原題:『幕末高校生』
監督:李闘士男
脚本:橋部敦子
撮影:藤石修
出演:玉木宏/石原さとみ/柄本時生/川口春奈/千葉雄大/佐藤浩市
2014年/日本
よくよく考えてみると真意が伝わっていない状況について
高校教師の川辺未香子が勝海舟から学んだことは、「何もしない」ということだったはずで、例えば、既にタイムスリップして1年が経とうとしてすっかり幕府軍の武士として勝の命を狙っていた沼田慎太郎は勝を討ち損なうのであるが、勝が返り討ちをすることはない。勝は自分のことよりも日本が最小の犠牲で最大の幸福を得ることを願っているのである。
勝の言動を見ながら、未香子は生徒たちに対して、自分が偏差値だけで進学先を判断していたことを反省するのであるが、この未香子の反省が正しいのかどうか疑問を抱かざるを得ない。例えば、医学部を勧める母親に逆らって慎太郎は獣医学部に進学すると言うのであるが、よほど普段から動物愛を披露していない限り担任としてはやはり医学部を勧めるであろう。医学部に進学できるだけの学力があり、金銭面も問題ないのだから慎太郎のみならず慢性的な医師不足である日本にとっても有益だからである。勝海舟の思想が川辺未香子に上手く伝わっていないように感じるのであるが、これは現代の部分の描写不足からであろう。