ジョブズ氏逝く-コンピューターを芸術の題材とし表現した初めての人
こんにちは。匠技術研究所の谷山 亮治です。
"Stay hungry, Stay foolish."
アップルの創立者の一人であり経営者であったスティーブ・ジョブズ氏が56歳で亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。
ジョブズ氏はアップルの創立者でした。彼が米国スタンフォード大学卒業式での祝賀講演の中で、自分の生い立ちを話しています。冒頭の言葉は氏が卒業生に贈った言葉です。
氏は未婚の大学生の母のもとに生を受け、大学まで行かせてやることを約束してくれた養父母に育てられ、大学に入りましたが学問には熱心ではなかったそうです。大学時代の氏はカリグラフィー(文字の装飾表現。書道と誤訳されることもあるが似て非なるもの。)に興味を持ちその方面に熱中していたとのこと。
彼の製品の仕上げにこだわる原点がここにあると、私は考えています。カリグラフィーは文字という制約の中で表現を見つけていきます。文字という表現を外したものはカリグラフィーではないのです。カリグラフィーは「文字であること」という、外しようのない制約条件の中で美しさと、実用性とのバランスで様々な表現が行われます。カリグラフィーが絵画など他の題材と決定的に異なるのは、好きな題材を好きなように追求できる分野ではないのです。
若きジョブズ氏が傾倒したカリグラフィーは、後に氏が「コンピュータ-」という制約条件の中で美しさと、実用性とのバランスをとりながら「表現した製品」という分野を確立しました。氏は好きな題材を取り上げ、好きなように創ってきたと思われがちですが、決してそうではなく、「コンピューターであること」の制約条件の中で、どこまで「コンピューターという表現を追求できるか」に取り組んできたのです。
ジョブズ氏の代表的なものは「アップルコンピューター」、コンピューターを使った画像表現の「ピクサー」、そして後半、アップルに戻りやりたいことを実現した「NeXT」。「Mac OS」コンピューターは「NeXT」で変身し、近年ではMac Book Airにみられる「Mac」としての表現。コンピューターを音楽やビデオを蓄積し再生する壺として使った「iPod」。そのコンテンツを配信するゲートウエイ「iTuns」。iPodという蓄積型情報をリアルタイムの生活と融合させた「iPhone」。さらに画面が大きく、扱いやすいデバイスのあり方を示した「iPad」。
氏が表現したものは「物理的なもの」のみならず「AppleStore」等にみられる「サービス」そのものも題材でした。誰もが使う「コンピューター」を創造し、それを基に物理的な面とサービスというソフト面両方を一体化させたものを「創造」したジョブズ氏の功績は、「コンピューターの実用生を高め大衆化し、隅々まで広げた芸術家」として未来永劫歴史に残るでしょう。改めてこの天才に感謝と尊敬を表します。
'You've got to find what you love,' Jobs says
Stanford Universityでの卒業生への記念講演(動画、テキスト)
ジョブズ氏の生き様を支えてきたことが端的に表現されています。
ぜひ、ご一読・ご一見を。
'You've got to find what you love,' Jobs says
日本語訳はこちらから。
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レポートの提出
日本にいる家族、友人との会話、諸連絡
趣味の追求
地図の閲覧
たまの映画鑑賞
などなど...
上に挙げたこれらは全て、私がパソコンで日常行っていることです。パソコンが無ければ途端にこれらの習慣はままならなくなります。海外にいると電話は逆に不便なこともあるので(インターネットにアクセスしにくい、等)、こちらでの友人との連絡も殆どパソコンで行っています。そもそもこのように谷山さんといつ、どこにいても連絡がとれるのもパソコンが世に広まるまで考えられなかったことでしょうし。
改めて思うと、ここまでパソコンに依存した我が生活に驚きます。ましてそれに心地良さを感じているわけですから。
世界中の人々をこのような形で自分の芸術に巻き込んで行くビジョンを、ジョブズ氏は始めから抱いていたのでしょうか...匠技研で学ばせて頂た経験が無ければ、ジョブズ氏はおろか、コンピューターに興味が沸くようなことも無かったと思います。
コメントを書いていたら帰国して谷山さん達のお話を伺えるのが待ち遠しくなってきました。
ブログへのアクセス。コメントありがとうございます。
私がこの業界にいて常に感じていることは「人は、思いを伝えること」にとんでもなく執着している生物だということです。
テレビや電話、インターネットの普及に見られるように、コミュニケーションをするためには莫大な投資をしています。コンピューターは今のところその手段に過ぎません。
私はこのような人をつなぐ仕事をしていることが楽しく、これまで続けてこれましたし、これからも続けていきます。
きっかけは、単純なことで父が買ってくれた「玉川大百科事典」の中で「ナスカの地上絵」を知ったことでした。「なぜ地上では判らないほどに大きなものを描いて誰に何を伝えたいのだろう?」と。大仏、寺、踊り、歌何でもそうなんです。
私は都士磨君の首の一振りで「同じことをやっている人」と親近感を覚えました。
またお会いできることを楽しみにしています。タイにも訪問し、違う環境の中でいろいろとお話しできればと思っています。