古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

明日という日     神吉拓郎

2018-09-14 12:08:26 | 神吉拓郎
文春文庫   1989年


男と女の話しが多く、ボクなんかはちょっと作りものめいていて


おもしろくない、と思ってしまう。


リアルという点で如実に問題がある。こんな都合のいいことは起


きないだろう、と。


そういう点から言うと、ラストを飾る巣立ちという作品などは、鳥屋


の娘と、結婚四年目の夫の視点から、日常を淡々と描いていて、好も


しい。あと、「海のいろ」という鰺のひらきが好物の男の話しで、時


代の流れとふるさとのあり方を描いていて、たのしかった。文学とは


かくや、という明るさと軽さを兼ね備えた、短編の名手という感じで


あった。


都会生活の哀歓をあざやかに描く短編作品集、と帯にあるとおり、洒落者



(昔の)の感じが読んでいて逸品であった。
コメント
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