現代の世界を理解する入門書、「西洋の敗北」の最良の手引きという触れ書きで、本書を読んだ。
トッド氏は、フランスの歴史人口学者・家族人類学者。「政治学、経済学ではわからない現代の混迷を人類学が説き明かす」と表紙裏の説明にありました。
目次を並べると、
1 日本から「家族」が消滅する日 E・トッド
2 ウクライナ戦争と西洋の没落 E・トッド+片山+佐藤
3 トッドと日本人と人類の謎 片山+佐藤
4 水戸で世界と日本を考える E・トッド
5 第三次世界大戦が始まった E・トッド
2023年3月に発行されたものです。
なかなか通常にマスメディアから発信されているものとは違った見方であるので、そんなことがあるのかと思う点もある。でも文藝春秋にも出てたりするのだから、通常に一般には目にすることができるものである。
「西洋の敗北」という本が出ていて、それの手引き本である。
目次にもあった、「トッドと日本人と人類の謎」というところは、トッド氏の著書「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」についての二人の議論の内容になっていています。このなかに、トッド氏の著作はハラリの「サピエンス全史」と似たもののようですが、ダボス会議では取り上げられないものだと言われています。
現代の世界は、トランプ氏の言動により迷走させられていますが、これがこのまま継続するのかは、まだ時間をおかないとわからないと思います。
引き続き、トッド氏の著作や他の方のものにも、目を通していきたいと思います。
ロッキード事件の発端はコーチャンの証言、そして田中逮捕は1976年7月27日、もう49年になる。
この本は米国の国立公文書館や大統領図書館などで発掘した文書をもとに、新たな視点からロッキード事件を読み直したものである。
第2章 中曽根事務所から「米政府ハイレベルの圧力」
第3章 ニクソン大統領辞任から田中逮捕へと連鎖
第4章 中曽根幹事長から米政府首脳へのメッセージ
第5章 三木首相「自民離脱、信問う」示唆、米政府に密使
第6章 CIAから「日本の政党」への資金提供と児玉誉士夫
第7章 日本に米国製兵器を売り込むために
第8章 日本政府高官への黒いカネを暴いて急ブレーキ
第9章 考察ー本当に「田中角栄は虎の尾を踏んだ」のか?
最後の考察で、「田中が逮捕されたのはアメリカを怒らせたからだ」という仮説が流布されていることを、考察している。
その中身は、田中が独自の資源取得外交をしようとしたとか、日中国交を推し進めたからだとか、言われているようだ。
しかし、発掘した文書などには、そうした指摘はなかったようだ。
キッシンジャーは田中を嫌っていたが、それは田中の振る舞いや言動が気に入らなかったようである。
そして、政府中枢とチャーチ委員会との間にも、不和があったようである。
まして、日本では田中首相以外の政治家は逮捕されなかった。そしてその中にはその後も政治家を続けたものもいた。米国と日本の間での真相秘匿は、その後の日米の関係にも何らかの悪影響を与えたのではないか。それが今も続いているのか、日々のニュースを見ても、気になることばかりだ。
中国の中華思想に対しての日本の対応を歴史的に振り返った本。
いままでいろんな本に書かれていたが、いまいち理解できなかったことが、わかりやすくまとめられていた。
飛鳥・奈良時代の聖徳太子や仏教受容の話。
平安時代の仏教の日本化と神道思想、鎌倉仏教、吉田神道。
江戸儒学の台頭と朱子学との戦い、伊藤仁斎と荻生徂徠。
国学の進撃、本居宣長。
幕末における儒教の復権と明治時代の国民道徳の形成。
何度にもわたって「脱中華」をはかってきた日本は、明治になって朱子学的儒教思想が復権し、中央集権の明治国家になった。そして、大東亜新秩序へと、なぜか、中華思想の復活ではないか?著者においては、これは今後の課題となっている。
田中角栄氏のロッキード事件を題材としたノンフィクションを読んだ。