古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

お不動様とマヨネーズ      佐藤愛子

2022-12-31 16:34:35 | 本の紹介

これで、本年のなんちゃって書評もおしまいです。

 

本年中は、古民家ギャラリーにお越しになられた方には

 

たいへん御世話になりました、ありがとうございました。

 

来年2023年は7日(土)より営業いたします。

 

では、佐藤愛子さんの書評いっちゃいましょうか。

 

「おいしいおはなし」所収。

 

この高峰秀子女史が編まれたとてもおもしろいエッセイ集の

 

大トリをつとめるのは、佐藤愛子女史である。

 

この小品は、1991年4月(角川文庫)の「何がおかしい」

 

に収められた一編。愛子さんは今もご健在、現役でいらっしゃる。

 

この作品もバランスが良く、あまり怒ってはおられないようだ。

 

マヨネーズがうまく作れず、分離してしまうのを繰り返すのだが、

 

信心している、「不動明王が守っておられます」と冒頭、明かして

 

いる通り「なにとぞマヨネーズづくりをば、成就させたまえ」と

 

念じると、あら不思議、ねっとりと調子よく固まっていくではないか。

 

うーん、なんか可愛げがあっていいな、68歳のときのまだ若かりし

 

日のエッセイだ。

 

以上。

 

今年は何冊ぐらい読んだのかなあ、170冊くらいかなあ、と思うんだ

 

けれど、少なくとも、来年の上半期は趣味に興じようと思っている。

 

って、結局、一年中、やりたいことしかしないのかもしれないが。

 

一年を振り返って、夏はやねこかったなあ、と思うね。また、来年も、

 

暑いんだろうなあ、でも、歳取ると、暑い方がいいのかも。若いときは

 

寒いの好きだったけど。

 

じゃあ、また。って、明日、たぶん、更新すると思います。

 

 

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B級グルメ考      山田風太郎

2022-12-29 02:47:54 | 本の紹介

「おいしいおはなし」所収。

 

考えてみると、このエッセイは亡くなった方がほとんどだ。

 

この山田氏も2001年に亡くなっている。亡くなっている

 

人のエッセイを読むのはなんかいい感じだ。責任から解放さ

 

れたすがすがしさがあって、よい。

 

「チーズの肉トロ」というのは、チーズの塊りを牛肉で包み、

 

サラダオイルで焼き、ナイフで切って食うらしいが、これは

 

うまいらしい。

 

永井龍男氏の醤油に味の素をふりかけ、それに、生の大根を

 

入れる、それがえらくうまいというんで山田氏がやってみたが、

 

あまりうまくなかったらしい。味の素と言う時点でだめだろう。

 

昔の作家は文豪といえども貧寒きわまる食事をしていたらしい、

 

と書き結んでいるが、山田氏は贅沢な食事をずっとされていた

 

人である。

 

      (読了日 2022年11・30 19:00)

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私の梅原龍三郎     高峰秀子

2022-12-26 20:35:03 | 本の紹介

文春文庫        昭和62年

 

「バラ」の梅原龍三郎といわれるらしいが、ぼくは静物画が

 

好きである。「カニ」と高峰女史が呼んでいる秀子像の絵は

 

東京国立近代美術館に寄贈されたという。

 

梅原氏は97歳まで生きたらしいが、酒を朝から飲んでいた

 

らしい。朝昼晩しっかり吞んでいらしたらしい。

 

奥様も先に亡くされて、淋しかっただろう。長生きもタイヘンだ。

 

胃が丈夫だったらしく、中国料理がお好きだったらしい。それに

 

比して、これも食豪の谷崎潤一郎氏は京料理が好みだったという。

 

梅原氏は京料理を雲を喰っているようだ、とおっしゃったとか。

 

うなぎが最近、とれないとれない、と騒いでいるが、若き日に

 

梅原氏が全部食っちまったらしい、うへー。

 

          (読了日 2022年12・1 15:34)

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かつおぶし削り器/そうめんの季節      宮尾登美子

2022-12-25 04:56:14 | 本の紹介

「おいしいおはなし」所収

 

宮尾さんは2014年に亡くなっているということらしい。

 

この小品では、かつおぶしの節の余りがどうにかならないも

 

のかしら、ということで、マシーンをお買いになって、それが

 

どうにも役に立たないしろものだった、と嘆いておられる。

 

もう一編、「そうめんの季節」では、そうめん愛について

 

とうとうと書いておられる。

 

宮尾女史は麵キチらしくて、特にそうめんを夏になると、

 

愛食していらっしゃった、という。

 

そうめんが好きすぎて、私はそうめんの顔を見ないでは

 

一日もいられないほど深い仲でございます、と結んで

 

おられる。

 

 (読了日 2022年  11・30 18:30)

 

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茹玉子      小野正夫

2022-12-23 04:13:31 | 本の紹介

「おいしいおはなし」所収。

 

小野正夫という人をぼくはしらなかったのだが、本業は

 

デザイナーらしい。もう亡くなられているだろう1928

 

年に生まれておられる。

 

5P弱の小品。十分ちょっとで読めてしまったが、戦時中の

 

おはなしであり、本人は玉子好きらしい。戦火に焼かれそうに

 

なった家に100個近い玉子があって、それをカメの中に笊

 

に乗せて沈めておいた。翌日、焼け出された家に隅に山に

 

なった茹玉子だけが残されていて、歩き回った末に食べた

 

玉子、大層おいしかったという。いや、なんか沁みますよ。

 

最後のチチのセリフ、「そりゃそうだろう。家一軒焼いて

 

茹でた玉子だもの。美味しくない訳はないよ」とおあとが

 

よろしいようで。

 

    (読了日 2022年11・30 15:20)

 

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海老フライの旦那と大盛りの旦那    茂出木心護

2022-12-22 05:12:17 | 本の紹介

「おいしいおはなし」所収。

 

茂出木(もでぎ)さんという人をぼくは料理人でもあるのに

 

しらなくて、たいめいけんをつくった人だ、ということだ。

 

ていねいな人で、この文章もごていねいだ。気づかいがす

 

ごくて、洗い場に熱いフライパンをだすときに、柄に塩を

 

もっておく、なんて、そんなことしらんかった。

 

ぼくのころには、もうそんな習慣はなくなっていたらしい。

 

たしかに、料理人は料理を残されることにデリケートである。

 

ぼくがホテルにいたころ、カルボナーラが全部残されていて、

 

ショックだったのを覚えている。いや、たぶん、あれは、

 

マズかったんだと思うよ、いま、思えばね。第一、しょっ

 

ぱすぎたんだね、そこでつくらされていたパスタって言うのは。

 

おれも残すと思うもんね。ペペロンチーノなんて、地獄のように

 

しょっぱかったからさ。だれがこんなもん食うんだよ、って

 

感じ。あれは黒料理の歴史だよ。

 

         (読了日、2022年11・30 15:07)

 

 

 

 

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ピー子ちゃんは山へ      林政明

2022-12-20 03:39:47 | 本の紹介

「おいしいおはなし」所収。

 

ピー子ちゃんとは、祭りの夜店で売っているヒヨコの

 

ことだ。そのヒヨコが三年半たち、大きくなって、

 

林(りん)さんによって、さばかれてしまうのだが、

 

それが、そのピー子ちゃんは新興住宅地に飼われて

 

いて、そこに子供が二人いて、夜中に林さんが、

 

子供の目の前で、バラしちまおうぜ、と言ったもんだから、

 

さあ、たいへん、子供たちは泣きわめく始末。

 

それでも、肉はガムのかたいのを食っているようだったが、

 

おじやの出汁をとって、食っちまったそうである。

 

ぼくが中学のうぶなころに、社会科の山口県の田舎の出身の

 

先生が、ニワトリをバラスとき、首をちょん切ると、首なしの

 

ニワトリが庭を走り回るんだ、と話したからビックリした。

 

いや、今、教師がそんな話したらいささか問題があるかもしれ

 

ないけど、そんな時代だったよ、実際。

 

      (読了日 2022年11・30 14:20)

 

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私のお弁当     沢村貞子

2022-12-18 17:49:42 | 本の紹介

「おいしいおはなし」所収。

 

これは1990年、「わたしの台所」によせられたものだ。

 

お弁当自慢だが、おばあちゃんの感じがかわいい、塗りの

 

お弁当箱をちゃんと世話してやって、はっと、ひといきつく、

 

というのが、ルーティンのようだ。

 

黒柳徹子女史も出てきて、沢村さんのお弁当をつついていた

 

らしい。いつも二人前は持って行っていたようだ。

 

腹がいっぱいではいい演技はできないらしい、なんでもそうだ、

 

なにをするにせよ、腹がいっぱいじゃ、いいものはできないだろ

 

う。

 

7Pの小品、品のいい、お弁当のおはなしでした。

 

     (読了日 2022年11・30 13:50)

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「クエ」を食う       松山善三

2022-12-17 21:53:54 | 本の紹介

「おいしいおはなし」所収

 

松山さんはこの「おいしいおはなし」を編集している高峰さん

 

のダンナさんだと思うのだが。ここでは、映画監督としてではなく

 

エッセイストの顔を見せている。

 

善三さんは蟹がお好きらしい。陽澄湖の「大蟹」がベストワンで

 

ナンバーツーが「越前ガニ」、ナンバ―スリーがハワイ島で獲れる

 

「コナ・クラブ」と決めているらしい。

 

ハワイにたしか、別荘を買われていたはずだから、毎年、食べて

 

おられたのだろう。

 

ぼくはTVでしか「クエ」を見たことがない。食べたことはおろか

 

実際に見たことはないが、大きく、ごつい顔をしている、と認識

 

している。とてもおいしいらしい、高級魚である、ということは

 

しっている。その当時は、まだ、しられていなかったんだろう、

 

それにしても、うまいもの食いだな、この監督は。

 

       (読了日 2022年11・30 6:00)         

 

 

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グルメブーム・心と心が通じあう家庭   土井勝

2022-12-16 10:18:07 | 本の紹介

「おいしいおはなし」所収

 

勝氏といえば善晴氏の父上である。ぼくは善晴氏のウオッチャー

 

で、TVにでておられると大抵見ている。このエッセイでも飾らぬ

 

意見を述べておられる。でも、イマドキ主婦は、おいしくないもの

 

に、おいしくないといい、うどんの汁など直そうものなら、それだ

 

けで離婚らしいので、気を付けないといけない。

 

たのしい顔をしてつくった料理はおいしく、厳しい顔をして、シブ顔で

 

よそったごはんはおいしくはない、というのは、確かにそうだろうなあ、

 

と思う。笑顔で暮らせば、自然、幸せがにじり寄ってくることと同じだ。

 

毎日がぼくはたのしい、というと、ばかみたいだが、ぼくは今はわりと

 

たのしくやらさせていただいている。

 

         (読了日 2022年11・30 5:17)

 

 

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