グリーン・ホーネット
2010年/アメリカ
不安定な‘アイデンティティ’
総合 60点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
それにしても‘カトー’とは一体何者だったのかこの作品を観終わった今になっても分らない。カトーが上海出身だと言ったことに対してブリット・リードは「俺は日本が好きだ」と返答したのであるが、そのブリットの答えをカトーは無視していた。しかしここでカトーがツッコミを入れなければブリットはボケて言ったのではなくて上海が日本にあると本気で思っていることになってしまう。カトーは中国語を喋っているのであるが、コーヒーメーカーや、カトーが開発した‘ブラック・ビューティー’というスーパーカー内のスイッチの表記は日本語のようにも見える。中華街ではなく日本食堂内での銃撃戦、握り寿司型の盗聴器など、いずれにしてもカトーという名字から彼の父親が日本人であることは間違いないと思うのだが、とにかく終始カトーのアイデンティティが気になって物語に集中できなかった。
物語自体は昨今の‘ヒーローもの’で描かれるようにヒーローのあり方が描かれている。『キック・アス』(マシュー・ヴォーン監督 2010年)と同様にブリット・リードの亡くなった彼の父親の銅像の首を切断することによる‘父親からの独立’から物語は始まる。
ロサンゼルスを裏で支配するベンジャミン・チュドノフスキーは実力があるにも関わらず‘華’がないために他のギャングたちに見下されてしまうことに悩んでおり、‘緑’に対抗するように‘赤い戦士’になることで自分自身をプロモーションしようとする。他方、ブリット・リードはグリーン・ホーネットに扮することによって‘華’を獲得するのであるが、実力が伴わないために、実力があるカトーと組むことで不足している実力を補うことにする。このようにベンジャミンとブリットの対照的な二人の戦いになるのであるが、結果的には善悪とは関係なく、いかに上手く情報操作ができるかどうかが勝敗のカギとなり、「デイリー・センチネル」という新聞社の社長であるブリット・リードが勝利を収めることになる。
このように物語は比較的分かりやすいのであるが、コメディとしては全く笑えない。せっかくキャメロン・ディアスまでキャスティングしているにも関わらず、コメディアンヌとして彼女が全く活かされていない。
カトーのアイデンティティが不安定であるように、この作品もコメディなのかシリアスなのかはっきりしないため、残念ながら『キック・アス』のように気軽に見られる作品にはなっていない。
「人生90年時代 年金支給年齢引き上げも」 与謝野氏(朝日新聞) - goo ニュース
それにしても与謝野馨経済財政相は大きく出たものだ。“人生90年時代”が来るらしい。
日本人の男性の平均寿命はだいたい79歳、女性はだいたい86歳ということだが、
わざわざ“90”という数字を提示するところに与謝野馨のあざとさが透けて見えてしまう。
平均寿命というものは単純に生きている期間を指すものだろうし、医療が進歩すれば
死ににくくはなるのであるから、どのような状態で生きているかが問題となる。長く生きて
いても足腰や脳はかなり動きが鈍くなり寧ろ医療費は嵩むのだから、長生きしているから
年金支給年齢を遅らせるという事には無理がある。与謝野馨などは高額の議員年金など
貰えるのだろうから、国会議員を辞めても生活に困ることはないだろうが、かなりの数の
高齢者は受給年金だけでは生活できないから、働き続けなければならないのである。
おまけに就職難である今の若者は年金も払えないのだから、遅かれ早かれ国民年金の
システムが破綻することは避けられないであろう。