原題:『一度も撃ってません』
監督:阪本順治
脚本:丸山昇一
撮影:儀間眞悟
出演:石橋蓮司/大楠道代/岸部一徳/桃井かおり/佐藤浩市/豊川悦司/江口洋介/妻夫木聡
2020年/日本
つまらない小説の映画化について
主人公の市川進はデビュー当時は小説家として生計を立てていたものの、その後はハードボイルド小説シリーズ「サイレントキラー」を書いて、光文社の担当編集者の児玉道夫のところに持って行っても採用されることはなく、児玉が定年退職した後の後任の若い編集者である五木要にははっきりダメ出しをされて、今は妻の弥生の年金で生活している。
しかし市川の殺人現場の描写に妙にリアリティがあるのは、市川の友人で元検事である石田和行から依頼された暗殺を本職のヒットマンである今西友也に頼み、その過程を事細かに教えてもらっているからである。
一見面白そうなのであるが、タイトルに掛かっているオチが弱いと思うし、そもそも観客が観させられているのは、小説として出版を断られている売れない物語なのであるが、ストーリーの弱さを俳優陣の豪華さでカバーしている感じがしてならない。