「昨日みた夢」宇江佐真理
江戸時代を舞台にした、お仕事小説。
亭主が行方不明で、実家に戻ったおふく。
実家は口入れ屋、即ち、人材派遣業。
P14
奉公人を正式に採用するかどうかは、少し様子を見てから決めることになっている。その時に改めて人請証文(身元保証文)に三文判をつき、寺請証文を一緒に差し出すことになっている。
人請証文は一分、寺請証文は百文掛かる。
寺請証文は耶蘇宗でないことを証明するためのもので、きまり屋の檀那寺から出して貰っていた。
P16
一般的に三月五日が出代りの日と決められ、奉公人はこの日で一年契約が切れる。
【ネット上の紹介】
亭主の勇次が忽然と姿を消し、実家の口入れ屋「きまり屋」に出戻ったおふく。色気より喰い気、働き者で気立てのよいおふくは助っ人女中として奉公先に出向き、揃いもそろって偏屈な雇い主たちに憤慨したり同情したり。一筋縄ではいかない人生模様を目の当たりにするうち、自分も前を見て歩いていこうと心を決める―。市井人情小説の名手が渾身の筆で描ききった江戸のお仕事小説。単行本未収録の短篇「秋の朝顔」併録。