた」という記事では次のような記述があります。

  「アメリカが安定した日本に慣れ過ぎてしまった今、今後は嬉しくない驚きが待っているかもしれない。

米政府は過去10年近く、日本の指導者が日米同盟に完全に忠実で、国会でも多数の支持を得られて、世界第3位の経済大国にふさわしい役割を果たすかどうか、心配する必要がなかった。

遠くない将来、アメリカと同盟国はそんな安倍時代を懐かしく思う日が来るかもしれない」  日米関係が良かったといったら、小泉・ブッシュ氏時代をあげる人もいます。

たしかにそうなのですが、あのときは、ひどい対米追従の結果でした。最も評価されたのが、世界で評判の悪かったイラク戦争を真っ先に無条件に支持したことでした。 

 ウクライナ侵攻について、ロシアを非難すると、あのイラク戦争のアメリカとどこが違うと反論が出るなど、世界を良くしたとは思えない戦争でした。

  それも含めて、小泉外交は、アメリカとは良好でも、世界のほかの国からはまったく評価されないものでした。それに対して、安倍外交は、ほかの国からも評価されました。

 ■「シンゾーを困らせたくない」という鶴の一声  ヨーロッパなどの論調を見ても、安倍さんがトランプ大統領と無駄な対立はせずに、訪日の際などには思いっきり持ち上げ、気まぐれからくる問題の被害を最小限に留めているのは賢いと評価されています。

また、中国とどちらが同盟国として大事かというのが議論にならなくなったのもうれしいことです。  

さまざまな方面でのトランプの強硬策は、長期的にはアメリカの信用を傷付けマイナスになる可能性もありましたが、短期的には世界最強のアメリカが力を振り回せば、世界各国はひれ伏すしかありませんでした。そういうなかで、日本やフランスのように、首脳がトランプと良好な関係にある国は、そうでない国に比べればやはり加減してくれています。 

 日本についても、市場の閉鎖性や対日貿易赤字を批判しつつも、「シンゾーを困らせたくない」ということでだいぶ“お手柔らか”で済んでいたのは間違いありません。 

 また、トランプ大統領との付き合い方に苦慮したヨーロッパはもちろん、習近平やプーチンなど各国首脳も、安倍さんから知恵を借りる場面が多かったのも特筆ものでした。


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