古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

台所太平記      谷崎潤一郎

2022-11-15 10:41:05 | 小説の紹介

中公文庫       1974年(文庫版初版)

 

千倉磊吉(らいきち)という作家の元に来た女中たちの

 

物語。

 

米粒のような文字にも慣れてきたころに、読み終わって

 

しまった。久しぶりに文学の神髄に触れたような感覚。

 

ぼくは、あまり美人には興味がないんだが、磊吉は美人

 

が好きなようで、「銀」などを連れ回し、銀座などで遊

 

んでいる姿が描かれる。この銀はタクシー運転手光雄と

 

相愛になると、夢中になり、化粧などで鏡にばかり向かって

 

いるような女なのだ。

 

癲癇になる女中がいたり、ゲーッと吐くのが癖の女中がい

 

たり、女優のお付きになって、威張り散らす女中がいたり、

 

とその筆致は一様にねちっこい。丹念に描いていて、コンコンと

 

湧き出る泉のようだ。それが、同じようなことを書いている

 

ようで、違っていて、女中という生きものを描く上で必要な

 

手法なのだ、と納得できた。

 

        (読了日 2022年10・25 21:55)      


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