古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

ほんじょの虫干し。  本上まなみ

2024-02-28 05:23:35 | 本の紹介
新潮文庫 平成11年

ほんじょさん若干22歳からの24歳までの

エッセイ。

22歳と言っても、24歳で樋口一葉は逝った

し、立原道造も24歳だ、とほんじょさんも書

いている通り、もっと若くして立派な文章を書く

人もいることはいる。ほんじょさんの書くものは

可愛くて、なでなでしたくなっちゃう。まるで、

ネコを撫でるように。でも、ほんじょさんは若く

して結婚されているから、迂闊にそんなことはでき

やしまへん。解説には50過ぎで書いたらもさんの

恋文がのっている。恋文と言っても、らもさん自

身のことがつらつらと書かれていて、らもファンも

楽しめる。52歳でらもさんは死にはったので、

最晩年の文章ということになるだろう。

(読了日 2024年1・12(金)13:34)














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文学・考とほんじょの鉛筆日和。

2024-02-27 06:33:22 | 本の紹介
うーん、文学は終わってるだろう、確かに

そうかもしれない。でも、まだ、僕は文学

を諦めていない。まだ、僕はスタート地点に

さえ立っていないじゃないか。せめて、土俵

には立ちたい。それでからでないと、何も言う

権利さえないだろう。これも、修行だ!

人生は100年といわれている。僕もまだ道

半ば、人生も半ば。まだ、半分も残っているじ

ゃあないか。ゆっくりと、確かに、一歩一歩、

進んで行こう。愚痴を言うには早すぎるぞ。

新潮文庫 平成14年

ぼくはほんじょさんのTVウオッチャーで、

きょうの料理とかに出演されていると、必ず見る

ようにしている。

だから、この本が古本の棚に110円で並んでい

るのを見たら、即買いだ。

それに出版されてから20年は経っているから僕

好みだ。出てすぐの本は僕は好きではないのだ。

へもへもな、というか、このへもい、という

言葉をバズらせたいらしいのだが、うーん。

へもだもんな。へもいエッセイだな、と思っていたら

最後に、これまた敬愛すべき穂村弘氏があとがきを

書いておられる。時間という視点から見た、この

エッセイの批評、で実に的を射ている。

さすが穂村さんだ。実にバシッとこのエッセイを

穂村氏の直球で締めくくってくれた。三振、バッタ

ーアウト! 試合終了。5-1でほんじょさんの

勝ち。

(読了日 2024年1・11(木)11:20)





















































































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墓を探す   川上弘美

2024-02-26 02:03:59 | 川上弘美
中公文庫   1996年

先祖に憑依した姉のふくらはぎを見つめて

歩き、墓を探す姉妹の物語である。

先祖は大事であり、その先祖が祀ってある墓を

父の幽霊がつまらないから先祖の墓を探して

くれ、と言ってきた。というのも、とても怖い。

ちょっとヘンな人なのかな、今更ながら川上さ

んのことをそう思う。いや、相当ヘンな人だ。

キレイなのに、残念な人と言われてしまいそうだ。

部屋も汚いし、すごくエッチだしね、川上さん、と

勝手に思っているわてだった。

芥川賞を獲ってから27年も経っているのか。そうか

この作品も27年も前のか、それにしては、全然、

古びていない。それどころか、今の感覚ととても

合致するところがある。




































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婆  川上弘美

2024-02-23 14:26:20 | 川上弘美
中公文庫 1999年

一回は挫折して、寝かせてあったが、この

「婆」を読めて本当に良かった。こういう

ナンセンスというかシュールな感じなのが、

好物の人にはたまらん一篇。傑作のなのは、

穴の中に入って味の分かるようになった主

人公が、茂みに隠れて足音を見ている人に誘わ

れて、過ぎ行く人の腰から下をじっと見る、

っていう。なんかいいよね。その意味の分かん

なさ。これぞ、文学だよ、と思う。穴の中に

入った主人公がある種、覚醒する局面の一節、

「目を開けると月がいくつもいくつも飛び回っ

ていて、挨拶するように、接吻するように、

軽く顔や体に触れる」ってところ。

ナイーブで、感じやすく、それで、目覚める

感じが出ていて、すごくいいよなあ。

うーん、この人は天才だな。

(読了日 2024年1・6(土)22:52)
              (鶴岡 卓哉)

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ぱいかじ南海作戦    椎名誠

2024-02-16 11:22:48 | 小説の紹介
新潮社 2001年

ふらっと立ち寄った南の島の海岸に

その男たちは住んでいるようだった。

そこで宴で盛り上がっていると、あ

くる日、宮のおっちゃんの荷物は

男たちに全部盗まれてしまっていた。

そこに住んでいると、オッコチ君や

アパやキミという24歳の女子が現れ、

またコミューンを形成していく。

盗人たちは島の外れに住んでいるらしく

仇討ちをしようとアパたちと盛り上がるが

宮のおっちゃん36歳がひとり、仇討ちに

行ってしまうが、盗人たちは、平謝りに

謝って来る。仕方なしや、許してやると

なって、また、その住む条件の悪いところから

一緒に住まわせてくれ、という。盗人たちと

住むことに。元妻のCMクルーたちは来るわ 、

旧友は来るわ、で、オッコチ君は秘書のように

立ちまわってくれる。

そのCMクルーの荷物を略奪してしまうという

計画が宮本の頭をよぎり、さて、どうなるのか。

その略奪計画というところで、この本は終幕

を迎える。

非常に話の展開が早く、出しおしみしない

感じがシーナ氏らしい。

ぱいかじ、とは南の島に吹く心地よい風の

意味だそうです。

(読了日 2024年1・6(土)18:30)
              (鶴岡 卓哉)
       














 















































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トカゲ  川上弘美

2024-02-15 21:31:31 | 小説の紹介
中央公論新社 1999年

弘美氏には不思議系と日常系とエッセイと三本立て

だと思うのだが、これは不思議系の短篇。

幸運の屋敷トカゲが主人公でこのトカゲが妙なこと

になっていく。

どんどん大きくなってゆき、そのトカゲの肉を食べて

しまう。いや、トカゲ自体は肉を食べても生きている

らしく。それは肉としてどんどん食べても平気らしく。

カレーやシチューににしてしまうらしい。そして、

どんどん濃密に甘いニオイが漂ってきて、カメ

ガイさんは仲間にされてしまい、幸福化していって

しまうというんだが、読んでみると、その奇妙さ

はちょっと宗教的で気味悪く感じるくらいである。

(読了日 2024年1・6(土)0:54)

































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アブサンの置土産  松村友視

2024-02-09 07:09:09 | 本の紹介
今日は、昨年、2023年の最後に読んだ本、

アブサンの置土産ですよ。

河出文庫  2000年

この本の前に帰ってきたアブサンという本

があるらしい(その後、購入するも、積読

した)。

この本は、古本屋(アカデミイ書店)にあっ

た。それも、110円なので、この前、アブ

サン物語が面白かったので即買いに走った。

カミサンの手の中で二回おしっこをしたという

アブサン。幸せだったのだろうなあ。

愛猫というのは不思議なもので、いつまでも心に

住み続けるものだ。ぼくも飛びちゃんという猫

を15年飼っていたが、今でも、2018年に

死んだが、夢うつつの中で飛びちゃんがいるんでは

と思ったりする。たまに触れたりすることもある。

とても愛おしい存在というものだ。多分、この

愛しさは一生続くのだろう。ぼくも今まで飼って

きた少年時代の猫たちは未だに心に住んでいるから、

それは確かなことだと言えるだろう。


 
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物語が、始まる  川上弘美

2024-02-05 03:05:16 | 小説の紹介
中央公論新社 1999年

これは果たしてSFなのだろうか。雛型という

成長型アンドロイドみたいなものを拾ったと

いうんである。それが成長して、どんどん一日

で一年老いていってしまい、死んで捨てられて

いた状態に戻るまでを描いた表題作の短篇なの

である。

こういうのはなにも考えず、ずいずいっと一気に

読んでしまうのがコツなのであるが、ぼくは生憎

ラストで風呂に入ってしまって、風呂の中で、ちろ

ちろとこの短篇のことを考えてしまった。

面白い、と思う反面、実にお間抜けな話でもあり、

よくこれを書こうとしたな。実際に書いた弘美氏は

凄いな、と思った。ラストまで実際に読んでみたが

驚愕するようなことは一切なく、つつがなく終わる。

えっ、これでええんかい、と思いつつ、次の作品に

想いは注がれるのであった。(少し寝かせていおいた)

(読了日 2023年12・26(火)20:45)
                (鶴岡 卓哉)


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ガリコン式映写装置  椎名誠

2024-02-02 07:27:22 | 本の紹介
久しぶりに、レビューをうpしようかしらん。

今日は久しぶりに読んだシーナ氏ですよん。

幻冬舎文庫 1994年

シーナ氏の映画第3作目「あひるのうたがきこ

えてくるよ」についてが第一部にあたる部分に

描かれている。

撮影秘話などだが、ぼくは正直あひるには興味が

それほどないので、何度か本を読むのをやめようと

思ったのだが、ついつい読んでしまって、カメラに

対する熱い情熱や、映画に対する滾る想いなど、映

画好きとして、とても面白かった。

映画に対してこんな沸々とした愛情を表明している

のを読むと心が和むんである。

ぼくも2023年60本くらい見たが、若いときは

年間200本くらい見ている時もあった。

今までで、五千本くらい見ているんじゃなかろうか。

ガリコン式映写装置のガリコンとは、ガリコンガリコン

とフィルム駆動のハンドルを回しているところ、

だそうである。

(読了日 2023年12・26(火)16:10)
                (鶴岡 卓哉)    
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