MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『就職戦線異状なし』

2015-10-01 20:45:00 | goo映画レビュー

原題:『就職戦線異状なし』
監督:金子修介
脚本:金子修介/福田卓郎
撮影:高間賢治
出演:織田裕二/的場浩司/和久井映見/坂上忍/羽田美智子/仙道敦子/本田博太郎
1991年/日本

「魔法の絨毯」の謎について

 1990年代のバブル景気を反映した作品なのではあろうが、その描写が正確なものかどうかは当事者でなければ分からない。唯一の見どころはオチも含めた一連のタクシーネタぐらいであろうが、撮影協力が得られなかったためなのか「N放送協会」の面接シーンには制作者の悪意が感じられる。
 主人公の大原健雄と同級生の甲斐毬子のある会話が気になる。毬子が小さい頃に読んだ、若者が姫を盗賊から救い出す「魔法の絨毯」の話から「恋人の部屋には自分が選んだ絨毯をひいてもらう」「私を助けてくれる王子様には魔法の絨毯を持っていて欲しい」と気持ちを吐露すると、健雄は「夏はどうするの?」と問い、毬子は「言って損した」と言うのである。おそらく理想を語る毬子に対して現実を突き付ける健雄のギャップが面白いのであろうが、正確を期すならばこの会話がギャグとして成り立つ条件として、絨毯は冬にしか敷かないという前提がなければならないと思う。脚本には金子修介と福田卓郎の他に坂元裕二も協力しているので気がつかないわけはないと思うのだが。


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