ニュージーランド政府はきょう3月3日、公式の決定事項として「安否不明の被災者」の救出作業を打ち切り、「遺体」の収容作業に移行すると発表しました。
さあ。 このタイミングまでずっと記述公開を控えていた記事を、きょうこそ書き記します ──。
添付の画像【=計3枚】は、今回の『クライストチャーチ(※余談ながら、ここの地名をこういうカタカナで表わし切るなら、いい加減に「イエス・キリスト」も「ジーザス・クライスト」と表記替えすべきだ、と思う。)地震』の翌朝、現場近くの非難待機所で、AP通信のカメラマンによって撮られ、世界に配信された写真です。映っている姉と弟は、カンタベリー・テレビ(CTV)の人気女性キャスターだった、ドナ・マニング女史の愛児・・・・リビーさん(18)とケント君(15)です。
ふたりの良き母親=マニングさんは、(いつものように)CTV本社のスタジオに詰めていたところを震災に襲われ、1Fか2Fでビル倒壊の災厄に遭ったのでは?とみられていました。ご亭主と彼らは(彼女が被災した!!との凶報を聞きつけるや否や)、着の身着のままで「現場」の袂まで駆け付けたのですが、近辺はナマ臭い粉煙がたちこめ、立ち入り禁止。地元救助隊の第一陣が、救出活動の初動に奔走する “さなか” でした。
かたくなに母親の救出を信じ、その長い長いひと晩を眠れず過ごした姉と弟 ─── お互いを励まし合うようにピタリと寄りそったまま、口にする言葉もなく、ただ永遠にも思われる時間の中で、ひたすら!ドナさんの無事だけを祈っています。
翌23日、早朝。 晩夏を迎えるニュージーランドの空はもう白々と明け初めていました。
地べたに座り込んだままのふたりの元へ、ひとりの女性警官が歩み寄り、ゆっくり腰を下ろします。たまたまその光景を見て、3人に近寄ったのがAP通信の記者カメラマン。父親がふたりの子供に歩み寄り、黙って肩に手をかけます。
カメラマンは姉のリビーさんが、弟のケントに「ママはいつだって超人だったわ。絶対、助かるに決まってる・・・」と呻くように言い聞かせているのを耳にします。しかしその女性警官は、やげて苦しげな(しかし、ハッキリとした)口調で、こう切り出したのです ─── 「本当に残念だけれど、お母さんが助かっている可能性は無いわ」。
泣き崩れるリビー、唇をかむケント、ふたりを強く抱きかかえる父親 ─── この3枚の写真は、リビーの「ママは超人」の言葉とともに全世界に配信されました。今回の被害者家族に関わる写真報道では、まちがいなく「世界で一番知られた、悲報」となったことでしょう。
この23日の日中には、在NZのマスコミ各社のドナ・マニング被災記事に対して、閲覧した読者らから「ご冥福を」、「早く立ち直られるよう祈ります」・・・などの
弔辞コメントが相次いでいました。 ニュージーランドでは、彼らの母親はわずか倒壊の16時間後にして、「帰らぬ人」と認識されたのです。
地元警察の当局者が公式に、「生存者がいる兆候はない」と語ったのは24日朝、この姉弟の報道から26時間(地震から42時間)後のことでした。おおかた、望みは絶たれた・・・との空気でしたが、日本国内では「タイムリミットは72時間。一刻も早い救出を」などと報じられ、とうてい、不明者家族にお悔やみを言えるような雰囲気ではありませんでした。
ビル倒壊後42時間にして、すでに「お悔やみムード」が固まっていた現地。72時間過ぎても『無事を祈る家族ら』と報じるしかない日本。
この「時間差」はナンなんでしょうねえ。単にCTV職員が1Fに居て、留学生が4Fに居たから・・・という「階数の差」以上の開きが、どこかにあるように思えてなりません。そも、日本の警察官なら、遺体を見てもいないのに、帰りを待つ家族に「残念だけど・・・」とは切り出せません。そんなことは「神のみぞ知る」!!と畏れかしこまるのが日本人のメンタリティです。
どこか、「生死の認識回路」みたいなモノ?が異なっているのかなあ ・・・・ 日本人と欧米人では。