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新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

実はサメより怖いカタツムリ・・・

2016-04-21 09:27:26 | 渡航医学関連

最近なんだかよく見かけるちょっとユニークな絵。STATのポッドキャストへの導入記事ですが、ジョーズのサメがなにやらカラをかぶっています。そう、半分カタツムリになっているのです。そのこころは・・・

世界でもっとも恐ろしい動物と思われているサメ。1年間にサメの襲撃で生命をおとすのは、昨年はわずか6名。

カタツムリ→住血吸虫で生命をおとすのは10000名。カタツムリはサメの1000倍怖いのだよと、リスク認識のお話の導入になっています。

ビルゲイツ財団がだしている、1年間に人間を殺す動物ランキングの有名な図。蚊が一番、人間が二番というのは衝撃をもって報じられましたが、見えないリスクの恐ろしさを認識です。

ソースはSTAT
https://www.statnews.com/2016/04/18/signal-podcast-episode-9/

 


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途上国で輸血をうけるリスクを再確認

2016-03-17 11:39:06 | 渡航医学関連

発展途上国で輸血をうけるリスク。管理人もアフリカや中国で在勤中に幾度となくヒヤリとしてきましたが、あらためて痛感。ボツワナで梅毒感染血が正式な血液センターから出荷されて。輸血されてしまったという話。

  • ボツワナのPrincess Marina Hospital in Gaborone cityにて、誤って出荷された梅毒陽性の血液3ユニットが輸血されてしまった。
  • 輸血された患者の名前等は公表されていない。
  • 最近導入された装置をすり抜け。
  • 今回の梅毒汚染血はNational Blood Transfusion Service (NBTS) から過去2週間以内に出荷され、ミスに気が付かれたばかり。

この話が怖いのは、舞台となったボツワナがアフリカの中ではそこそこ発展した方の部類ということです。(口の悪い人が言うところの”アフリカの中では文明国”)エボラ騒動で繰り返し放映されたあの映像のような舞台ではない。かなりキチンとした場でこういう事が起こった。

さらに、 管理人の海外勤務中には「当センター(の血液)では、HIVは全例検査しています。C型肝炎は試薬が十分にありませんが抜き打ち検査をちゃんとしています」と堂々と答えられたこともあれば、売血が行われているところもありました。

そういうリスクを常に念頭におかなければならないのが渡航医学フィールドでもあります。

http://outbreaknewstoday.com/botswana-blood-bank-ships-syphilis-tainted-blood-units-transfused-51189/

Botswana blood bank ships syphilis-tainted blood, Units transfused

Posted by on March 16, 2016

写真は無造作に放置される輸血用血液(セネガルで管理人撮影)。記事とは無関係ですが、こういう現実もありますということで。


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WHOの研究開発優先順位トップはこの病気

2015-12-14 18:49:39 | 渡航医学関連

WHOの会議、今後のR&Dの優先順位の特に高いものを決定。

  • 今週おこなわれたWHO専門会議で、近い将来大規模流行を起こす可能性があり、かつ、治療手段のない疾患の優先順位が話し合われた。これは研究開発の優先順位のバックボーンとなるもの。集まったのは微生物学・ウイルス学・臨床・公衆衛生・免疫学・数学・コンピューターサイエンスなど広範囲から。
  • 緊急に研究開発が必要な最初の優先順位にリストアップされたものはクリミアコンゴ出血熱・EVD・マールブルグ病・MERSとSARS・ニパ・リフトバレー病。今後このリストは見直されてゆく。
  • 研究開発は診断・ワクチン・治療・行動介入・科学知識ギャップ修正分野でおこなわれる。

今後のR&Dの優先順位づけ。日本でも一類感染症に指定されている顔ぶれや話題沸騰の顔ぶれが順当に並んでいる一方で、ニパやリフトバレーといった意外なダークホースもピックアップされています。

ソースはOutbreaknews
http://outbreaknewstoday.com/what-emerging-diseases-concern-the-who-most-ebola-mers-and-nipah-make-the-list-92271/

What emerging diseases concern the WHO most? Ebola, MERS and Nipah make the list

Posted by on December 12, 2015

 


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コストコの集団食中毒案件、玉ねぎの大腸菌汚染

2015-11-30 10:03:08 | 渡航医学関連

先般、キュウリの大腸菌汚染騒動でにぎわっていましたが、こんどはオニオンが危ないというお話。

サラダに使われていたオニオンが原因と判明しましたが、そのサラダがコストコブランドだったので報道も大きくなった案件。

オニオンの供給元はTaylor farmでリコールに追われています。

原因菌はE. coli 0157:H7

 

http://outbreaknewstoday.com/taylor-farms-onion-and-celery-mix-suspected-as-e-coli-source-in-costco-chicken-salad-recall-initiated-98057/

Taylor Farms onion and celery mix suspected as E. coli source in Costco chicken salad, recall initiated

Posted by on November 27


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モザンビークで自ビール飲んで75人連続死!の意外な犯人(あわや冤罪事件)

2015-11-10 08:19:10 | 渡航医学関連

アフリカ モザンビークでビールを飲んだ人75人連続死。犯人は_Burkholderia gladioli。

  • モザンビークでローカルビール(自家製ビールに近い印象?)pombeを飲んだ75人が連続死。このビールを製造した家族も犠牲者に。
  • 当初、毒物混入事件として捜査され、”犯人”とされる男が逮捕拘留されていた。
  • しかしながらその後の調査で、_Burkholderia gladioliを原因とする食中毒案件として浮かび上がった。
  • このビールpombeはトウモロコシから製造。通常、麦から製造される。祭のときなどに飲まれる伝統的習慣。
  • _Burkholderia gladioliは、グラジオラスやユリに含まれることで最初発見されたが、その後、土中など環境中に広く存在することがわかった。

大規模工場製ではなく、しかし、一度に75人以上が飲むのは自家製ビールという規模でもなさそうです。村の醸造所といった感覚でしょうか。もうちょっとで冤罪事件まで起こりそうなところで(一度は収監されてしまった・・まあ、日本だっておまえはぶどう酒に毒を入れたろう!と先走った警察検察裁判所そろってやらかして世界に恥かいた件がありますから笑えません)、とても罪作りな細菌です。

渡航医学的教訓としては、とにかく得たいの知れないものは口に入れるな!ということに尽きます。アフリカを(or他の途上国を)徘徊しながら、たまたま知り合った地元アフリカ人の家に転がり込んで盃を重ねる・・・ 管理人のまぶたにも、何人かの顔が思い浮かびます。アフリカで大使館勤務をしていると、次の国の入国ビザ入手のためのレターを求めて、”日本を出て半年です1年です”という方々が真っ黒に日焼けした顔に笑顔を浮かべていらっしゃいます。時に招じ入れてお話しをうかがったり情報いただいたりするわけですが、この手の方々のご無事を願う次第です。

ソースはProMED
http://www.promedmail.org/post/3773271

Published Date: 2015-11-06 17:49:46
Subject: PRO/EDR> Contaminated beer, fatal - Mozambique (02): (TE)
Archive Number:20151106.3773271

CONTAMINATED BEER, FATAL - MOZAMBIQUE (02): (TETE)


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モザンビークで自ビール飲んで75人連続死!の意外な犯人(あわや冤罪事件)

2015-11-10 08:19:10 | 渡航医学関連

アフリカ モザンビークでビールを飲んだ人75人連続死。犯人は_Burkholderia gladioli。

  • モザンビークでローカルビール(自家製ビールに近い印象?)pombeを飲んだ75人が連続死。このビールを製造した家族も犠牲者に。
  • 当初、毒物混入事件として捜査され、”犯人”とされる男が逮捕拘留されていた。
  • しかしながらその後の調査で、_Burkholderia gladioliを原因とする食中毒案件として浮かび上がった。
  • このビールpombeはトウモロコシから製造。通常、麦から製造される。祭のときなどに飲まれる伝統的習慣。
  • _Burkholderia gladioliは、グラジオラスやユリに含まれることで最初発見されたが、その後、土中など環境中に広く存在することがわかった。

大規模工場製ではなく、しかし、一度に75人以上が飲むのは自家製ビールという規模でもなさそうです。村の醸造所といった感覚でしょうか。もうちょっとで冤罪事件まで起こりそうなところで(一度は収監されてしまった・・まあ、日本だっておまえはぶどう酒に毒を入れたろう!と先走った警察検察裁判所そろってやらかして世界に恥かいた件がありますから笑えません)、とても罪作りな細菌です。

渡航医学的教訓としては、とにかく得たいの知れないものは口に入れるな!ということに尽きます。アフリカを(or他の途上国を)徘徊しながら、たまたま知り合った地元アフリカ人の家に転がり込んで盃を重ねる・・・ 管理人のまぶたにも、何人かの顔が思い浮かびます。アフリカで大使館勤務をしていると、次の国の入国ビザ入手のためのレターを求めて、”日本を出て半年です1年です”という方々が真っ黒に日焼けした顔に笑顔を浮かべていらっしゃいます。時に招じ入れてお話しをうかがったり情報いただいたりするわけですが、この手の方々のご無事を願う次第です。

ソースはProMED
http://www.promedmail.org/post/3773271

Published Date: 2015-11-06 17:49:46
Subject: PRO/EDR> Contaminated beer, fatal - Mozambique (02): (TE)
Archive Number:20151106.3773271

CONTAMINATED BEER, FATAL - MOZAMBIQUE (02): (TETE)


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オランダでもポルトガルでもNDMの逆マルコポーロ状態

2015-10-20 08:11:53 | 渡航医学関連

やっかいな耐性菌のお話。NDMのNDはニューデリーの略なのですが、その後どんどん拡大、ポルトガルで見つかった、オランダで見つかったと逆マルコポーロ状態です。

オランダとかポルトガルとか、世界史の教科書で冒険家たちが旅立つ場所として記憶される場所です。そんなところに、ニューデリーの名を冠した厄介者がいつの間にか(渡航歴もなく)忍び込んでいる逆マルコポーロ的事象は、渡航医学的にはなんだか印象的です。そういえば日本渡航医学会の若手優秀発表賞は、マルコポーロ賞と称されます。若手の皆さん頑張りましょう。


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ハッジ巡礼のお土産はインフルエンザ?(カナダ)

2015-10-07 08:41:13 | 渡航医学関連

 MERS発生渦中の展開した今年のハッジ巡礼。巡礼者を介してMERS輸入例・・をきちんと警戒したカナダの医療機関が帰国者を調べていたら、次々検出されるのは(MERSではなく)A型インフルエンザだった・・・という投稿‘ProMED。

サウジアラビアを源とするインフルエンザの世界流行を懸念している、情報求むとしています。

クレーン倒壊やら大規模将棋倒しやら、大変だった2015年のハッジでしたが、”そういう目”でしっかり調べた結果、どうやらマスギャザリングで拡散されたのはMERS-CoVではなさそうだということで、あと1週間ほど後にはほっとできるのかもしれません。

ソースはProMED
http://www.promedmail.org/direct.php?id=3693052

INFLUENZA (49): CANADA ex SAUDI ARABIA, HAJJ RETURNEES, SUSPECTED, REQUEST FOR INFORMATION, ALERT


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オンコセルカとマラリア:渡航医学の2大武器に脚光を浴びせたノーベル賞

2015-10-06 08:29:48 | 渡航医学関連

オンコセルカとマラリア。渡航医学で話題になる面々ですが、この2つの関連は・・・今年のノーベル賞!

オンコセルカの治療に光を当てた 大村氏の業績は、あらゆる新聞TVネットメディアにあふれかえっている今朝の状況です。しかしながら、もうひとりの受賞者は、「よーわからん中国人」扱いのベタ記事。

渡航医学、特にアフリカの現場でやっていた者として、この「よーわからん中国人」が見つけ出したものこそ感慨無量です。Natureの報道。

  • 受賞者の Youyou Tu氏の功績、抗マラリア薬のArtemisnine。1960年代、マラリアの治療薬はクロロキンとキニーネであったが、これらが効かない耐性の増加が問題となっていた。1967年、中国はプロジェクトを立ち上げ、2000種類以上の中医薬成分を調べた結果、1972年にArtemiiaが著効することを発見した。
  • 今回受賞者の 氏は中国国内の論争(?)もあり、科学院から評価されていなかった。また、最近中国の若手科学者は、中国を出て海外で活躍し、国際的なジャーナルにて発表するよう奨励されている。しかしながら彼女はそのいずれもなくもっぱら中国国内で研究生活をおくっていた。

管理人が外務省に入省したての91年頃、チンハオスーの名前で流通していた中国製の無骨なアンプルに入った、ドロリとした液体は、なんだか注射されることを躊躇するような、およそスーパースターとはかけ離れた容貌でした。中国語で書かれたザラ紙の添付文書も怪しさに輪をかけていた。

しかしながら、管理人がセネガル勤務の頃にはすっかりあか抜けた包装で、それらしくなり、そして今回のノーベル賞では、マラリアと無縁な国々の人々にも広く知られるようになったのは喜ばしいことです。

一方で、大村氏の業績は、もはや当サイトの出番でないような状況ですが、やはりアフリカにいるとオンコセルカ後遺症と思われる視覚障碍者の悲惨は姿が目立ちます。街かどで排気ガスとほこりにまみれながら、信号待ちの車に近づいてくる白い杖の物乞いたち・・・その姿を減らすことに大いに貢献してくれました。

受賞を心からお祝いします。

ソースはnature
http://www.nature.com/news/anti-parasite-drugs-sweep-nobel-prize-in-medicine-2015-1.18507?WT.mc_id=TWT_NatureNews

Anti-parasite drugs sweep Nobel prize in medicine 2015

Chinese pharmacologist Youyou Tu developed key antimalarial drug artemisinin.

05 October 2015Updated:

 


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学校で水飲んだら300人倒れてしまった原因は・・・(ミャンマー)

2015-09-26 09:15:33 | 渡航医学関連

 ミャンマー・カレン州の小学校で集団入院騒動。その水は・・・

  • 現場はミャンマー・カレン州のTayattaw Village middle school in Kawkareik Township’s Kyone Doe。
  • 生徒299人に、近くの池の水をバケツで運んで提供。
  • その水を飲んだところ、生徒がめまいや嘔吐症状が出現し、病院2か所に運ばれ(70例+62例)入院となった。死亡例はなく、多くは24時間以内に退院できる見込み。
  • 近隣住民によれば、この池は最近、魚を殺したり気絶させたるための化学物質で汚染されていたとする証言も(contaminated with chemicals used to kill or stun fish.)
  • 警察官は「まだ事件化はしていない。まず池の水を保健当局を通じてヤンゴンの検査機関に送っている。結果がでてから、上からの指示にもとづいて処理する」と。
  • Mon National Partyは議員を病院に送り込んだ。

ミャンマー。管理人がここ3年ほど通っている国ですが、不思議の国っぷりをここでも発揮。渡航医学的教訓もいろいろ出てきます。

  • 途上国では公共機関においても水道の無いところはある。出された水は「近くの池からバケツで運んできた水」かもしれないのでそのつもりで。
  • 途上国では、「魚を殺したり気絶させたりするために化学物質を放り込む」という不思議なことが行なわれることがある。むやみに泳いだりしない方がよい。
  • (これは日本でも?)警察は上からの指示待ちでボケーッっと何もしないことがある。

先日のヤンゴン訪問でも、複数の邦人の方から、「野菜の農薬で下痢をした」との証言を得ています。つい昨年まで市場でブロッコリーを買うと虫食いだらけだったのに、今年になって、きれいに穴ひとつ無くなったとも。中国から農薬が大量に入ってくる上、その説明書が中国語オンリーなので、それが読めないミャンマー農民が薄め方わからず、とんでもない濃度になるのだという説をとなえる人もいました(真偽は不明であると付け加えておきます)。渡航医学のテキストにおいて、traveller's diarrheaの原因として、病原体・硬水・香辛料・疲労・ストレス等々と並んで「農薬」「化学物質」も正式に付け加えた方が良さそうです。

ソースはIrrawady
http://www.irrawaddy.org/ethnic-issues/nearly-300-pupils-taken-ill-in-karen-state-after-drinking-water-scare.html

Nearly 300 Pupils Taken Ill in Karen State After Drinking Water Scare

By | Thursday, September 24, 2015

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