逆リスクコミュニケーションともいうべき話。
米国の反ワクチン団体。National Vaccine Information Center(←この名前からして”スマート”)が11月いっぱい、デルタ航空機内映画で反ワクチンキャンペーンを展開。
とはいっても、チメサロール云々とかアジュバント云々とか自閉症云々とか絶叫するわけではなく、やり方が”スマート”なのです。
Youtubeに動画アップされています。実際にクリックしてご覧ください↓
http://www.youtube.com/watch?v=WC8jYCk2MvQ
- インフルエンザは大したことではありません。インフル様疾患の8割はA型やB型インフルウイルス以外の病原体によるものです。
- 手洗いをしましょう。
- 咳エチケットを守りましょう(美女がその形の良い鼻をティッシュでぬぐう)。
- ストレス減らしましょう(美女がスヤスヤと昼寝/緑の中でサイクリング)。
- ビタミンを摂りましょう(みかんとサラダバー)。
- 運動をしましょう(美女がエアロビ/イケメンがテニス)。
- もうひとつの手段としてワクチンがあります(ありますとしか言わない。決して勧めない)。
- ワクチンを受けるならば、複数のワクチンについてしっかり比較検討しましょう(マックのパソコン駆使して何やら紙切れと見比べながら目を皿のように・・・)
- あなたや子供がうけるワクチンについて、ドクターから「重大情報」を聞き出しましょう(まるで手術前説明のごとく、いっぱい説明させられている医者・・・)
- そしてキモなのが、「National Vaccine Information CenterのHPへ」と誘導している点。Nationalに惑わされて行ってしまうとそこには筋金入りの反ワクチンキャンペーンの数々・・・
米国の反ワクチン団体は筋金入りです。かつては、映画チェーンの広告枠を買い取り、米国中の映画館で上映前の広告のところで「インフルワクチン怖いよ。水銀入ってるよ。自閉症になるよ」と繰り返す企てが本当に紙一重のところで阻止されたということもありました。
今回の映像は、全体を通して「爽やかな映像」で貫いており不自然さを感じさせないだけに怖いところ。おどろおどろしい事は言わず、ややもすると退屈気味な機内で乗客の関心をひきつけ、「National」と頭につくサイトに誘導して思い切りワクチン恐怖を植え付ける。
こんな怖い団体と戦わねばならない米CDCは大変です。でも、だからこそリスクコミュニケーションが鍛えられるのかもしれません(かつて神戸で岩田健太郎先生主催のリスコミWSによばれたとき、いくつかの組織にメール取材しました。そのときの米CDCの対応たるや感嘆に値するものでした)。
案外、日本でも「国立伝染症研究所」とでも名乗るトンデモ宣伝があらわれたら、政府のリスコミは切磋琢磨されるのかなと思ったりして・・・
(米国では勝手に「National」名乗ってもOKなのでしょうか。日本で勝手に「国立」名乗ったらどうなのかな?)
くにたち。管理人は音楽大学ぐらいしか思い浮かびませんが、きっといろいろあるのでしょうね。