郷が杜備忘録

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老人支配国家 日本の危機(エマニュエル・トッド著)

2022-03-26 | 読書

エマニュエル・トッドさんの著作を読んだ。

2021年11月20日発行であるが、中の論考は以前に発表されているものである。

目次を上げると、

Ⅰ 老人支配と日本の危機

Ⅱ アングロサクソンのダイナミクス

Ⅲ 「ドイツ帝国」と化したEU

Ⅳ 「家族」という日本の病

と分けられ、その中にまた2~3の論考があります。

トッドさんの考察は、専門の「家族構造」から読み解くことが多いです。

「絶対核家族」=親の遺言で相続者を指名、子供は早くから親元を離れる、結婚すると独立・・・英米

「平等主義核家族」=平等に分割相続、結婚すると独立・・・フランス、スペイン、イタリア

「直系家族」=長子相続、親子関係は権威主義的、兄弟間は不平等・・・日本、ドイツ、韓国

「共同体家族」=男の子供全員が、結婚後も親の家に住み続ける・・・ユーラシア大陸中央部、中国、

                               ロシア、北インド、トルコ、イラン  

このうち最も新しいのが「共同体家族」、最も原始的なのが「核家族」だそうです。

「家族」を重視することで、日本の優れた社会の基礎が築かれた。

日本の「少子化」は「直系家族の病」、日本の強みは、「直系家族」が重視する「世代間継承」

「技術・資本の蓄積」「教育水準の高さ」「勤勉さ」「社会的規律」にある。

ただその「完璧さ」が日本の長所であるとともに、短所に反転することがある。

だから、今後移民を受け入れるなど"不完全さ"や”無秩序”をも受け入れることも必要ではないか、

と述べています。

論考の中には、「少子化」のほかに「核」の問題、「移民」の問題、「民主主義」、「日本の天皇・女性」

などもあり、これからの日本を考える上での参考になる意見がありました。

コメント (2)
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