MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『人類資金』

2013-10-21 22:56:26 | goo映画レビュー

原題:『人類資金』
監督:阪本順治
脚本:阪本順治/福井晴敏
撮影:笠松則通
出演:佐藤浩市/香取慎吾/森山未來/観月ありさ/石橋蓮司/仲代達矢/ヴィンセント・ギャロ
2013年/日本

アクションシーンの違和感について

 この際、同時進行で小説も書かれており、ストーリーの余計な詮索は野暮となるからとりあえず止めておき、本物のアメリカのニューヨークの国連本部を使用しているなどロケーションは悪くはないのであるが、いちいち画面に引っかかるものを感じるのはアクションシーンである。例えば、最初に石優樹に言われて真舟雄一が訪れた御徒町の建物内において、高遠美由紀が率いる部下の男たちに襲われる。石優樹の反撃で一度は男たちから逃れるものの、再び別の男に真舟と石が襲われるのであるが、何故かその間に高遠美由紀たちが加勢することはなく、2人が地下通路から逃げた後にやって来るのである。
 あるいは国連においてスピーチをするために真舟と石と高遠が乗っていたタクシーが途中でパンクしてしまい、別のタクシーに乗り換えようとした真舟と高遠に向かって、石が罠であることを2人に向かって叫ぶ。石だけでも国連に向かわせようと真舟が運転手の黒人に抵抗するのであるが、その後、遠藤治と石が争っている現場に真舟が現れる。しかし真舟がどのようにして大きな黒人相手に無傷で勝つことができたのかはっきりしない。
 このように全体的にアクションシーンが緩いのであるが、セリフに関しても、例えば、石が国連で演説している時、ハロルド・マーカスの書斎に真舟たちが集められた際に、真舟が英語を理解することにマーカスはひどく驚き、どこで英語を勉強したのかと真舟に訊ねる。真舟は「駅前」という渾身のギャグを放つのであるが、訊いたはずのマーカスが何故かそのギャグをスルーして話題を変えてしまうことが納得しにくい。
 ラストのワンシーンで描かれる、カペラ共和国を支援した日本の株が上がったことで、結果的にマーカスたちも利益を得てしまうという皮肉は面白いが、全体的にテーマの大きさに演出力が追いついていないといった印象しか受けない。


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