goo blog サービス終了のお知らせ 

SMILEY SMILE

たましいを、
下げないように…

『天使の見上げる空は』序

2005-01-14 06:28:41 | 
これから、書こうとするのは、えと、いつだったでしょうか、5年くら

い前、電車の中で考え考えしながら、携帯電話のメモに打ちこんだも

のが元になっている短いお話。

『くじら、ねこ』みたいに長くないから、みなさんの大事な時間をそれ

ほど頂戴することも、ありません。

あ、でも、たまに『くじら、ねこ』の方も読みなおして頂けると、私に

とってこれほどの至福はありません。あれには、私の、




・・・いや、いいんです。

さてさて、はじまりはじまり・・・、と。

また会えるかな?

2004-11-10 03:38:30 | 
さて、いつになったら会えるのでしょう。
しばらくお会いしてませんね。
どうしたらお会いできるのでしょう。
わからないのです。
なにか、合言葉か暗号のようなもの、あったかしら。
呪文、だったかしら?
為す術もなく、ただぼんやりしております。
以前はもっと気軽にお会いできたように思います。
どうしてしまったのでしょう。
なぜ、忘れてしまったのでしょう。
大事にしていたはずなのに。
いつのまにか、指の間から零れてしまった砂・・・。

あなたは私に愛想を尽かしてしまったんでしょうか。
こんな私のていたらくに。
教えてください。
何がいけなかったのかしら。
わからない、何もわからない。
何がわからないのかも、わからない。
わからないってことすら、わからない。
わからないことは、いけないことでしょうか。

確かに、考えなきゃいけないこと、やらなきゃいけないこと、
後回しにして、知らない振りしていました。
ヨワムシ・・・。

死ぬまでわからないんです。
ひょっとしたら、死ぬる間際にわかるのかもしれません。
「嗚呼、そうだったのか・・・」
と。
気付くのではなしに、はっきりわかるのです、きっと。

かなしいことに、私達はわからないのです。
本当です、嘘なんて吐きません。
わからないのです。
ホント。
笑っちゃ、いけません。

はてさて、どこへいってしまったのでしょう。
探しているのです。
どうしたものでしょう。

また会えるかな?

(11/10 記事再掲)




アルバムの言い訳

2004-11-10 03:35:29 | 
「アルバム」は7月に3回に分けて発表したものなんですが、今回改めてまとめてみました。
これは、コメントがひとつも付かなかった名作です。
これに、どうコメントを付ければよいのか、私もわかりません・・・。

これを書いたきっかけは、子供の頃の記憶です。
ある時、アルバムをめくるみたいに、記憶の断片が写真のように浮かんできたんです。
つらつら書きとめていると、興にのってしまい、すらすら書けたんですが、自分としては思い入れのあるものなんですが、人が読んでもなんのこっちゃ?ですね。

子供の頃の記憶のかけら、みなさんにもありますよね。
幸せの風景、思い出したくない記憶、いろんな写真の貼ってあるアルバム、お持ちでしょう?





アルバム

2004-11-10 03:04:09 | 
ひきがえるがお出迎え

「おいで」と、とんぼは、のたまう。

解法、介抱、快方

ねこの後をついてく。

ろうせき

笑う(楽しげに)

返し忘れた本

川沿いを歩いていると、りんごが流れてくる。

もぐらさんの亡骸

オオイヌノフグリ、むしゃむしゃ。

その音は必要がない、とかなんとか。

傘が、ない。

トンネル・・・、転々と転がるボール

もういない

10月だというのに、セミが鳴く。

仮死コウロギ

窓辺で、ひとり、想う。

流れ着いたのは、ショッピングセンター

ペンギンとすれ違う。2羽の内の1羽がなにか呟いた。

目を、こする。

歯が、欠ける

こたつ、こたつ

流刑

汗が落ちた

「さあね」とひきがえるは言った。

傘、さす。辺りを見渡せない

月は、スポットライトのように

ワインを自販機で買うような・・・。

ミュート

ねこも、なにか言った


雨花(アメノハナ)

2004-08-30 05:26:20 | 
雨の日にだけ、咲く花があるという

ぼくは、物心ついた時から、それを知っていて

雨の日は、いつも傘をささない

なんでも、傘をさすと見えないそうだ

濡れねずみになりながらも、その花を探した

スキップしていく

大きな水たまりにじゃぶり

大きな口を開けて、目をつむり、天を仰いだ

そのまま、時を止めた

雨は、音をたてるのを、やめた

濡れた服は重く、ココロは軽く

雨は、僕の四肢をつたい、大地に戻る

水たまりのなかで

ちいさなちいさな青い花、一輪、咲いた




あなたの夢を予告します

2004-08-27 18:56:06 | 
駅で、待っている。

駅には、何が来るのかしら。

あなた、ご存知?

始発も終電もない、

来るときに来て、来ないときは、来ない

ヒグラシが鳴いている。

きっと、もうすぐ、トカトントンが鳴り始めるんだ。

耳をふさいだって、ダメ。

それは、音ではないんですもの。

駅には、誰もいなくて、改札もないし、ホームもない。

駅長だと言い張る男は、夏に別の駅へ旅に出た。

僕は、待っている。

9472644

暗証番号を唱えても、来ないものは、来ない。

メロンを投げると、ホッとする。

そこには、小さい象がいっぱい集まってきて、

みんな運び出そうと必死に汗を流すんだ。

掛け声は、

「みみずくビールは世界一!いのししカレーはナフタリン」

隣のベンチでは、誰でもない人が、誰にも言っていない言葉で寝言を言っている。

トイレは8つあって、そのうち6つは使用中だった。

どちらにしますか?

どちらにしますか?

どちらでもない方を選んだら、なめこが出てきて「こんにちは」

その時、駅には、縄梯子がスルスルと降りてきて、

そのまま放置

犬の流し目は、猫をいたずらに怒らせるだけだったし、

ケモノミチはもう、捜し当てることはできない。

裏に廻ってなにか来ていないか確かめたが、

古墳があるだけで、それももう、盗掘されたあとで、

紙切れ一枚だけ残されていた。

「雲雀の嘘は見抜けない」

なにかの予告だろう。

突然、鈴がリンリンとなったから、何か来たのかと思って目をこらしたが、

見えるものと言えば、たぬきの釣り竿だけだった。

南無三、ここまで・・・。







僕が旅に出た理由

2004-08-27 14:49:20 | 
つまらないことを言ったか。

またあなたを苦笑させたか。

なにもわかっちゃいないのか。

また勘違いして、あらぬ方へ一歩、踏み出してしまったのか、などと深夜の帰り道、土手を

のろのろ、足元見つめながら、壊れかけたゼンマイおもちゃよろしく歩いていると、このまま

どうやっても家には辿りつけないんじゃないか、とさえ思えてきた。考えてみれば、ここに

こうして立っているのも、散々繰り返してきた見当違いの結果だった。

すっかり重くなった頭を挙げると、河川敷の闇の中に多摩川が、飽きもせずただ街灯を

映してそこに横たわっていた。彼女は、灯りとともに永遠に、その流れを変えながらも、

在り続けるのだろう。

・・・永遠?

なんて甘ったるい言葉。

でも、そんな感情の奥底に未だ否定しきれない、弱いところがありはしないか。弱いと

いうことを否定すまい。弱さを、それとして見つめて認める強さが一等大事なんじゃない

か。

川を見つめながら行くうち、知らぬ間に家を通り過ぎてしまっていたが、もう構わなかった。

壊れたおもちゃは沈黙するが、ふやけた人間はあてどもなくさまようしかないんだ。


もう二十年も、彼女に寄り添うように離れることなく生きてきて、彼女から安堵と平穏を

この上なく甘受してきた。しかし今は、そのことがかえって焦り、不安、苛立ちを生んで

いた。

確かにここで得たものは、かけがえのない温かなものばかりだが、自分はここにしかいる

ことが出来ないのかと思うと、うんざりしてしまうのだった。

彼女は、いつも優しく抱きしめてくれるが、もう僕はどうにも、くるしいんだ。


明るくなるまでには、海へ出るだろう。


倦怠

2004-08-27 13:37:57 | 
おぼれにゆく

あの、なまぬるくのみこむ

うみ、へ

ゆっくりとおぼれていく、いしき

しだいにふやけていく、からだ

ぼんやりした、けしきのなか

あわれむべき、なみのおと

もうとおくなってしまった、と

そっとつぶやいた

のみこめ、なにもかも

逆行

2004-08-25 12:53:32 | 
時は、残酷にただ、流れ

置いて行かれる

君は、何処へいくの?

貴方は?

貴女は?

お前は?

貴様は?

みんな、行ってしまった

さて、

ぼくは、空を見上げる

水たまりを覗きこむ

とんぼ、が目の前で、止まる。つかまるものも無く、中空で、止まる

とんぼは、僕をいざなう

水たまりにとんぼとぼくは、入っていった

雲が浮かび、かき分け掻き分け、

暗くて、静かで、涼しいところへ、辿りついた

とんぼは言った

「ここへ、きたことは、誰にも言ってはいけない」



大地とは、いつも一緒だった

空に、包まれて育った

風は、頬を撫でた、時には、さらわれそうにもなった

太陽は、・・・

月は、・・・

切りがない



また、とんぼは言った

「どこへ行ってもいいが、必ず、ここへ帰ってくるように」





井戸の底では、石が一粒、静かに光っていた




百景(3/10)

2004-07-21 17:23:24 | 
21、歯が、欠ける

22、こたつ、こたつ

23、流刑

24、汗が落ちた

25、「さあね」とひきがえるは言った。

26、傘、さす。辺りを見渡せない

27、月は、スポットライトのように

28、ワインを自販機で買うような・・・。

29、ミュート

30、ねこも、なにか言った



おわりの、そしてはじまりのうた

2004-07-17 02:19:57 | 
「すべてのことは、もうわかってしまっているんだろうか」

渋谷

発車を待つ手すりに寄りかかって、ぼんやり

気がつけば、渋谷川を見下ろしていた

一回きりの旅へ

「我ながら馬鹿な考えだ」

代官山

無駄に広い美容室

「でも、もしそうだとしたら、僕らはどうする

 消化試合?永遠に続く暇潰し」

祐天寺

降りてゆく人たちを横目に開く本のページ

「言いすぎたジョーク?」

学芸大学から都立大学での高架から見渡す、閑静な住宅地

桃源郷?いや、まさか

「すべては出揃ってる

 あとは、それぞれから生まれて来る変奏曲

 それがいやだったら、ドレミから始めよう」

自由が丘

「ぬるま湯、ガムシロたっぷりのカフェグラッセ
 
 わかったつもりの深刻なお顔だこと」 

田園調布

地下に潜る

生まれ変わったこの駅で、古い路線に乗りかえる

「新しいものを僕らの手で!

 自己満足なんて蹴飛ばそう

 だから、一度、深く潜るんだ

 夜中に古い墓を暴くように」

沼部

さびれた駅で降りる

新幹線の下をくぐる

高速が駆け抜ける、音

「もっといろんなものを、見よう

 研ぎ澄ませ、感覚を

 見せ掛けだけのスピードや、

 積み重なっただけの情報に

 軽く挨拶だけして」
 
 多摩川の土手が見える

 僕は上る
 
 境界に広がる空間に踏み込む

 この世界に在る、実感を握りしめる

 そして、好きなうたを口ずさむ

 ~DOLPHIN SONG

 

 





百景 (2/10)

2004-07-10 14:03:46 | 
11、その音は必要がない、とかなんとか。

12、傘が、ない。

13、トンネル・・・、転々と転がるボール

14、もういない

15、10月だというのに、セミが鳴く。

16、仮死コウロギ

17、窓辺で、ひとり、想う。

18、流れ着いたのは、ショッピングセンター

19、ペンギンとすれ違う。2羽の内の1羽がなにか呟いた。

20、目を、こする。