MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『深紅の愛 DEEP CRIMSON』 90点

2012-05-04 23:53:03 | goo映画レビュー

深紅の愛 DEEP CRIMSON

1996年/フランス=メキシコ

ネタバレ

足の動きについて

総合★★★★☆ 90

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 作品冒頭で主人公の看護婦であるコラルがテレビを見ているシーンの室内の不思議なパノラマ撮影からカメラの視点が気になってしまうのであるが、長回しの多用と極力アップを禁じることで必然的に観客の視線はコラルとニコラスの忙しない足の動きに向いてしまう。
 結婚詐欺師であるニコラスは、子持ちで貧乏なコラルと付き合うつもりはなかったのであるが、自分が禿げていることを知られ、秘密を共有するのみならず、壊れたカツラの手入れまでしてくれるコラルを愛してしまうというギャグの設定が、禿げていることを知られたニコラスが激怒して未亡人のレベッカの頭を石油缶に突っ込むほどの悲惨な物語をクールに留める。
 足の動きを止めてはならない。実際に、同伴喫茶でニコラスと楽しくステップを踏んでいた女性はコラルの怒りを買い、コラルにネズミ駆除剤の入ったお酒を飲まされて、駅のベンチに放置されて足の動きを止めてしまうし、ニコラスと‘結婚’したイレーネはコラルに聖人の像で殴られて命を落としてしまいアップになった彼女の足の動きは止まっているし、コラルによって堕胎手術を施されたレベッカもベッドの上でコラルとニコラスによって殺され、足の動きを止めてしまうのである。
 レベッカの幼い娘まで水死させてしまった2人は観念して警察に自首するのであるが、最後はパトカーに乗せられて人気のない場所へ連れ出される。足の動きを止めてはいけないと分かっている2人は走り出すのであるが、すぐに警察によって銃殺されてしまい、水溜りの中に倒れた2人の足はついに止まってしまうのである。「By the Sleepy Lagoon」が哀しく響く。


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