大府市議会議員 たかばとくこ の日々

2007年、政治の素人が議会に飛び込んでみました。

【視察報告】住民に公開した外部事業評価の手法と実践 その1

2011-11-25 22:55:05 | 政務活動費(政務調査費)
11月15日視察
【以下、政務調査費使用報告として議長に提出したものから転載】

●神奈川県秦野市・政策部行政経営課「外部行政評価について」

 行政評価は、市の行財政運営を継続的に検証し改善することにより、効率的かつ効果的に行政を運営し、市民に質の高いサービスを提供することを目的としている。
 職員幹部による行財政推進委員会と、課長と部からの推薦職員による行財政改革推進委員会専門部会、学識者と企業経営精通者あわせて5名で組織する行政評価委員会の3つが設けられており、専門部会で外部評価対象事業の選定案を作り行政評価委員会で事業仕分けの要素を取り入れた公開の場での行政外部評価を実施した(22年度から)。
 平成13年度に各課1事業の内部評価を行ったことに始まり、平成18年度からは給与を除く全事業の自己評価とうち180事業の内部・外部評価を行い、20年度からは行政評価委員会による3段階評価で進行管理、22年度からは事業仕分けの要素を取り入れた形式で外部評価を行うなど、変化・進化しているところである。
 22年度・23年度の外部評価を特記すると以下のとおりである。
○22年度
2日間で15事業を評価。
対象事業については、前述の専門部会で選定した事業案を行政評価委員会で選定。
1事業あたり40分、評価区分は5段階(廃止休止の検討・民間で実施・国県広域で実施・市が改善のうえ実施・現状実施)。
評価結果を踏まえしの取り組み方針を決定・公表
○23年度
総合計画の政策体系を踏まえた施策評価へ。
特定テーマに関連する事業全体を評価。評価は「今後の進め方に対する意見」報告書にまとめる形とした。
1日間で3事業グループ13事業を評価し、1事業グル-プあたり90分または120分で行った。
グループ単位で評価したのは、単独事業でなく関連事業と総体でないと見えない部分があるとの反省があったため。

 以前から行っていた外部評価を公開で行った点について。良かった点は「市民に見える」「緊張感がある」。パフォーマンスとして公開するのではなく「別に隠してすることではない」との考え方であるとのことであった。事業仕分けスタイルで行った際は広報も強化したので傍聴者は70名程度あったが、特に強い広報をしなかった今年は11名だった。
 議会の反応としては、外部評価の導入について議会からも要請があったものであり、取り組みは良い評価をいただいていると受け止めている。

【その2 では町田市の 町田市版事業仕分け について掲載します】

【視察報告】公共施設を長期維持更新していくためのマネジメント手法と課題 その4

2011-11-24 22:46:13 | 政務活動費(政務調査費)
【その3 に引き続き、政務調査費使用報告として議長に提出したものから転載】

《大府市への反映》
 公共施設白書を現在作成済の自治体は全国で27自治体、作成中が9自治体である(秦野市調べ、HP公開情報による)。決して少ない事例数ではない。共通しておっしゃられたことは、公共施設更新問題は全国自治体共通の大きな課題であるということであり、当市も例外ではない。非常に危機感を持ち住民理解も求めて長期計画に着手している秦野市であるが、当市に比較し公共施設の建設ラッシュが5年ほど遅いが、それでも老朽化は深刻、としていることから当市はそれ以上に危機感を持たねばならない。
 市民一人当たりのハコモノ面積は秦野市1.98平米に対し当市は2.46平米である。これに当市は新設小学校と文化交流の杜が今後増えるので、住民負荷はさらに増えることになる。白書は公共施設を物量と経費と利用状況の視点で現状を明らかにするもので、全庁的に明らかにすることで庁内・住民とも共通認識を形成する重要なツールである。
 当市では公共施設更新のための基金を設ける方針ではあるが、全て現状維持のまま更新するのは次世代への負担が高いまままわしていくことになりかねない。公民連携や統廃合の視点も加えて適正な基金額を準備し根拠ある更新をするためにも、早々の白書づくりを求めていきたい。財政状況が全国比で恵まれていることに甘えている余裕はないと危機感を新たにした。

【このテーマでの報告は今回で終わります】

【視察報告】公共施設を長期維持更新していくためのマネジメント手法と課題 その3

2011-11-23 22:34:27 | 政務活動費(政務調査費)
【その2 に引き続き、政務調査費使用報告として議長に提出したものから転載】

●神奈川県秦野市・政策部公共施設再配置推進課「公共施設白書から再配置計画へ」

 PPPセンターの提言と藤沢市の事例に加え、インフラ課題「増え続ける道路延長・汚水管延長」プラント系課題「ごみ焼却場・汚水処理場」なども課題と認識。
①公共施設の総量を維持し続けることは不可能
②必要性の高い施設機能を維持するためには、そうでない施設との選別を進め、できるだけ機能を維持しながら更新面積を削減する必要がある
③結論を先送りすることは、次世代に大きな負担を押し付けることになる 
と強く呼びかけている。
 平成20年4月から専任組織として企画総務部内に公共施設再配置計画担当を設置した。公共施設の再配置とは、ハコモノのあり方について抜本的な見直しを行い適正配置と効率的管理運営を実現し、将来にわたり真に必要とする公共施設サービスを持続可能にすることである。

白書でとりあげたもの=再配置の検討対象=施設数457、土地面積168万平米、建物面積33万平米、棟数294棟

白書の構成
①本編204ページ 
②施設別解説編292ページ

白書の特色
①道路・上下水道以外の全てを対象とし現状と課題・所管の枠を越えた横断的な比較
②人件費含め利用者一人当たりのコスト、稼働率、県下各市との比較
③委託せず職員が作成・画一的でない市独自の視点での現状分析と課題抽出
④行政に都合の悪い情報も全て掲載

更新問題の対応として 
①現在の48億円/年(40年で1920億)で今後の管理運営と更新を行う 
②全ては維持できない。更新する優先順位をつける 
③更新しない施設費用分を建替え更新費用に充てるとして、更新できる面積を目標値に設定  
を打ち出した。
基本方針として
①新規建設はしない
②優先順位付けして施設を大幅圧縮
③優先順位の低い施設は全て統廃合の対象とする 
とした。最優先は義務教育施設、子育て支援施設、行政事務スペースとし、次に優先するものはアンケートなど客観的評価を得て決定するものとした。
 これらにより、40年後には現存施設の延べ面積比で4分の3に圧縮するとしている。そのための計画と進行のフローチャートを用意し、これから公共施設再配置基金を整備していく。
 現在、庁内に幹部をメンバーとした公共施設再配置計画推進会議を設置している。推進会議に6つのグループをつなぎ、延べ50人以上の職員がメンバーとなって計画推進体制を作っている。

【その4 では、大府市への提言 について掲載します】