古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

7・29 テレビ取材が来て……

2021-07-29 23:28:06 | 日記

今日、テレビの取材が来て、中島なんたらという

 

のが広島にはいるのだが、それが来た。聞いても

 

別にいいのだが、なにせぶっつけ本番。うまく説

 

明できなかったのが、歯痒い。今日、日記に何書

 

きますか? と迂闊にも日記文学をやっていると

 

口を滑らせたものだから、聞かれたが、そんなこ

 

とに、すらすら答えられるほど、こっちは頭が働

 

かない。すごく暑いし、思考途絶である。中島が

 

来た、と書く、と言うと、それじゃあ、文学にな

 

んねえな、と一蹴されてしまった。聞くなら、事

 

前に言っておいてほしかった、なにもかも。困って

 

いるのを見て楽しむなんて、悪趣味だ。

 

ああ、忘れたい。放送は一か月後、広島と中国地方

 

のみなのが救いだ。キャップを被って、マスクをして

 

いたので、誰かも分からんだろうしね。

 

中島はまめっこぷりんをみて、見えないねえ、もっと、

 

豪快なもの、やりそうだよねえ、と言っていたが、ぼ

 

くは見かけによらず、繊細な人間のですよ。……合掌。

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とにかく散歩いたしましょう   小川洋子

2021-07-26 21:35:03 | 小川洋子

文春文庫  2012

 

4年近く毎日新聞に書いていたというエッセイ集。

 

散歩ばかりされていたらしいが、ぼくも趣味は散歩

 

だ。京橋川沿いを散歩するのはとても気持ちのい

 

いものだ。小川さんもラブを連れて、散歩をして

 

いた。ラブはこのエッセー集を出した後、14歳

 

6か月で死んでしまったという。でも、散歩は続

 

けておられるようだ。

 

特に父方の祖父は涙もろかったらしい。小川さんも

 

涙もろくなったという。とてもよく分かる。40過ぎ

 

くらいまではぼくもそんなに泣かなかったが、半ばす

 

ぎてから、TVを見ていても、すぐ泣くようになった。

 

それも昔だったら、お涙チョーダイだな、とバカにして

 

いたようなことに泣くのだから、じじいになったもんだ

 

と自分で呆れる。小川さんは、褒めるのがとても上手だ

 

し、いい人なんだろうなあ、ぼくもこんないい人にこの

 

本を読んだらなれるかしらん、と思いつつ読んだ。

 

トーベ・ヤンソンの「生きるってことは、平和なものじゃ

 

ないんですよ」と引用している。そうだよな、実感した。 

 

 

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笑う写真    南伸坊

2021-07-23 07:54:00 | 本の紹介

ちくま文庫    1989年

 

1989年っていうのも、この本の持つ重要な

 

意味かもしれない。CGも手ごろに使えないし、

 

全部アナログの写真っていうところ。そして、

 

なんともエロいところがいいじゃございません

 

か。

 

今どき、こんなずさんな本はない、っていうか、

 

世間が許さないと思う。それだけ、社会が寛容

 

っていうか、ゆるい、っていうか、受け入れて

 

くれたっていうのは逆にすごいなと思うわけで

 

ね。

 

本書のラストを飾る「似せ顔」とじゃいってみ

 

るものの、いってみれば、似てないからね、と

 

半ばキレられても仕方あるまい。

 

笑う写真って、自分で言っちゃってるも、今では

 

タブーでしょ。自分で言っちゃ、完全すべってる

 

って、とツッコミを入れられる。本だから、すべ

 

ってても分かんねえし、いいんじゃねえ? とぼ

 

くは半ば呆れながら、面白がっているのだった。

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笑う街角    南伸坊

2021-07-22 21:15:15 | 本の紹介

ちくま文庫    1989年

 

やはり、1989年ころにはまだ街にスキがあった

 

のだろう。公衆電話ひとつとっても、極端に低いと

 

ころにある「和式電話」、椅子にポツンと置かれて

 

あった「涼み電話」、シャッターの外に締め出され

 

ているようなカンジだった、「飼い赤犬電話」、そして

 

檻の様に入れられた「囲われ電話」。恐らく、令和の

 

今となってはすべて失われてしまっているだろう。

 

街を歩いていても、トマソンはぼくはあまり見ない。もう

 

幻となってしまったのか、街のトンチンカン、人のトン

 

チンカンはいつしか消え去る運命なのかもしれない。

 

広島ではホームレスも少ない。広島太郎と名乗る、人物

 

トマソンがひとり、この前見かけたが、ひとり言を口走り

 

、爆笑していた。いやはや。……合掌。

 

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Pin-up  ピンナップ 〈花〉   銀色夏生

2021-07-20 12:27:57 | 本の紹介

角川文庫   平成3

 

持ち込まれた本で、ずっとトイレの棚に置いてあった

 

が、何か詩のようなものが書いてあるのだと、ずっと

 

思っていた。この度、手に取ってみると、〈字のかける

 

紙ですので、表や裏に字をかいたりして、いろいろに

 

使って下さい〉とあり、花の写真がハガキになっている。

 

メキシコを含む、全国の花の写真で、平成3なので、いい

 

具合いに退色していて、ステキである。これを持ってきた

 

方は、はて、何で持ってこられたのだろう。

 

それで、ぼくはこれをいかように利用すんべ、と悩むの

 

であり、手紙を誰かに出すべえか、と思うものの、一体、

 

どなたへ? 誰もだす相手を思いつかない、というか、

 

いない、のである。淋しい人生だな、痛感させられるため

 

のものか、そうか、こういう気持ちになったから、持って

 

こられたのか、とガッテン承知した。

 

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魚眼漫遊大雑記  野田知佑

2021-07-16 22:52:48 | 野田知佑

新潮文庫   昭和60年

 

ヨーロッパの国々の特性についての記述に詳しい。ぼくは

 

なんかあんまりヨーロッパって言われてもピンと来ないの

 

だが、行ってみようとも思わないし、第一、怖いし。

 

そこを単独でカヌー下りしたりして、まったく、野田氏は

 

勇者だ。

 

ヨーロッパの建物が12世紀に起工され、16世紀に完成

 

したと書かれていて、なんて大掛かりな工事だ、とたまげる

 

必要はないらしい。イタリアの人の仕事は滅法遅く、日本

 

人の一日の大工仕事が10日かかるという。

 

ギリシアでは鼻の下に髭の生えた女の人がいるという。

 

民族的な注意力の死角を鼻の下に持っている、と言ってい

 

る。

 

ずーっと後半はロンドンやらの話しで占められている。

 

ぼくはカヌーの話しが読みたかったのになあ……ちょっと、残念

 

だった。

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冗談ばっかり    南伸坊

2021-07-15 11:59:49 | 本の紹介

ちくま文庫    1986

 

「公明新聞」に連載していたものをまとめた本書。はじめと

 

終わりに笑いについての論考をわかったようなわからないよ

 

うなわからないようなわからない感じで考察している。

 

「笑い」について、わたしは熟考したいのだ、という人が

 

読んだら共感できるかも。

 

南伸坊氏はぼくも敬愛してやまない赤瀬川原平氏の教え子

 

ということだ。ぼくもこれから赤瀬川氏の本を何冊か用意

 

しているので読んでいきたい。ぼくも赤瀬川氏のDNAを

 

引き継いでいるといっていい。

 

なんでもおもしろがる、というのが南氏の方針らしい。そ

 

れは犯人のファッションに注目し、ベストドレッサーを選

 

んだらいい、と語るのにも現れている。

 

いいまつがいについて、考察したスプーン投げ、眉間と股間

 

を言い間違えるっていう。

 

植木等氏にも影響を受けているらしい。「コツコツやつやつァ

 

ゴクローサン」と来たもんだ。そうだろうか? とマジメに

 

ツッコミを入れるぼくは相当のマジメさんなのだろう。いや、

 

改めて言うまでもないが、マジメじゃなきゃ、ふざけられな

 

いでしょ?……合掌。

 

 

 

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空耳アワワ     阿川佐和子

2021-07-13 14:54:23 | 本の紹介

中公文庫   2005

 

阿川女史の書評を書くって、ちょっとカッコ悪いな、

 

と思うのはなんでだろう。このエッセイも自虐ネタ

 

がほとんど、故に、カッコいいとはほど遠い。

 

あまりにも分かりやすすぎる、というのもカッコ悪い

 

点だろう。読みやすすぎて、お手軽すぎる、とにかく、

 

読んでいて、苦痛といったタイプの本ではない。

 

阿川提督に、ため息をついて、勘当されかけたこと

 

があるという。ハムサンドのパンを切れ、と命令さ

 

れた際、ため息をつき、「なんだ、そのため息は、

 

嫌なのか。嫌なら出て行けっ」といわれたらしい。

 

提督らしいエピソードだ。

 

女っていうのは常に袋のことを考えているらしいん

 

だな。これは発見だった。そういえば、女ってなん

 

でバッグが好きなんだろう、と思ってたんだよね。

 

ぼくはリュックが一個あれば、それでいいです。

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黄泉(よみ)の犬     藤原新也

2021-07-12 06:21:27 | 藤原新也

文春文庫   2006

 

1995年は日本の現代史においても、重要なターニング

 

ポイントとなった年だ。オウム事件がそれの最たるもので

 

あり、本書も麻原彰晃について描かれている。

 

麻原が水俣病であったらしいことに言及し、目の見えなか

 

ったことも水銀のせいではないかと推論をすすめ、実兄に

 

会う。というところで雑誌の掲載は中止となったようだ。

 

このあと、実兄に会い、実際に麻原が水俣病であったと明

 

かされる。

 

黄泉の犬が過保護とエゴイズムに満ちた現代にとって、救い

 

となるのか、インドのガンジス川の袂で人を焼いていたのを

 

毎日、じっと見つめ続けたという藤原氏。死んで燃やすと、せ

 

いぜい60ワット三時間くらいの光を放って消えてしまう、と

 

いう。しかし、それは確固とした光となって宇宙を照らす灯と

 

なるだろう。船頭が歌うのだが、その歌詞がまたいい。

 

空中浮遊する麻原失笑の有名な一枚。そのまま何度か反動をつけ

 

飛び上がる。空中浮遊したと本人も自認し、イワシの頭も信心から

 

と同じことで、ただの青年もその時点で聖者になってしまう、と

 

書いている。

 

だからぁ、浮くなっちゅうの。……合掌。

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すみれの花の砂糖づけ    江國香織 

2021-07-11 22:39:33 | ポエム

新潮文庫    1999

 

詩というものは、時間をそっと言葉という容器に密閉し

 

保存しておくといった意味合いがあるのではないかと

 

思う。そういう意味では砂糖づけとは、甘くて、すみれ

 

の花をそっと甘く保存するという意味もあるこのタイトル

 

ステキ度は高いんじゃあないか。

 

江國女史は、都会的で、洗練された女であるだろう、と

 

思うのだが、この詩集を読めば、おのずとぼくの言う意味も

 

わかっていただけるだろう。

 

ぼくは恋とは、縁遠く、恋というものをあまりしたことが

 

ない男なのだが、この詩集には、ほのかに恋の味がする。

 

それも、ただの恋じゃない。危うく、脆く、時に、危険な恋

 

だ。あぁ、ぼくにはよくわかんないやつだなぁ、と諦めて

 

いるが、ここの指先に籠められた先を見なければいけない。

 

そうだ、詩の示す先を見つめなければならんのだよ、分かる

 

かね?(うーん、分からない)……合掌。

 

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