古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

片道切符   野尻抱介

2023-05-31 13:37:01 | 小説の紹介
ハヤカワ文庫  2002年

この短編で特筆すべきは、セックス、宇宙でのセックスが

描かれていることだろう。今まで、リアルで宇宙空間でセ

ックスした人っているのだろうか? 宇宙飛行士は歳の人

が多いから、千ズリも厳しいかも知れない。おっ、ザーメ

ンが空中遊泳している、なんてことはあまりないのかもし

れない。でも、ぼくは、千ズリくらいはしてみるべきだと

思うのだ。これは重要なミッションだ。国家の威信をかけ

た千ズリ。あんまり気持ちいいものでもないのかもしれな

い。

この短編は2002年に書かれているので、9・11のテ

ロが色濃く反映されている。ワンウェイ火星への旅。うー

ん、火星に行って帰ってこれないのはちと辛いな。

    (読了日 2023年5・12(金)20:20)

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旅人 ある物理学者の回想 湯川秀樹

2023-05-29 23:01:19 | 本の紹介
角川ソフィア文庫   昭和34年

想えば、高三のとき、なんの因果か、文系のぼくなのに

物理をとってしまって、すごく難解な問題に四苦八苦し

て、それでも、数学的な思考は嫌いではない。

湯川氏といえば、国民的な偉人だが、なにをして、偉く

なったのかは実際はよくしらなかったし、この本を読んでも

まったく分からなかった。とっつきは、退屈なカチカチな

人かな、と思っていたが、読めば、なかなかにして砕けた人で(

そうでもないか)、声の小さな人だったらしく、孤独な人

であったらしい。それでも、協力者には恵まれていたらしく、

先生と呼ばれる人がたくさん出てきて、こういう世界も嫌いでは

ないので、楽しく読めた。元々は文系の人だったらしく、やはり、

物理でもそういう頭は必要なんだな、と思った次第。

     (読了日 2023年5・12(金)13:50)
                     (鶴岡 卓哉)
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轍の先にあるもの   野尻抱介

2023-05-26 13:15:58 | 小説の紹介
「沈黙のフライバイ」所収   2001年 ハヤカワ文庫

探査機が小惑星に着陸しようとして写真を送って来る2001

年。

それから20年以上経った2022年。長いロープを張った

宇宙移動装置もできて、作家でもある主人公は、あの小惑星

エロスに降り立つ。これはきっと野尻氏の妄想を描いている

のだろう。その降り立ったエロスで、エロスの裏側で衝突が

起こる。2001年の写真に深さの浅く細い轍のあとが映っ

ていたのだが、その衝突によって、飛来した車輪のあとが轍

だったことが明かされる。ここのところがぼくは正直よく

分からなかった。車輪とはなんなのか? なんの車輪なのか

頭が悪いせいか、よく分からなかったので、腑に落ちなかっ

た。

へえ、となんとなく頷きつつ、次の短編への期待に胸が高鳴

った。
 
      (読了日 2023年5・9(火)15:47)
                     (鶴岡 卓哉)            

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へんないきもの   早川いくを 絵・寺西晃

2023-05-25 06:07:05 | 本の紹介
新潮文庫   平成16年

地球上で一番気持ち悪いいきものは? と聞かれたら、

コモリガエルと答えるだろう。オスの背中でふ化して

穴ぼこから赤ちゃんが出てくる恐怖。一度見たら忘れ

ないだろう、と実際は見たことないわけだが。あと、

驚いたのがアイアイという猿だ。アーイアーイと呑気

に歌っている場合ではない。「悪魔の遣い」と言われてい

て、肉食だという。顔にもかわいらしさは一片もない。

ぼくが子供のころ、カッコいいと密かに思っていたのは、

シュモクザメ。ハンマーヘッドシャークってやつだ。

このフォルムの奇妙さ、カッコよさは他にはなかなかない。

近年ではエラからフカヒレを取るので乱獲され激減してい

るという。

     (読了日 2023年5・8(月)23:20)
                  (鶴岡 卓哉)
           

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うらおもて人生録     色川武大

2023-05-24 11:43:59 | 色川武大
新潮文庫   昭和59年

今の若い人の文学がつまらなく思え、ウソクサく思えるのは

優等生の文学であるからなのだな、と確信した。

人生は結局、五分五分だと言いつつも、9勝6敗を目指せ、

という。でも、誰もが勝ち越しを狙っている。だから、誰か

は負け越したりするもんだろう。理屈から言えばね。ぼくは

劣等生だったので、高校も進学校だったが、やっと卒業した

くらいで、卒業できたのは一点だったが、中身は敗北。出てからも、

負け続けだった。

文学賞に出すも、ずっとだめだし、そこの負けを生活の上で多少

点数を取って、健康で暮らせているくらいだ。人はフツーに生き

ているだけで、運を使っているらしいので、ぼくも生活の上での

運を使い過ぎているのかもしれない。これでは、いつになったら、

デビューできんのか、分かりやしない、と思うのだ。でも、続け

られる状況にあるならば、文学を続けられたらな、と思っている

次第である。

         (読了日 2023年5・8(月)15:27)
                       (鶴岡 卓哉)
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沈黙のフライバイ   野尻抱介

2023-05-22 02:41:29 | 小説の紹介
早川書房    1998年

始め、沈黙のフライパンだと思い込んでいて、フライパン

ってヘンなの、と思っていたが、フライバイだった。

フライバイとは側方通過と訳されているが、どういうこと

なのかは分からない。第一、この短編の半分は正直、なに

を言っているのだか、文系のわたくしめにはちんぷんかんぷん

なのだ。

話の骨子は分かるよ、他星系に生命体がいて、信号を

よこしたけれど、メッセージはなにもなかった。

写真ばかりが送られてきたのみだ、ということらしい。

シーナ氏の描くSFとは切り口とか、アプローチの仕方

が全然違うSFなのだな、これが。

      (読了日 2023年5・3(水)11:16)
                    (鶴岡 卓哉)
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あっぱれ 日本旅!   たかのてるこ   

2023-05-20 10:55:07 | 本の紹介
世界一、スピリチュアルな国をめぐる 幻冬舎 2014年


東日本大震災を機に18年勤めていた会社を辞め、「地球の

広報・旅人・エッセイスト」として独立した初めての作品。

高野山の宿坊でプチ修行旅~憧れの空海&美坊主たちとの夜

~高野山で体験したプチ修行の様子を描く。テンション、やや

高めなので、一回目読んだとき、そのテンションの高さについて

ゆけず、この章で放り出して、五年。この前、ダライ・ラマに恋して
 
を読了したので、また手に取ってみた。2nd TRAVEL

ここで、お母さんのことをおかんと表記しているのだが、ぼくは

それがだめでスルー。おかんとはなんとも下品な良いようだ。

3rd TRAVEL アイヌのシャーマンの家でホームステイ

てるこさんは誰とでも仲良くなれる特技があるようだ。ぼくには

そんな才能はないので、羨ましいやら。アイヌのビッグマザー

のお宅でお世話になる。4th TRAVEL 癒し系「農家

民宿」で収穫ヒーリング。佐賀で過ごした日々。佐賀弁まで再現していて

会話の記憶力、パねえな、この人。5th TRAVEL 沖縄

最強の「ユタ」のお告げ&「神の島」で開運デトックス、11日間の

沖縄旅。ぼくみたいにこういう裸踊りする人とかムリな人には、

到底、マネのできない人と人との付き合い方。けど、憧れは特に

ないかな。でも、面白く読めて、日本好きにはたまらん一冊。

        (読了日 2023年5・2(火)22:35)   

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母を恋うる記     谷崎潤一郎

2023-05-19 09:53:26 | 小説の紹介
新潮文庫    大正8年

美しく暖かいファンテジーであり、(中略)名品である。と

解説にある。ぼくは読んでみて、特に大したストーリーじみた

ものもなく、文章を読んで泳ぐ感じが、文体で生きているな、と

感じさせた。

たしかに、ファンタジーといえるだろう。なおも、聴覚型の

作家だという指摘もあり、「天ぷら喰いたい、天ぷら喰いたい」

という三味線の音と共に聞こえてくる、「チンコロ踏んだ」と

聞き違える、と書いてあるが、これはどういうことかよく分か

らない。とにかく、潤一郎氏にはパンチラインのように、「

天ぷら喰いたい」というのが聞こえたことはたしかなようだ。

    (読了日 2023年 5・1(月)2:37)
                  (鶴岡 卓哉)     



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ランゲルハンス島の午後 村上春樹・文 安西水丸・絵

2023-05-18 02:49:42 | 本の紹介
新潮文庫    1984年

今の春樹さんはラジオをやられていたり、なんやかやと

とても忙しそうに見えるけれど1984年の春樹さんは

とてもヒマだったらしい。ヒマを持て余してボーッとし

ていたらしい。いや、そういうとまるでバカみたいだが。

春樹さんはギョーザがお嫌いらしい。なんであんなごはんと

食うとめっちゃうまいギョ―ザが嫌いなのかは書かれて

いなかった。

デパートはお好きなんだとか。家の近所に5軒もあったら

しい。この本を買った理由は、春樹さんの文章にあるわけ

ではなく、安西氏の絵がいっぱいのっているからだ。

ぼくは安西氏の絵がとても好みなのだ。あの脱力系の省エネ

の感じが才能を感じさせる。どの絵もステキ度の高い、いい

絵だったのでページをめくるごとに楽しかった。

   (読了日 2023年4・27(木)21:20)  
                  (鶴岡 卓哉)
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二人の稚児     谷崎潤一郎

2023-05-17 10:50:16 | 小説の紹介
新潮文庫       大正7年

とても宗教的で宗教用語がばんばん出てくるし、文章も

はなはだ難しい。日本語の美を追及すると、こうなって

くるのか、とも思う。

二人の子供が、修行で寺に預けられ、女というものを想像

して煩悶するわけだが、ここで問題となってくるのは、必ず

しも女と言うものすべてが美しいわけではない、というこ

とだ。中には外見は美しいが、心が鬼のような人もいるし、

外見が鬼のような人も中にはいる。大阪のおばちゃんに会わ

せれば、一気に女というものに興味を欠くようになるだろう。

そして、一番の問題は、心も体も美しいのは女の人生の中で

は一瞬と言うことだろうな。これはセクハラなのかな。

実際、ぼくはとんでもないおばちゃんにしか会ったことがない。

だから、真実でもあるだろう。

      (読了日 2023年4・27(木)16:16)
        
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