Paradise Lost

地獄より光に至る道は長く険しい

映画『沈まぬ太陽』

2009-11-29 19:44:00 | 映画
今日は、映画『沈まぬ太陽』を見た。

原作を読んでいるのだが、まだ『御巣鷹山編』を読み終えたばかりだ。

その上での感想だが・・・。



原作を読んでいなければ、面白かったと思う。

一言で言ってしまえば、あらすじを紹介する映画のように感じる。
また、映画は事故を引き起こした『企業の体質』を社会に問題提議している。それが一番大きく描かれている。

ストーリーの進行を見ると、原作を読んだ事がない人を意識しているように感じられる。
時間的な無理があるため、登場人物を省略して役を掛け持ちさせている。
また、時間的な無理があるため、『アフリカ編』がぶつ切りでストーリー進行にねじ込まれている。原作を読んだ事がない人には、話が飛んで判り辛いんじゃないかな。

あと、これはいただけないのは映像。
テレビの戦隊物レベルのCG(特撮)は見ていて嫌気がさす。
せめて、旅客機の機体に光沢を与えるなどして欲しい。
冒頭の航空機事故のシーンと、会長と恩地が正月のフライトを見送るシーン以外は、要らないと思った。

また、事故の悲惨さや遺体確認の辛さが、ほとんど感じられなかった。
原作を読んだ時には、頭の中で、千切れた体や飛び散った内臓、焼けた遺体の臭いを想像してぞっとしていたし、遺体確認の場面でも、腐りかけた遺体を抱き起こす医師や、焼けて小さくなった遺体の手に頬ずりする遺族を想像して、涙が止まらなかった。
そんな読者は、この映画でシラケた気分にさせられるのではなかろうか。
原作が好きな人には、全くお勧めしない。

とは言え、まだ読み終えていない『会長室編』を読もうと言う気にはなった。

事故後の混乱の中、自己の利益の保護や保身のみに走る経営陣、政治家。社員達が必死になって遺族のために働いている時期に、贅沢三昧で、『前経営者の不始末に、何故私が責任を感じなきゃいけないのか。』と言い切る無責任さが大きく描かれている。

色々な駆け引きがありそうで楽しみだ。

でも、退屈な接待のシーンは飛ばそうかな・・・。