古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

口笛を吹く男      遠藤周作

2021-12-13 03:10:33 | 小説の紹介

「週刊小説」72年2月

 

7Pの掌編小説である。ニ十分くらいで読み終わってしまった。

 

熊大の浪人生が隣りのアパートの一室に住んでいて、クワイ河

 

マーチと言う、ぼくの知らない曲を下手くそに吹いているそうな。

 

焼き芋とか果物とか、失踪した弟に似ていたことから、差し入れを

 

していたが、また、今年も受験を失敗して、恥ずかしかったらしく

 

礼も言わず、ある日、引っ越してしまった。縁談があり、相手は

 

妻と死に別れて二人の子持ちという、どう生きても倖せになれない

 

と悟った彼女は、よろしくお願いします、と手紙を書く。その翌日

 

福岡で北朝鮮に逃亡するというハイジャック事件が起き、その犯人

 

の写真の中に、弟に似た浪人生の顔を発見する、という筋立てだ。

 

さすがなかなかよく出来た話であり、その小さな世界に引き込まれ

 

てしまった。……合掌。  


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