MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『岬の兄妹』

2019-05-14 00:56:12 | goo映画レビュー

原題:『岬の兄妹』
監督:片山慎三
脚本:片山慎三
撮影:池田直矢/春木康輔
出演:松浦祐也/和田光沙/北山雅康/岩谷健司/中村祐太郎/ナガセケイ/時任亜弓/風祭ゆき
2018年/日本

倒錯不足のロマンポルノについて

 なかなか理解しにくい物語だった。最初は仕事を解雇され、ガスや電気が止められ、お金に困った主人公の道原良夫がお金を稼ぐために実の妹で自閉症の真理子に売春をさせることは、例えば本作に特別出演している風祭ゆきが主演した『妻たちの性体験 夫の眼の前で、今…』(小沼勝監督 1980年)のように妹の性行為を見て興奮する性倒錯者なのかと思ったが、ラストで良夫に元の職場で欠員が出たから戻ってきて欲しいと頼みに来た良夫の上司に色目を使った真理子に「誰でもいいのか!」と良夫が激怒したところを見ると、そのような性倒錯者ではなさそうである。性倒錯者であるならば自分と身近な人物と妹が行為に及んだ方が興奮するからである。
 ラストシーンのオチもよく分からない。再び家出をしてしまった真理子を探す良夫は、海辺に佇んでいる真理子を見つける。真理子に近づくと良夫の携帯電話が鳴り、その呼び出し音を聞いた真理子が良夫の方を振り向いて不敵な笑みを浮かべるのである。このシーンの意味は、当初は生活が困窮しているために仕方がなく体を売っていた真理子が、セックス目的で体を売るようになるという暗示であり、つまり目的と手段が入れ替わっているということなのだが、そもそも真理子はセックスが嫌いではないのだから、ここのオチは弱いのである。
 本作は著名人たちにかなり評価されているようなのだが、これくらいのロマンポルノならば過去にたくさん制作されていたとは思う。しかし例えば、真理子が正常位から騎乗位に変わる短い間に、相手の男性が3人入れ替わるシーンや、高校生に襲撃された際の良夫の起死回生の「荒技」など演出は悪くはない。


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