ロビン・フッド
2010年/アメリカ=イギリス
致命的な‘記憶喪失’
総合 40点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
中世の吟遊詩人が生んだ伝説の義賊、ロビン・フッドが庶民のヒーローとして誕生するまでの物語らしいのであるが、私にはストーリーが上手く把握できなかった。
冒頭からそれまで一緒に戦っていたリチャード王と仲違いしてしまうところは‘アウトロー’の面目躍如といえるし、瀕死のイングランドの騎士ロバート・ロクスリーから王冠と剣を託されたロビンは、実は金銭目的で、ロクスリーの父でノッティンガムの領主であるウォルターに剣を届けるところまでは良かったのであるが、ロビンが幼い頃の記憶を失っているという展開になって話がおかしくなってくる。ロビンの父親が万人の平等な権利を求める‘自由憲章’を創案した人物で、それが原因で殺されたということは分かっても、何故ロビンがそのような記憶を失ってしまったのかが描かれていない。そのような、ロビンの人間形成にとって大切な記憶が失われているということは、それなりの深刻な問題がロビンと父親の間に起こったはずなのである。その問題次第で‘アウトロー’であるロビンが父親の意志を継ぐか、あるいは父親の意思に逆らうか決まるからであり、それが明らかにされない限り、その後のロビンは‘紋切り型のヒーロー’にならざるを得ない。
リドリー・スコット監督はこのようなスペクタクルな映像の作り方は相変わらず上手い。しかし物語の核心が‘空虚’であるためにストーリーが空回りするだけで、何の感動ももたらさないはずなのであるが、何故誰もそこを作品の欠陥として指摘しないのか不思議である。
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