古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

それからはスープのことばかり考えて暮らした 吉田篤弘

2024-03-31 14:23:35 | 本の紹介
昨日はユーチューブのことを一日中、やっていた。

できたのは、大したもんじゃアないね。なんか、

画像悪いし、ダメだね。音楽はこだわったけどさ。

中公文庫 2006年

ユーチューブでさる人がこの本を紹介していて、

タイトルが気になっていた。古本市で見つけたので

さっそく買ってみた。三日ほどで、読んでしまった

のだが、ひとつ、ふたつ気になるところがあった。

ひとつは主人公が喫煙者であること。サンドイッチ

屋で働くことになるのだが、サンドイッチにこだわ

っている割に、タバコを吸うのはとても良くない。

指に臭いがついてしまっているではないか。これ

では、サンドイッチに誠実とはとても言い難い。

もうひとつはスープのことについててなのだが、

最後においしいスープの作り方めいたものが箇条

書きで述べられるのだが、いかんせん、こんなのを

実行したとて、おいしいスープが実際にできるとは

とても思えない。どれも絵空事めいていて、あまり

没入はできなかったかな。それに、サンドイッチ屋

なのに、パンをそこで作っていないらしいことも気

になった。

広島の金座街にとてもとてもおいしいサンドイッチ

屋さんがあるのだが、そこにはおっさんとお兄さん

ではなく、優しそうなお姉さんがいて、高級食パン

を焼いている。高級食パンと言ったが、サンドイッチ

は具沢山でふんだんに入っているのに、とても安い。

ボンビーなぼくでも安心して食べられるくらいの値段

設定だ。最近はよくそこへ食べに行くのを、楽しみ

にしている。

(読了日 2024年1・31(水)16:16)
 










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ユーチューブ・再開?+東京十二契 野坂昭如

2024-03-29 12:05:26 | 本の紹介
このグーブログもほっておいたら、見てくださる

ひとも減って来て、まあ、そんなもんか、とも思

うのだが。まあ、おちおちもしていられない、っ

てわけで、ユーチューブをまた、本格的に再開し

ようと思いましてね。まあ、見ていただける人も

限られているとは思いますが。なにせ、地味です

からね、やろうとしていることは。20回とか、

そんなもんでしょ、多分ね。地道に続けようと思

って。継続は力なり、を信じて。ぼくのあげた動

画もそんなに悪くないな、と思いましてね。まあ、

それなら、いろいろ試してみようかな、と。グーブ

ログはグーブログで書評とか、今まで通りやっていって

ユーチューブではユーチューブでやっていこうかと、

取り敢えずは思っている次第ですがね。どうなるかは、

パソコンの調子次第ですが。

今回は東京十二契ですよ。

文藝春秋 昭和57年

けっこうダウンタウンに生前いじられていたりして、

キワモノ的な側面もあったのかな、と思う。

不良もマジメもここまで行けば、ホンモノに

なるのかな、遊女狂い、酒狂いに明け暮れ、

おカネもとことん散財し、引っ越しを繰り返し

不義理を繰り返す、若き日を振り返る。

十二の場所に絡めて、思い出と共に描き出す。

そのほとんどは戦後すぐのころのことだ。

表参道には赤とんぼが飛んでいた、というのだから、

今とは全く違う光景だったのだろう。2015年

85歳まで放埓に生きた野坂氏は、全く

今の作家たちが味気なく思えてくる濃い一冊だった。

直木賞作家だけあって、その文章には光るものが

あった。
























































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大都会隠居術    荒俣宏編・著

2024-03-22 07:35:07 | 本の紹介
光文社  1989年

バブル期に著されたという、大都会での

隠居する際の心構えなどを22名の作家

さんから学び取ろうという趣向の本書。

ぼくもよわい50を過ぎて、そろそろ

隠居のことなども視野にいれつつ、ひとつ

世にひとつやふたつ足跡を残しつつ、そう

しようという心積もりだ。あわよくば、ベスト

セラーなんぞをだしてからの隠居が望ましいな

などと勝手なことを目論んでいる。詩人としても

出版しておきたいものも幾つかあるし、そうやす

やすと隠居もできまい、と思っているが、憧れの

隠居、それも大都会。いいなあ、早くじいさん

になってカッコいい隠居ライフを送ってみたい

ものっす。

(読了日 2024年1・25(木)4:20)




















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ひかりごけ  武田泰淳

2024-03-20 07:12:52 | 小説の紹介
近頃は、公募に応募する原稿をやっていて

手いっぱいでうpができませんでした。

なかなか余力がなくて。けど、もう目星も

つきましたので、今回は、ひかりごけ、ですよ。

新潮文庫 昭和29年

昭和に燦然と輝く名作をひとつ。校長とみた金緑色の

ひかりごけ。第二章では、舞台劇の台本の体をなし、

漂流し、ハンニバル(人食い)をしたことが、脳内で

演じられることになる。

この人食いだが、日本文学にはひとつの人食いの文学

というジャンルがあるらしく、開高健氏、や、大岡昇平氏

、最近では村田沙耶香女史がこのジャンルの奥地へと

踏みこんでいるようだ。

この人食いの是非は明かであると、ぼくなんかは短絡的

に考えてしまうが、武田氏によると5つの罪の重さに分け

られるらしい。それは、ともかくとして、我々は文明人

であり、究極的立場に立ったことがないので、ほんとの

ことは理解しづらいのかもしれない。

死ぬほど腹が減ったら、天皇の名のもとで、もしかしたら

食っちまうかもしれない、とも思うのだ。それは、とても

恐ろしい妄想でもあるが、そっと夜の帳の隙間から入り込み

ぼくの脳を揺り動かすのだものだ。そして、人の頭の

うしろに金緑色の輪っかができているを恨めし気に見据え

るだろう。

(読了日 2024年1・20土 8:40)
             (鶴岡 卓哉)



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海肌の匂い    武田泰淳

2024-03-09 09:11:41 | 小説の紹介
新潮文庫  昭和24年

ダイボの船には女子供は乗っちゃいけねえことに

なっていた。市子は不漁続きのダイボ船に秋山の

じいさんと話したことからひょんなことにそのダ

イボ船に乗ることになってしまった。

気狂いの娘がいたり、その漁師町がイキイキと

描かれてゆく。それで、ダイボ船に乗った市には

冷徹なる視線が注がれる。

ああ、魚が獲れて欲しいなあ、と思いながら読んで

いると、マグロの気まぐれでついに大漁。ぼくは

感涙したね、ほんと。そのたくさん獲れて跳ね回る

様のその描写がまたいいんだわ。手書きでしか書き

得ない風合いがあって、丁寧に書きこまれた短篇の

日本映画を見ているようだった、高倉健がでてくる

ようなね。

(読了日 2024年1・17(水)10:45)
                (鶴岡 卓哉)

          






























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異形の者     武田泰淳

2024-03-08 08:07:03 | 小説の紹介
新潮文庫    昭和25年

加行に行く時間に遅刻した者を監督といわれる

ひとが殴ってしまうことで起こる争議。

”私”は殴ってしまっては、殴った監督と同じにな

ってしまい、批判する資格も失ってしまう。

これは大殿に籠もり、断食をして抗議をしたほうが

良い、という。遅刻したから殴るとは、なんと乱暴な

僧侶もあったものだ、と思う。が、僧侶見習いが、

ぞろぞろと緊張感もなく、遅刻したり、不真面目なの

もどうかと思う。

この宗教には何らかの問題が存するらしい、と感じさせる。

ぼくはスキンヘッドで僧侶を気取っているが、特に僧門

に入ろうとは思わない俗物だ。

 















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どんぐりと山猫 宮沢賢治

2024-03-03 06:56:09 | 小説の紹介
旺文社文庫

こういうのを読書感想文というのだろうか。

少し照れる。小学生みたいだ。

いちばんえらいのは大きいのだ、とか、背が

高いのがいちばん、とか、いやいや、頭のとが

っているのがいちばんえらいんです、と誰がい

ちばんえらいのかの裁判に刈りだされた一郎。

そうだな、いちばん大きのがえらいことにしよう、

とぼくなどはつい口走ってしまいそうだが、この

一郎さんはちがう。この中で、いちばんえらくな

くて、ばかで、めちゃくちゃで、てんでなってな

くて、あたまのつぶれたようなやつがいちばん

えらいのだ、と判決します。

どんぐりたちは、皆、黙ってしまい、一郎くんの

報酬になり、家の前では光を失い、ただのどんぐ

りとなってしまいます。結局は、言うに及ばない

ことなのです。だれもいちばんえらいなんてこと

はないんです。みんないちばんえらくて、いちばん

だめで、めちゃくちゃなのれす。







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流人島にて 武田泰淳

2024-03-02 06:39:43 | 小説の紹介
今日は、気が向いたので、レビューの

ほうをやっていきましょうかね。

新潮文庫 昭和28年

最近のぼくはすぐにわかるものはなんか

インチキ臭いと思い始めていて、分かり

にくいものほど真実を訴えているのだ、とい

う考えになってきている。そういう点で泰淳

さんの文章はリアルだ。

現実というものを捕まえていて、ものの本質を

捉えていると言える。

名前は明かにされていない流人島において、

殺されたものの、殺され切れなかった男が、親指を

よこせ、という。つめるわけだが、本懐を無事達し

島を離れてゆくと、東京湾に入り、花火が打ち上げ

られる風景。なんかすごく絵になって、かっこよか

ったなあ。











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