鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

鈴木信夫の「詩集」

これまでに出版した詩集は                                                     「マイナスからのスタート」(2001年文芸社)                                           「君に いい風 吹きますように」(2004年神奈川新聞社)                                               「生命いっぱい」(2007年神奈川新聞社)                                                      「こころのごちそう」(2012年神奈川新聞社) の4冊と                                                    浅田美知子さんとの共著の絵手紙詩手紙                                                                   「風のように花のように」(2010年 日貿出版社)                                        があります。ホームページでも紹介していますのでご覧下さい。                                               

不自由だからこそ

2021-01-12 | 
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鈴木信夫の詩手紙の作品から

絵手紙作家の浅田美知子さんとの絵手紙・詩手紙の交流は2年を超えて
続いており、このころは、ほぼ毎日1編の詩をつくっています。
できるだけ鈴木信夫らしい詩を選び、詩手紙そのものを見ていただき、
そこに書き加えられたコメントを紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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障害を持っている人は感覚が鋭くなると言われます。
目の見えない人は耳が人の何倍も良く聞こえるそうです。
身体が不自由な人は、物事を、そうでない人とは違った受け止めをするのでしょう。

今日ご紹介する詩手紙の詩はそのことをテーマにしています。
コメントにはこう書いています。
「不自由だから、見えることを、どう伝えるか。
 伝えるには、どんな言葉がいいのか。よく心を見ることにします。」


        不自由だからこそ
                                 2010年5月

不自由だからこそ
見えないところが見えることがある
つらい人の胸の内が
かなしみ人(びと)の胸の内が
それが私の中にあるのを知っているからか
それが私を悩みの中につれだすからかもしれない
不自由だからこそ
思いがけないところが見えることがある
にくしみ抱えた人の胸の内が
あいされたい人の胸の内が
それが私の中にあるのを知っているからか
それが私を悩みの中につれだすからかもしれない
不自由ということは
自由の女神には見放されたかもしれないけど
不自由の女神はそばにいるみたい、そういうことだと思います
そして、「あなたを不自由にした、そのお詫びです」
とでもいうように-
たくさんの出会いをつれてきてくれるようです
言い聞かせる、不自由だからこそ

   詩手紙2010.5.17
   
コメント
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作品を引用するとき

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