新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

新型コロナウイルスの変異。病原性変化を示唆する変異の報告

2020-04-21 12:50:13 | 新型コロナウイルス/COVID-19/SARS-CoV-2/武漢肺炎

新型コロナウイルスSARS-CoV-2は、どんどん変異していってるのか? とは、しばしば尋ねられる質問です。これまで、「それを示すエビデンスは無い」というお答しかできなかったのですが、実際に感染者から採取した11例から、(ベロ細胞つかい)病原性変化を示唆する変異が検出された!という報告。遺伝子配列がよめなければ少々難解ではありますが、、、

  • 1月22日から2月4日にかけて11例(4~70歳)から採取。うち10例は武漢関連。
  • 分析はultra-deep sequencing of the113 isolated viral genomic RNAで、結果、33種の変異が見つかった。うち19種は新たな変異(GSAIDに掲載された1111種に照らしあわせ)。重要はことは、これらの変異は有意に細胞変性効果とウイルス量変化があり、Vero E6細胞に感染させると270倍の変化があった。
  • スパイク S蛋白に6種の変異が認められた。重要はことは、これらの変異は有意に細胞変性効果とウイルス量変化があり、Vero E6細胞に感染させると270倍の変化があった。ここに、新型コロナウイルスは病原性を変異させうる変異を獲得したエビデンスを示すことが出来る(Therefore, we provide direct evidence that the
    SARS-CoV-2 has acquired mutations capable of substantially changing its pathogenicity.)
  • G11083T and G26144T 変異が同定された1例/C8782T and T28144C変異が同定された2例。
  • T22303Gが同定された5例。うち2例は、同じカンファレンスに参加していた。このT22303G変異は、以前にはオーストラリアで1例報告されたのみ。
  • さらに衝撃的なことに(Strikingly, the viral isolate
    130 from )、上記の2例と同じカンファレンスに参加していた1例にA22301C変異が認められた。この変異はT22303Gとコドンの場所が1番目と3番目が違うだけ。これらは偶然の一致かもしれないが、想定外であった( albeit very unexpected)。
  • 最後の1例はORF7bに4か所の変異。

分子生物学、遺伝子配列が読めなければ難解な論文ではありますが、衝撃的だとか想定外であっただとかいう表現を分子生物学者が使い、病原性が変化したエビデンスを示したと胸を張っているという現実は認識しておくべきでしょう。

  •  

https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.14.20060160v1.full.pdf


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新型コロナの嗅覚脱失、米国... | トップ | 新型コロナのロックダウンで... »
最新の画像もっと見る

新型コロナウイルス/COVID-19/SARS-CoV-2/武漢肺炎」カテゴリの最新記事