古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

本は寝ころんで    小林信彦

2022-09-30 08:55:05 | 本の紹介

文春文庫   1994年

 

小林氏の本はおもしろいはずだ、と思っていたが、読んでみると

 

イマイチはいっていけなかったりして、戸惑っていたのだが、

 

この本はばっちりだった。二日で一気読みしてしまった。

 

小林氏というのは助平気質らしくて、若い子のヌードを集めるのが

 

ご趣味らしくて、当時の宮沢りえのサンタフェを注文した、とか。

 

渡辺美奈代がヌードになっていたとは、ビックリしてしまった。

 

黒澤明氏に関する記述も多く、高く評価していたようだ。

 

全体的に映画本に詳しい本となっている。

 

エロで言うと、斎藤綾子という人のあけっぴろげなエロ本も高く

 

評価している。ぼくは、そんなエロ女ごめんだが、第一、エロ女

 

って興醒めだ。そんな女にキョーミはないが、小林氏が、紹介

 

してくれると、いささか、おもしろく感じてしまう。

 

日本の文化に精通している人が少なくなった、と嘆かれているが、

 

今となっては、もっとひどいことになっているだろう。

 

89歳で今もご健在だという、ぼくも長生きしたい、と痛切に

 

思ったのだった。

 

        (読了日 2022年  9・13(火)19:30)

                     (鶴岡 卓哉)

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハードボイルドに生きるのだ   向井万起男

2022-09-29 11:24:18 | 本の紹介

講談社      2003年

 

向井千秋のダンナといった方がよくわかるのではないか。

 

20年近く前の本なので、情報はいささか古代じみてくる。

 

イチローとか野茂とか、ワールドカップ日韓開催とか。

 

それでも、20年近く前でも、ぼくはもう大人だったので、そこら

 

へんのことはよく理解できた。

 

あの頃イチローに興味のない男なんて、皆無だったよ。みんな

 

打率を気にしていた。そのイチローの専門家だったなんて

 

知らなかったし、大リーグに精通していることも知らなかった。

 

けど、この人の本職は病理学者でお医者さんなのだ。

 

自分でもテロリストみたいな顔っておっしゃっているけど、いささ

 

かヘンタイチックな顔つきだよね(ただの悪口!)。それに、分析好き!

 

うん、こりゃ、モノホンだね。

 

             (読了日 2022年 9・12 19:00)

 

                       (鶴岡 卓哉)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

藤原悪魔   藤原新也

2022-09-28 11:10:58 | 藤原新也

文藝春秋   1998年

 

途中、だめ人間なところを見せつけられて、読むのを

 

一旦、やめていたが、気を取り直して読んで読了。

 

天使まゆげ、と表紙にある。まゆ毛犬だが、マジックで

 

まゆ毛が書いてあった、というそれだけなのだが、作品に

 

仕立ててあるのを読むと、おもしろく書いてある。

 

気になったのは、戦争は人間のストレスを発散させるための

 

祭りごとだ、という新たな戦争論。こうだけ書くと不謹慎

 

なようにも感じるが、果たしてそういう見方もあるかなあ、

 

とは思った。

 

藤原氏といえば、オウムだが、この本にもオウムのことは

 

書いてある。その後的なものだが、その目の鋭さは、ぼくを

 

圧倒する。

 

いろいろなことについて書いてあるので、ちょっとでも気に

 

なる方は読んでソンはないのかなあ。藤原フリークのぼくとし

 

ては、この度の、コロナ禍をどうみているかも気になるところ。

 

けど、新刊を買う体力はないんだよなあ、だめだめなのはおれ

 

っちの方だったかも、チーン。

 

        (読了日 2022年 9・9 13:50)

                (鶴岡 卓哉)

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本に読まれて    須賀敦子

2022-09-27 11:41:47 | 本の紹介

中公文庫   1998年

 

昼に本を読んでいると、時に眠くなったりする。目に

 

メンタム塗る、などの対処法もあるが、ひとつ、試して

 

いただきたいのが、氷を舐めるという方法だ。氷が脳を

 

冷やすらしく、眠けはぼくは去ったし、体がすっきりする

 

し、頭もスッキリとする。

 

受験勉強している人などにもいいと思う。意外と知られて

 

いないんじゃないか。

 

須賀女史は上質な本をたくさん読まれていて、素晴らしい、

 

と思う。ぼくも死ぬまで、目を大切にして、本を読んでい

 

けたらなあ、と思う。因みに、この本に出てくるイタリーの

 

作家や、タブッキ、ヴェイユなどはぼくはしらなかった。

 

この地球って星は広いのだな、とつくづく思うし、文学という

 

世界の奥深さを思い知らされた一冊。この本を読了したことで、

 

読書に自信がついた。

 

        (読了日 2022年 9・7 0:40)

                     (鶴岡 卓哉)

 

 

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書薮巡歴(しょそうじゅんれき)    林望

2022-09-25 11:23:40 | 林望

新潮文庫   平成7年

 

本当に勉強の好きな人でないと成しえないという

 

「書誌学」をやっておられるとはぼくは知らなか

 

った。

 

イギリスはおいしい2、他一冊を拝読しただけだが、

 

こんな勉強家だとは、林望先生と言われるゆえんが

 

わかった。

 

この本はすごくおもしろかった。勉強している風では

 

なく勉強できる。勉強している風景というのはたのしい

 

ものだ。教授たちの姿や形が思い浮かぶ、でも、ぼく

 

は学校は嫌いだし、勉強と言う勉強は嫌いである。

 

資格と言うものも嫌いだし、本当にクラスメートという

 

言葉も嫌いである。

 

ただ、よく勉強している人が嫌いというわけじゃなく、

 

意外と話も合うのかもしれない、とは思うが。

 

この本は未読の古本だった。もっといろいろな人に

 

読まれたらいいなあ、と思うよ。ちょっと文章が硬い

 

から敬遠されたのかもしれない。でも、じっくり、

 

読む目を持てば、読んでいてたのしい読書が叶うと

 

思う。

 

             (2022 9・2 23:04)

                  (鶴岡 卓哉)

 

                

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

食客旅行     玉村豊男

2022-09-24 11:30:59 | 本の紹介

中公文庫     1996年

 

玉村氏が1960年代、二十代前半に食を中心に

 

して旅をしたことが描かれている。この人は文章

 

も読みやすいし、書いてあることもおもしろいので、

 

なんとなく読んでいると読み終わってしまった。

 

ⅠとⅡに別れているのだが、出典が違うようだ。

 

ぼくはⅠのほうがより好みだった。

 

ぼくはインド文献フリークなのだが、インドのことも

 

なにやら書いてあった。よくある客争奪戦について、

 

と、カレーの話、魚のカレーだが、この腐れ魚カレーが

 

いちばんおいしかったらしい。

 

バスで旅を続けたのだが、おばあさんが触って来るらしい。

 

服を引っぱったり、抓ったりするという。

 

あのキンマの葉についても描いていて、チューインガムの

 

ようにクチャクチャ噛むらしいのだが、口の中が真っ赤

 

になり、到底理解不能の味がするらしい。

 

いいぞ! インド! でも、ぼくは絶対行かないけどね、

 

チーン。

 

       (読了日 2022年 9・1 22:10)   

                (鶴岡 卓哉)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハクビシンを飼う     中島京子 

2022-09-22 15:00:15 | 中島京子

講談社文庫   2013年  「妻が椎茸だったころ」所収

 

ここで問題になってくるのはHの作為性という問題。ハクビシン

 

の墓参りをして、速攻Hって、ないんじゃないか。あまりに唐突

 

過ぎてびっくりした。違和感しかない。ハクビシンを飼う、って

 

のも妙だ。そんな人いないんじゃないか。

 

設定その他、いろいろなところがガタピシ破綻していはしないか。

 

でも、こういう破綻している小説を好んでいる読者層もいるらしい。

 

でも、ぼくは読み物として破綻しているのは、いささか問題がある

 

んじゃないか、と思っている。

 

問題はいささかもない、と読むのは無神経のような気がする。そう

 

思って読んでみると、これまで読んできた「五つの短編」はどれも

 

いささか問題を抱えていたようだ。逆にそれがこれらの短編の魅力

 

となっているようにも感じたことも確かだ。

 

           (読了日 2022 8・25 9:03)

                 (鶴岡 卓哉)

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蔵篠猿宿パラサイト   中島京子

2022-09-21 22:59:39 | 中島京子

講談社文庫  2013年 「妻が椎茸だったころ」所収

 

こういうヘンなつくりばなし、嫌いじゃない。特に、二階に

 

寝ていて、ジャラジャラ音がするから文句を言いに行ったら

 

そこの三代目の部屋で、石が敷き詰められていて、石ヲタだって

 

いうはなしは面白いと思った。つげ義春のこともちょこっと

 

でてくるし、その手の人には嬉しい限りだ。

 

パラサイトっていうのは、寄生虫って意味じゃなくて、探検家

 

パラスの名前の下に石を表すiteがついて、パラサイトという

 

らしい。猿宿というのは、まあ、説明すると長くなるので、

 

やめておきます。

 

これも恋愛小説ってカテゴリーに入るのかな、なんか由香さんが

 

石ヲタの三代目が気に入っている、みたいなのがでてくるけど、

 

いやいや、これは、旅小説なのか、いや、違う気がする。

 

      (読了日 2022 8・25 0:35)

            (鶴岡 卓哉)     

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

妻が椎茸だったころ    中島京子

2022-09-20 00:53:33 | 中島京子

講談社文庫   2013年

 

表題作のこの作品を読んで、このタイトルの意味が当たり前だが

 

分かったのだが、なんだそんなことか、と肩すかしを食らった

 

ような感じだ。

 

突然死した妻が、残したノートに、私が椎茸だったころ、と書かれて

 

あったのだ。それにしても、と思う。フツーのリーマンをやっている

 

人ってこんなに想像力がないのか。そんなに想像力がなくて、仕事は

 

きちんとできているのか、と心配になる。乾燥した椎茸を包丁で切ろう

 

とするって、やり過ぎではないか。作り過ぎではないか、という気が

 

する。どんなに料理をやらないバカリーマンでもそんなことは

 

しないだろう。焦がすし、そんなバカじゃあ、仕事できないだろう、

 

と思うのだ。

 

ちらしずし作りが描かれるが、そこのところはすごくおいしそうだ。

 

ちらしずし、ぼくも大好きな一品だ。

 

              (読了日 2022 8・23 1:05)

                            (鶴岡卓哉)

 

 

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ラフレシアナ    中島京子

2022-09-19 03:01:00 | 中島京子

講談社文庫 2013年 「妻が椎茸だったころ」所収

 

ラフレシアナとは、ネペンテス・ラフレシアナという食虫

 

植物のこと。

 

さるパーティーで立花一郎というごく平凡な名前の男と出会う。

 

というか、遭遇する。亜矢という女性。それがきっかけで、近所に

 

住んでいた一郎に、ネペンテスの世話を二週間任される。

 

それからほどなくして、一郎にはラフレシアナのような毒々しい

 

カノジョができる。どうかと思った亜矢は、一郎をパーティー

 

に誘った友人にも相談するが、一郎はネペンテスのような女に

 

夢中で、あんなに熱中して育てていたネペンテスの温室も捨て

 

てしまっている。激怒した亜矢に、一郎は引っ越しする、

 

ネペンテスもネットで売ってしまった、という。その亜矢の

 

部屋はかつての一郎の部屋のようにシンプルで、食虫植物をいくつも

 

育てているという話だった。

 

まあ、ヘンな話と言えばヘンな話だ。けど、この話、そんなに

 

キライじゃないような気がした。割りと好きな話ですらあった。

 

           (読了日 2022 8・22 4:04)

                        (鶴岡卓哉)

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする