北欧スウェーデン の生き方情報 スウェーデン報

北欧スウェーデンの日常を生活者目線でお伝えします。
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オペアという仕事

2021-10-24 15:30:40 | 生活

 

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無料のSFI(移民のためのスウェーデン語教室)に通う前は、有料の語学スクールでスウェーデン語を勉強していた。

 

約10名ほどのクラスメートの中で、3人がオペアだった。

 

オペアというのは、日本人にはあまり馴染みのない仕事だろう。

住み込みの子守である。

保育園などの公的な施設とは別に私的な子守は大きく分けて4種類ある。

 

まず、日本でもよく知られているベビーシッター。

時間給で依頼者の家に来て、子守をしてくれる。

日本だと贅沢なシステムで、1時間2000円程とかなり高い。

日本の場合、主婦の副業というケースが多いようだ。

 

ヨーロッパでは、国によって年齢制限が異なる(スウェーデンの場合12歳以下)が、子供を大人なしで家に置いていくのは違法である。

虐待とみなされる。

そこで、ベビーシッターの登場となる。

多くの場合、高校生などのバイトで時給も安い。

イギリスでは、何十年も前になるが、田舎で時給1ポンド(200円ぐらい)、ロンドンで3ポンドだった。

今は、いくらぐらいなのだろう。

 

夜のベビーシッターなど子供はすでに寝かしつけられていたりするので、コーヒーを飲みながらテレビを見ていられる。

結構、楽。

もっとも、子供によるが・・・。

 

 

次がチャイルドマインダー。

これは、民間の託児所。

最近では日本でもチャイルドマインダー協会があるけれど、まだ、あまり普及しているとは言えない。

自分の家に、一定以上の保育スペースがあれば、トレーニングを受けてチャイルドマインダーとして登録することができる。

保育スペースと大人の数で、引き受けられる子供の人数も変わる。

この場合、依頼者はチャイルドマインダーの家まで、子供を連れていくのが普通である。

ただし、親が共稼ぎの場合など、学校のお迎えから引き受けてくれることもある。

イギリスではチャイルドマインダー協会が充実していて、近所に数件のチャイルドマインダーが簡単に見つかったが、保育園の発達しているスウェーデンでは存在していないかもしれない。

 

 

そして、ナニー。ナニーは住み込みで保育をしてくれる。ナニーとしての専門の教育を受けているので、乳幼児から預けられる。躾まで仕事のうちである。

メアリー・ポピンズといえばイメージがわくだろう。

そのために高い。

医者の知人が

「ナニーを雇うと私の給料の3分の2はナニー代になってしまう」

と、言っていた。

そして、上流社会では、ナニーを雇って、子供の教育を任せることも多い。

イギリスのナニーは質が高いので(なるのも難しい)、世界中で需要があるようだ。

 

イギリス人の友達は、元ナニーで、住み込んでいた先の親戚のエリート青年と結婚した。

ナニーは結婚相手としても大人気なのだ。

 

最後が、本日のテーマ「オペア」。

ナニーと同じように住み込みの子守であるが、仕事というよりバイトといった方がいいだろう。

多くの場合、オペアは外国人である。

というのも、外国で、その国の言葉を勉強したり、生活体験をしたりしたい人が応募してくる仕事だからである。

 

例えばスウェーデン人のAさんが、誰かに子供の面倒を見て欲しいとする。

ハンガリー人のBさんは、スウェーデン語を現地で勉強したいと思っている。

そこで、BさんはAさんの家に住み込んで、子供の面倒をみる代わりに宿泊費や食費はタダにしてもらう。

 

一旦社会に出てからもう一度大学に入り直したりすることが一般的なヨーロッパでは、このシステムかなり人気がある。

20歳前後の若い女性が、安く海外体験できるからである。

最近では男子のオペアもいるようだ。

 

知人の紹介などで、見つけることが多いのだが、最近では、インターネットを通じて求人し合うようである。

 

契約は、個人契約なので、それぞれの家庭によって条件が異なるが、一般的なものは、次のとおりである。

 

雇う家庭は、個室を用意しなければならない。

1週間の労働時間は20〜25時間。

週休は二日。

それ以上になる場合は、残業手当を払う。

食費は無料。ただし、私用電話代などは払う(ま、いまでは、ほとんど個人携帯電話だけどね)。

自国からの交通費は、半額、もしくは全額を雇う側が払う。

語学学校の授業料は、雇う側が払う。

ただし、期限付きの場合もある。

原則として子供の世話(とペットの世話)のみが仕事である。

保育の資格がないので乳幼児は預かれない。

月額3万円程度のお小遣いがもらえる。

 

大抵の場合、契約は一年のようだ。

スウェーデン語のクラスメートは、ドイツ、リトアニア、エストニアから来ていた。

朝、学校に送り出すまでと、午後、下校時刻から夕方までが仕事時間である。

そのため、日中は、語学クラスに通ったりと自由に過ごせる。

 

何しろ日本ではオペアというシステムがないので、興味津々。

いろいろ聴いてみた。

やはり、家庭によって条件はさまざまで、原則として子供の世話が仕事なのに、掃除、洗濯、食事の支度までさせて女中扱いの家もある。

 

ご主人が気に入る美人オペアは、奥さんから嫌われたりと人選も難しそう。

 

必ずしも、金もちの家ばかりではないので、個室とはいってもかなり条件の悪い部屋ということもある。

時には、大きな勘違いをしているご主人に、危険な目に遭う(もしくは、遭いそうになる)こともある。

子供の世話ではなく五頭の犬の世話が仕事という人もいた。

でも、語学の勉強にきている人には、話し相手が犬だけというのは、ちょっとかわいそう。

 

先日、イギリス訪問の際、数日泊まらせてもらった知人の家には、26歳のハンガリー人のオペアがいた。

 

どちらかというと、人使いが荒い部類に入る私の知人。

 

額縁の上の埃をみて「ちゃんと掃除するように言っておかなきゃ」

そして、オペア慣れした(つまり、遠慮がない)二人の子供とまだ躾前の子犬の世話。

どうみても大変そう。

 

ボーイフレンドと遠く離れているので、朝は、郵便配達の人を耳をすませて待っている。

ま、いまならメールがあるからそんなことはないと思うけど。

それでも

「週給がハンガリーの月給に当たるし、英語をマスターするとハンガリーで良い仕事につけるから」と前向きである。

 

日本で共稼ぎをしていた時、あまり片付かない家の掃除を誰かに頼みたくなったけど

「こんなに汚くては、恥ずかしいから、頼む前に掃除をしておかなきゃ」

などと考えてしまう私には、とても同居なんて無理。

気疲れしてしまう。

 

 

件のイギリス人知人に

「他人がいると、夫婦で思いっきり怒鳴り合いもできないじゃない」というと

「だからいいんじゃない」

と言われた。

なるほど・・・・・・。

 

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