第9地区 (2009)

2010-04-17 08:34:03 | Weblog
第9地区 (2009)
District 9

U.S. Release Date: 2009

■監督:ニール・ブロンカンプ
■キャスト:(シャールト・コプリー)
■音楽:クリントン・ショーター
■字幕:松浦美奈
■お勧め度:★

 「南アフリカ出身の新鋭ニール・ブロンカンプ監督が、ピーター・ジャクソンの全面バックアップで長編デビューを飾り全米でサプライズ大ヒットを記録するとともに、その独創的なストーリーが絶賛されたSFアクション。巨大な宇宙船が漂着し、異星人を難民として受入れることになった南アフリカを舞台に、異星人と地域住民との軋轢が深刻化する中、当局の新たな対応が思いもかけぬ事件を招いてしまうさまをドキュメンタリー・タッチの語りと大作映画に引けを取らない驚異のヴィジュアルで描き出していく。
 南アフリカ・ヨハネスブルグ上空に正体不明の巨大宇宙船が現われ、そのままとどまってしまう。しかし、エイリアンは襲撃に来たわけではなく、宇宙船の故障で漂着しただけだった。追い返すことも出来ず、やむを得ず彼らを難民として受入れることに。それから20数年後。共同居住区“第9地区”はいまやスラムと化し、地域住民の不満は爆発寸前に。そこで超国家機関MNUは、エイリアンたちを新たな難民キャンプへ強制移住させることを決定。プロジェクトの最高責任者に抜擢されたエイリアン対策課のヴィカスは、さっそく彼らの住居を訪問し、立ち退きの通達をして廻る。ところがその最中に、不注意から謎の液体を浴びてしまうヴィカスだったが…。」(allcinema.net/より。)

「大ヒット」したのは「独創的なストーリー」じゃなくて人道無視の残虐性だろう。飛び散る肉体。

分からない事が多すぎる。確かに異星人の事は人間、人類がその知識と経験からでは想像もできないというのは事実だろうし、その方が自然だろうが、人間が想像できる部分にも分からない事が多々あって、これが致命的。この異星人の武器は強力だが、DNAの関係で人間には操作できない。ある液体を浴びて異星人になってしまう主人公が、これが理由で各国政府や機関に付け狙われる事になるが、彼は民間人。この異星人は言葉を喋るし、知能も十分すぎるほどある。だったら異星人を数名手なずけて兵士として訓練して使った方が早いし効果的だろう。そしてこの点、付け狙われる事が主な筋書きになっている。本末転倒。この液体は人間を異星人に変えると同時に、宇宙船の動力源にもなるらしい。こういう分からない事はあってもいいだろうが、人間が想像できる範囲で分からない事があるというのは問題じゃないか。

残虐性に関しては最後の方で主人公がヒーローになって異星人を救うという筋書きだが、言い訳っぽい。小道具的にはSFっぽい武器とガンダムを付け加えただけとも言える。それに救うといっても目的が分からない。この異星人は、おそらくは母星が壊滅したかで放浪の旅に出て、自分達が住める地球をみつけて侵略するのが目的で、なにかの理由でコマンド崩壊、戦闘艦隊全滅、民間人の乗る母船だけが地球に漂着したのだろうが、そうだったら、この母船の異星人が、この目的を知らないはずはないだろう。これは憶測に過ぎないが、ここらへんの事を描かずに、単に漂着した「難民」の事をドキュメンタリータッチで描いても、なんらドキュメンタリーにはならないだろう。映画にもならない。こういうドキュメンタリータッチの作品はとにかく疲れる。常に何かを探しながらも分からない事だらけ。テーマも何も無し。省ギャラを「ドキュメンタリータッチ」で誤魔化した「血ドバッ」駄作。「血ドバッ」が見たければ、十分、楽しめるだろうが。しかしだったら、わざわざ映画館に行く必要は無いだろう。こういう物を載せてるサイトはいくらでもあるわけだし。久々に「ペーコンレタスバーガー」を食べたが、こっちの方が、数倍、良かった。

ヒアリング度:★★
感動度:
二度以上見たい度:
劇場で見たい度:
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★
ムカつく度:★★★★
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)