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「ジャパネスク・リスペクト! 氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』トリビュート集」松田志乃ぶ他

2018年09月30日 19時53分55秒 | 読書(小説/日本)


「ジャパネスク・リスペクト! 氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』トリビュート集」我鳥彩子/ 後白河安寿/岡本千紘/松田志乃ぶ/山内直実/後藤星

氷室冴子さんが亡くなられたのが2008年。(10年が経つのですね……)
本作品は、氷室冴子さんの名作「ジャパネスク」へのトリビュート作品。
即ち、集英社公認、禁断の二次創作集である。

P171
「瑠璃姫の?」
 由良姫はこくりとうなずいた。
「鴛鴦殿でお別れしたとき、瑠璃姉さまはね、由良に、こうおっしゃったの。『心の傷が癒えるまで、辛いだろうけど、頑張るのよ、由良姫。愚痴でもなんでも煌姫に吐きだして、支えてもらいなさいね』って。『煌姫がそばにいると思えば、あたしも由良姫のこと、安心できるわ。なんだかんだで、煌姫は、頼りになる、信頼できる人なんだから』って」
「ま」
 たまには、瑠璃姫も、気のきいたことをいうではないの。
「『煌姫はド貧乏な暮らしのせいで、倫理観がぶっ壊れているし、人間性その他にはなはだ問題の多い守銭奴拝金主義者だけど、そのぶん、根性があって、頼りになるわよ。意外に裏表がないし、清々しいほど物質主義者だから、割り切ってつきあえば大丈夫だわ。姿かたちは花のようだけど、中身は踏まれるほどに強くなる麦のようなしぶとい人だから、余計な気遣いもいらないし、友人としてつきあうには、気軽な相手よ』……って」
「……」

【感想】
本作品で面白かったのは、松田志乃ぶさんの「ジャパネスク・ネオ!」。
そのためにだけでも、購入する値打ちがある。
改めて、氷室冴子さんの後継者は、松田志乃ぶさんと感じた。(+荻原規子さんも入れたい)

【蛇足】
読んでいて、だんだん煌姫が馨子と重なってくる。
さらに、由良姫が宮子に見えてくる。
ここは賛否両論分かれるかもしれない。
まぁ、両者のファンとしては、馨子と宮子のルーツは煌姫と由良姫、と。
それが分かったのが収穫、と。

【ネット上の紹介】
少女小説の名作『なんて素敵にジャパネスク』を愛する作家が夢の競演! 現代を舞台に、とある姉弟の大事件を描く『じゃぱねすく六区』、 幼い吉野君とのエピソード『み吉野に 春は来にけり』、 結婚から10年経った瑠璃姫・高彬夫妻の物語『女郎花の宮』、 由良姫を励ます煌姫の、名推理が冴え渡るミステリー(!?)など、 ジャパネスクファンが楽しめるトリビュート作品をこの1冊に! コミカライズを手掛けた山内直実のコミックエッセイ、1999年版のイラストを担当した後藤星が描く“名場面”も収録。

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