原題:『渇き。』
監督:中島哲也
脚本:中島哲也/門間宣裕/唯野未歩子
撮影:阿藤正一
出演:役所広司/小松菜奈/清水尋也/妻夫木聡/オダギリジョー/中谷美紀
2014年/日本
父親vs.娘「ラウンド2」
本作を観終わって思い出したことは、同監督によって撮られた『嫌われ松子の一生』(2006年)だった。主人公の川尻松子は父親の川尻恒造に自分を認めてもらえなかったことで人生を迷走してしまうのであるが、本作は逆に父親で元刑事の藤島昭和が娘の加奈子の言動に翻弄されるという対照的な描かれ方をしているからである。
ポップな作風としては変わらないものの、『嫌われ松子の一生』がポップ過ぎて現実からの逃避に終わってしまったような印象で、本作はポップにでも描かなければとても正視出来るような物語でないことが違いとして挙げられるであろうが、本作も結局、中途半端な結末に終わってしまった印象は払拭できない。しかしそれがまさにタイトル通りに観客に強いる「渇き」であるならば、それは肯うしかないであろう。