MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『名探偵ポワロ ABC殺人事件』

2020-11-07 01:59:53 | goo映画レビュー

原題:『Agatha Christie's Poirot The ABC Murders
監督:アンドリュー・グリーブ
脚本:クライブ・エクストン
出演:デヴィッド・スーシェ/ヒュー・フレイザー/ドナルド・サンプター/ドナルド・ダグラス
1992年/イギリス

犯人の人物像の「ブレ」について

 「ABC」と名乗る人物が被害者の名前と現場の頭文字のアルファベット順に殺人を犯していくという有名なミステリーで、エルキュール・ポワロに送る手紙を書く際に使われたタイプライターに真犯人の指紋が付いていたとポワロが言ったことで動揺したフランクリン・クラークが逃走を図るというストーリー展開なのだが、実はクラークが指紋を残していたというのはポワロのはったりで嘘だったというオチがどうも納得できなかったので、原作を確認してみた。
 『ABC殺人事件』(クリスティー文庫 堀内静子訳 2003.11.15)を読んでみたら、その通りの筋だったことに驚いた。原作によればクラークの人物像は「ABC鉄道案内に指紋がなかったのは、注意深くぬぐい去られたからにちがいないのです。犯罪に無関係な人間なら指紋を残したはずです ― 犯人なら残しません。」(p.89)とあるのだから、クラークがタイプライターに指紋を残すようなヘマはしないはずで、ここはクリスティーのミスだと思う。だからここを変更して映像化しているものもあるのだが、あまり指摘されていないのが不思議である。


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