古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

わたくし率イン歯ー、または世界    川上未映子

2021-12-15 01:19:24 | 川上未映子

講談社文庫   2007年

 

津原泰水の黄昏抜歯からの盗作を揶揄されている作品で

 

これに対し川上女史は明確な解答をしていないらしい。

 

この問題では、ぼくはそんなに盗作めいていないんじゃ

 

ないか、と思っている。歯をテーマに書けば似てくるイ

 

メージもあるわけだし、歌手が他人の歌をうたっちゃい

 

かんというわけでもなかろう。この「わたくし率~」は

 

確かに川上女史が自分のものにしていると感じられた。

 

イメージを借りるっていうのは、別にいいんじゃないか、

 

と思うけどね。もっとあからさまに、昔の話をモチーフに

 

パクっている作家はけっこういるしね。

 

それに、たぶん津原氏の作品より、川上女史の作品の方が

 

おもしろく書けてるんじゃないか、と思う。そこら辺が逆に

 

問題だったりするのかもしれませんね。

 

 

 

 

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乳と卵    川上未映子

2019-08-09 00:11:47 | 川上未映子
文春文庫     2008年


芥川賞受賞作。


これを読むと、そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります、はわざと


難解に書いたのかとも思われるが、未熟だったためらしい、というのが真


相のようだ。


ずいぶん文章が巧くなっている、よどみなく、自説というか小説らしい、


理屈っぽさで責め立ててくる。それはそれで嫌いじゃない、川上さんの文体


は上手下手に限らず独特の魅力がある。音楽をやられているから、リズム的


なことなのかもしれないが、ボクの感覚と合うようで。でも、音楽をやられて


いるところを動画で見たがそっちは趣味じゃなかったので、見なかったこと


にして、動画を静かに閉じさせていただいた………………合掌。


                          (鶴岡 卓哉)  

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そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります  川上未映子

2019-01-24 11:01:59 | 川上未映子
講談社文庫  2006年


あとがきまでしっかりと読んだ、直後になんかしらんが


目がうるうる、なんだろうこの感じ。


未映子さんは中学の時から働いていたそうだ、そういう


苦労話(おいおい、また君は美人の苦労話を信じるのか、


という声がどこからか聞こえてきそうだが、おれっちは


信じちゃうもんねえ)や、両親の流血のケンカ話など、


素顔が見えてくる。


サボコ、サボテンの話しも効いている。ボクはこういう


植物の話しがけっこう好きだ。


三浦しをんさんも育てている観葉植物がどうの、とエッセ


イで書いておられた。


未映子さんの「あはん」は、明らかに、ボクの書く気色の悪い


「あはん」とは違う。そこには女流文学の発芽としての瑞々し


い「あはん」があるのだ。

                    (鶴岡 卓哉)
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