原題:『星の子』
監督:大森立嗣
脚本:大森立嗣
撮影:槇憲治
出演:芦田愛菜/岡田将生/大友康平/高良健吾/黒木華/蒔田彩珠/永瀬正敏/原田知世
2020年/日本
新興宗教と世間に挟まれてさまよう主人公について
2005年に生まれたばかりの主人公の林ちひろはアトピー性皮膚炎を患っており、父親が知り合いから勧められた水を使ったことが功を奏して治ったことから両親はその水を販売していた新興宗教にハマってしまう。
コーヒーさえ飲めない家庭に不満を持ったちひろの姉のまーちゃんは家出してしまうのだが、自分を心配して新興宗教の信者になってしまった両親を見捨てることができないちひろは雄三おじさんたちのような親戚や世間と両親との板挟みに遭う。例えば、密かに憧れていた南先生に酷い言葉を投げかけられるなどしたちひろは必ずしも絶対的に世間が正しいとは思えないのである。
南先生に車で家まで送ってもらったちひろが深夜の街中を走るシーンや、雄三おじさんの家族に一緒に住もうという誘いを断った後に、ちひろが海辺までさまようシーン、セミナーで両親を探すために施設内をさまようシーンなどちひろの心象が上手く描かれていると思う。
そして最後に両親と3人で流れ星を見つけようとするのだが、両親は揃って同じ流れ星を見つけるのだが、ちひろが見つけた流れ星を両親が見つけることはなく、同じ空を見つめながら見えるものが違っているところに家族のすれ違いが表されているのである。