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武谷敏子の自分史ノート

埼玉県比企郡嵐山町女性史アーカイブ

『ちいきレポート』46号・編集日記より 1998年

2009-03-23 20:22:00 | 1998年

 埼玉県嵐山町の武谷敏子さんから本誌購読継続の振込みをいただきました。ありがとうございます。武谷さんとはもう四年のおつきあいになります。振り替え用紙の通信欄には毎回必ずひとこと添えてくれていまして、たとえば今回は「最近のルポ、大変興味深く拝見しております。公的介護保険についてもよく理解できました。ますますご活躍のほどお祈りいたします。」武谷さんの温かなお人柄に編集子、(勇気りんりんるりの色)とつい口ずさんでしまいました。
 さてその武谷さんですが、嵐山町でボランティアグループ「一歩の会」を主宰し、月一回、地域の高齢者の皆さんを招いて昼食会を催しています。その活動の様子がことしの一月二十三日付けの埼玉新聞に載っていましたので、概要を以下にご紹介します。

 <会食サービスを実施しているのが嵐山町の志賀二区自治会館。今回の改修で厨房機能を充実し、会食を実施できるようにした。
 現在、月一回、高齢者とボランティアを含めて三十人程度が昼食をともにしている。この会食は、ボランティアグループ「一歩の会」が実施している。メンバー三十九人が二班に分かれ、高齢者用に配慮された料理をつくる。お年寄りは、自分で歩いてくる。
中には二十分かけてくる参加者も。会食室は和気あいあいとした雰囲気の中でおこなわれ、皆生き生きとして会話と料理をたのしんでいた。
 「一歩の会」の会長である武谷さんは「楽しんでやっています。他の地区もできれば」と意欲的。>

 お年寄りと会食を楽しむ「一歩の会」の地道な活動に拍手を送るとともに、高齢期の生活福祉を支援するこうした市民運動が、県内各地域でわき起こってくるのを期待したい。
 若い若いといわれる埼玉県も高齢化が進む。県統計課が一月一日現在の住民基本台帳に基づく町(丁)字別人口調査をまとめたが、老年人口(六十四歳以上)の比率は十一・〇%。前年に比べて〇・五ポイント上昇し、調査開始以来初めて十一%を超えた。
 また後期高齢者(七十五歳以上)の比率も三十六・八%に急増。高齢化の波は確実に埼玉県にも押し寄せている。いまから高齢期における生活福祉を充実していかないと悲惨な事態を迎える可能性も。心して生きたい。  (住吉)


心のおもむくままに 武谷敏子 1998年

2009-03-16 22:40:59 | 1998年

   心のおもむくままに          武谷敏子(埼玉・嵐山町)
 不順な天候はついに各地の水害という忌まわしい結果となってしまいました。
 毎号の「ちいきレポート」楽しみに待ちながら、かつ感心し拝読しています。たまには読後感をお送りしたいと思うことしばしばですが、どういうわけかこの1年来、息つく間もない忙しさです。現に【「地域レポート」】54号を手にしたのもワープロ打ちのさなかでした。どうせならついでにといっては失礼ですが、気分転換にワープロのキィを自由にたたくことにしました。
 何がそんなに忙しいかというと、昨年はわが嵐山町の町政30周年、加えて国立婦人教育会館20周年というどちらも記念行事が10月、11月と続き、イベントのための準備とその後始末(記念誌、報告書などの原稿)で、年の暮れを迎えるという騒ぎでした。もともと幾つかの団体に首をつっこんでいるのが原因なのです。しかも胃潰瘍の悪化で入院してしまったのが、時間的に余裕のない結果を生むことになりました。
 そしてこの8月は婦人教育会館でのジェンダーフォーラムにワークショップで参加するということで、終了後に提出する報告書をまとめ終わり、つぎの仕事の市川房枝記念会の「婦人展望」誌の依頼原稿を書き出したところでした。
 兵庫県城崎町にある先祖代々の墓地問題が突如として我が家をおそい、1年間かけてようやくこの8月初めに終焉をみたというアクシデントも、忙しさに拍車をかけました。……と並べてみるとさほどのことではないような気もしますが、なにしろ24時間夫の介護が控えているわけで、こま切れの時間では能率も悪く精神的負担もバカになりません。
 「一歩の会」の会長交替を申し出ましたが、何としても後任がいないという理由で見送られました。止むを得ずことしかぎりという条件で現在に至っています。
 先日、お茶の水まで薬をとりに東上線に乗りました。電車の往復は読書にあてるのが習慣で、この日は三浦綾子の「塩狩峠」を開きました。通常川越あたりは睡眠中で通過するわけですが、終点の池袋で現実に戻るまでページをめくりつづけました。帰路も同じ経過をたどりました。つまり読書で感涙を流すという珍しい経験をしたことをいいたいわけです。キリスト者の犠牲について実話に基づいて書かれたものですが、アウシュビッツのコルベ神父(「優しさと強さ」)以来の感動でした。
 三浦綾子については「氷点」以外殆ど読んでいないのですが、あとがきにひかれて買い求めた本でした。著者がパーキンソン病であることを知り「難病日記」を読んでいました。北海道で生まれ10代の大半を過ごした私には著者の書く風景描写になつかしさを感じていましたが、必要に迫られて読む本に生われ、なかなか詳説まで手が届かないのが実情です。
 思わぬ長話になってしまいました。心のおもむくままに勝手な言葉を並べているうちに十分気分転換いたしました。
 狭山市へ御転居の由、新たなるご発展をお慶び申し上げます。さらなるご健筆をお祈りいたします。
     「ちいきレポート」55号 1998年10月1日 来信・来訪