原題:『イン・ザ・ヒーロー』
監督:武正晴
脚本:水野敬也/李鳳宇
撮影:木村信也
出演:唐沢寿明/福士蒼汰/黒谷友香/寺島進/草野イニ/日向丈/小出恵介/和久井映見
2014年/日本
「日本にアクション俳優がいない」理由について
「下落合ヒーローアクションクラブ(HAC)」の代表を務めるスーツアクターの主人公の本城渉の物語はクライマックスでがっかりさせられる。ハリウッド作品『ラストブレイド』の監督はプロデューサーの説得にもかかわらず、クライマックスで「ワイヤーなし、CGなしの8.5m落下、炎にまみれての100人斬大立ち回り」をシークェンスショットで撮ることを主張し、そんな危険な条件は呑めないと、白忍者役の俳優フェン・ロンが降板してしまい、代わりに本城渉が演じることになるところまではよかった。
しかし実際には建物の二階から現れた白忍者が敵と渡り合うところで、既に画面が切り替わってワンショットではなくなり、地上に落下するシーンもCGを使用しているような感じで、もちろん最後に身体が炎に包まれるところもCGであろうから、スーツアクター歴25年のベテランでなくても演じられ、命をかける必要もないシーンなのである。全くスーツアクターとしての矜持が感じられず、これほどがっかりさせられることはないのであるが、だから日本ではブルース・リーやジャッキー・チェンレベルのアクション俳優が生まれなかったということは理解できる。