鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

鈴木信夫の「詩集」

これまでに出版した詩集は                                                     「マイナスからのスタート」(2001年文芸社)                                           「君に いい風 吹きますように」(2004年神奈川新聞社)                                               「生命いっぱい」(2007年神奈川新聞社)                                                      「こころのごちそう」(2012年神奈川新聞社) の4冊と                                                    浅田美知子さんとの共著の絵手紙詩手紙                                                                   「風のように花のように」(2010年 日貿出版社)                                        があります。ホームページでも紹介していますのでご覧下さい。                                               

未熟だけど、未熟だから

2021-01-18 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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どの世界でも、達人とか名人と呼ばれる人がいます。
そういう方々でも「まだまだ修行が足りない」とか「もっと上を・・」とおっしゃいます。
ということは、どんな世界にいても人は未熟なのです。
未熟だからこそ努力するのです。

この詩手紙のコメントは
「誠実にいくことから、ひとは始まるものだと思います。」


          未熟だけど、未熟だから
                                     2010年5月

未熟だけど、それなりに生きたいのが人なのです
未熟だから、支えになるものをさがすのが人なのです

白い風が吹き、白い波がたつ
その中を繰り返し、繰り返し、越えてゆく
強い風が吹けば、勇気をふるいたたせて
その中でひたすら、こらえるしかないけど
優しい風が吹けば、優しい気分になり
その中を軽やかに走っていける
生きたいように生きたいのだけど
うまくいかないのが、この世の中
なぜかといえば、それは-
吹き下ろす風、吹き上げる風
まっすぐ吹く風、まわる風
そっと揺らす風、舞っている風
風は、その時によってちがうから
生きるというのは、そういうものらしいのです
日々を生きるのがせいいっぱいの私にはわかります
今日吹く風、明日吹く風
過去から吹く風、未来に吹く風
心の表面を吹く風、心の奥に吹く風
風は、その時によってちがうから
生きるというのは、そういうものらしいのです
生きるのが厳しいのを知っている私にはわかります

未熟だけど、それらしく生きたいのが人なのです
未熟だから、頼りになるものをさがすのが人なのです

   詩手紙2010.5.20
   
コメント
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作品を引用するとき

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