ここ1カ月来議論が沸騰している「遺伝子変異論文掲載でテロリストにっこりか否か論争」のさしあたっての焦点になっている、オランダチームトウィスコンシンチームのやり方概略報道。
- エラスムスチームの方法は、遺伝子変異。フェレットを何代にもわたって感染させてゆき、宿主に適応させてゆくというもの。
- ウィスコンシン大チームの方法は、遺伝子交雑。H5N1のHAとH1N1(2009)を交雑させたもの。
- 09年パンデミック以前に、いくつもの研究チームが同様の交雑からヒト感染しやすいウイルス作成を試みたがいずれも失敗におわっていた。今回との違いは、H1N1(2009)ウイルスはヒト・ブタ・トリ由来の交雑したものであり、(09年パンデミック以前に試みたチームが用いたウイルスよりも)種のかべを越えやすいことにある。今回の知見から、H5N1は自然の中でH1N1と簡単に交雑してパンデミックを起こす可能性のあることが示唆された。
- オランダチームのつくったウイルスが病原性高かったのに対し、交雑でつくられたものはH1N1とたいして変わらなかった。
なるほど。感染重ねるやり方と遺伝子交雑というやり方。交雑の方はテロリストの手を借りずとも自然界の中で勝手に発生すると。それが起こっても病原性はH1N1と変わらぬものとなりそうですが、「H5N1のヒトにうつるやつが現れた!」となると09年同様の騒動が再現されそうです。医学的弱毒性、心理的強毒性 なる、あの頃に思いついたフレーズをまた引っ張り出す・・・なんてことにならなければ良いのですが。
ソースはnatureブログ↓
http://blogs.nature.com/news/2012/01/pandemic-2009-h1n1-virus-gives-wings-to-avian-flu.html