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戦国日本と大航海時代 - 秀吉・家康・政宗の外交戦略 (中公新書) 平川 新 (著)

2023-12-19 06:55:43 | 豊臣秀吉

戦国日本と大航海時代 - 秀吉・家康・政宗の外交戦略 (中公新書) 平川 新 (著)

内容(「BOOK」データベースより)

15世紀以来、スペインやポルトガルはキリスト教布教と一体化した「世界征服事業」を展開。16世紀にはアジアに勢力を広げた。本書は史料を通じて、戦国日本とヨーロッパ列強による虚々実々の駆け引きを描きだす。豊臣秀吉はなぜ朝鮮に出兵したのか、徳川家康はなぜ鎖国へ転じたのか、伊達政宗が遣欧使節を送った狙いとは。そして日本が植民地化されなかった理由は―。日本史と世界史の接点に着目し、数々の謎を解明する。
 
書評
「あとがき」にある「豊臣秀吉はなぜ朝鮮に出兵したのかという謎解きは、ポルトガルとスペインによる世界分割体制に対抗するためであったという、思いもかけない結論を導き出した」がこの本のもっともインパクトのあるメッセージである。
 16世紀から17世紀にかけての大航海時代と19世紀から20世紀にかけての帝国主義時代はともに日本が西欧の植民地化する危機にあった。明治の人たちは祖国防衛戦争という大義名分のもとに日露戦争を戦ったと考えていたにしても、征韓論争、日清戦争の流れは朝鮮を日本の属国にしようという動きにほかならない。
 スペイン、ポルトガルの植民地化に対抗して、秀吉は自らも植民地獲得に乗り出した。朝鮮を侵略したが、明の大軍に阻まれた。その失敗を、明治の日本は日韓併合で成功させたのだ。
 平川氏の秀吉擁護論に感じる不満は、西洋の植民地化に対して対抗するのに自らも植民地獲得ゲームに参加することの罪にあまり触れないことだ。
 「攻撃は最大の防御」といった考えが暴走した結果が昭和の破局に至り、現在の日韓、日中のギクシャクした関係に及んでいる。秀吉の失敗を幸いと考える教訓にするべきであろう。

 


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