新専貨回想

平成の世を駈けたヤード系輸送の末裔

「新専貨」とは何?

2008-05-18 00:45:23 | 新専貨とは

 「新専貨」という言葉に聞き覚えが無いという方もいらっしゃいますとは思いますが、旅客列車に例えれば、「専用貨物列車(専貨)」=団体貸切列車、とすれば、「新専貨」=全席座席指定の快速列車、と言ったニュアンスでしょうか。

 「専貨=団体貸切列車」は荷主が列車単位で貸切らなくてはなりませんが、希望する目的地まで運転停車以外ノンストップ乗り換え無し最短距離で直行し、大口割引もあります。

 それに対し「新専貨=座席指定快速列車」は予約さえすれば1車単位で利用できますが、目的地まで直行する列車の設定が無ければ、ヤード駅で「乗り換え」が必要になり、しかも列車の設定がある線区が限定されるので、最短ルートになるとは限らず、その分若干余分に時間が掛かります。

  旧国鉄時代は更に、「集配列車=全席自由席の普通列車」がありましたが、これは予約無しで1車単位で利用できるものの、連結したい列車が「満席」なら次の列車を待たねばなりません。しかも途中のヤード駅で継送列車が一杯なら、また空席のある列車を待たされる羽目になり、到着日が発送時点で分からない問題がありました。

 この「新専貨」、国鉄時代は「車扱直行列車」と呼ばれていましたが、国鉄も末期になり、ヤードで中継扱いする貨物列車は非効率として全廃し、専貨とコンテナ列車に集約、直行化を推進する方針に転換していきます。しかし、1輸送単位が小さく、かつ安全上の問題で製品のトラック輸送への転換が困難な化学業界からヤード系存続の声が上がり、またそれらの貨物の多くが発着する各地の臨海鉄道が経営基盤を守るため、従来国鉄が行っていた車扱直行列車のヤード入替業務を臨鉄間で相互代行する形として誕生したのが、「新専貨」であります。

 具体例を挙げると、1990年代半ば頃では
東北線 5175/5172レ 川崎貨物~陸前山王(仙台港)
上越・信越・羽越線 3881/3880レ 熊谷タ~土崎(秋田港)
東海道線 3363/3362レ 川崎貨物~笠寺(東港)
北陸線 3561/3560レ 新潟タ~笠寺
山陽線 3865/3864レ 笠寺~黒崎
以上の列車を核とする列車群です。

 「新専貨」はその特性上、化成品タンク車を主体に、種々雑多な形式の貨車が併結され、変化に乏しいコンテナ高速貨物が主役となった中で、ひときわ異彩を放つヤード系全盛期を髣髴とさせる姿に魅了された方も多いと思います。しかしながら、所有者も雑多な私有貨車の混成故、貨車の走り装置の新陳代謝が阻害される結果となり、保守コストの増大、老朽化による輸送障害多発や高速化の妨げになるとして、更にコンテナ化が推進され、遂に2008年3月のJR貨物ダイヤ改正で事実上消滅しました。


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2 コメント

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開設おめでとう! (沢鉄)
2008-05-21 06:20:09
コメントしようがないネタなのですが見させてもらいますよ。
Unknown (雪うさぎ@管理人)
2008-05-21 20:51:21
ようこそいらっしゃいませ。

所詮プリンタのオマケなフィルムスキャナなので写真の解像度はもう一つですが(単に使い方が悪いだけ?)リクエストがありましたらどうぞ。気が向いたら探します。。。

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