新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

新たな感染症の命名はどうするか(WHO Best practice)

2015-05-13 09:10:26 | 政治的動き

 新たな病気(感染症に限らず)が地球上に現れてきたとき、どんな名前をつけるか。一歩間違うと、風評被害の博覧会になってしまうわけですが、一定の方針、Best Practiceでという話がWHOから出ています。

  • WHOは、新たなヒト感染症が出現したとき、ある特定地域や経済や人々に対して望まれざるネガティブ効果が及ばないよう呼びかけた。
  • 豚インフルエンザや、中東呼吸器症候群などの名前は、期待せざるネガティブな経済的効果を及ぼしたりした。これは些細なことかもしれないが、直接影響する人々にとっては大変なことである。すでに特定の地域や人々、旅行や交易等に影響がみられてきた。
  • 病気の名前はしばしば、科学界の外の人々からネットやSNSを通じて命名されてきた。一度定着してしまうと、変えるのは非常に難しい。だから、ヒトの新しい病気を最初に報告する人間は、科学的に正しく、かつ社会的に受け入れられる名前をつけなければならない。
  • 病名の基準、病気の症状から慣用的につけられるもの(呼吸器症候群、神経症候群、水様性下痢など)、確かな情報が得られているときに特異的にあらわすもの(進行性、若年性、重症、冬季など)。病原体が分かっているときには、それを名前の一部に含める(コロナウイルス、インフルエンザウイルス、サルモネラなど)
  • 避けるべき名前として、地名(中東呼吸器症候群、リフトバレー病、スペインかぜ)、文化・人類・職業的属性(レジオネラなど)、人名(クロイツフェルトヤコブ、シャーガスなど)恐怖を惹起するもの(不明、致死性、流行性)など。
  • WHOはBest practicesを発展させ、OIEやFAOなど他の国連機関とも協調し、ICDにも反映させたいとしている。

う〜ん、突っ込みどころは色々あれど、うまくゆけば定着すれば、それは望ましいことです。

しかし、MERSを悪い見本のひとつに挙げているけれど、あれ、第一発見者のザキ博士の名前つける案を却下してWHOで結構強引に決めたのじゃなかったのかなあ。今になって悪い見本でしたというのも、何だか。

人の名前をつけるのは、管理人としては良いと思うのですが。第一発見者の名前をつけて、その人が悦に入って業を背負ってくれれば(笑)、地名やら属性やら風評被害で苦しむ人が出る可能性もカットして解決してくれます。それとも、これまで、病名になった人は悦に入っても子子孫孫が苦労したという話でもあるのかな。(川崎富作氏の子孫が道を歩きにくかったり、ホジキン氏の子孫が後ろ指刺されたり、アスペルガー氏の子孫が脅迫されたり、パーキンソン氏の子孫が笑いものになったり・・・ってことが、単に管理人が知らないだけで人知れず苦労があるということなら、それはそうだということになるのですが)

あと、WHOのような権威筋の方針どおり病名決めて、それがSNSに勝てるのかなという疑問もあります。権威筋が名前を決めたけど民はそっぽという例も古今東西・・・(ちなみに、以下、何のことだかわかる人手を挙げて!「E電」「長寿医療制度」)

ソースはWHO
http://www.who.int/mediacentre/news/notes/2015/naming-new-diseases/en/

WHO issues best practices for naming new human infectious diseases


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