文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

true, I'm a brilliant shade of blue, it's all because of you,

2022年05月21日 11時31分27秒 | 全般
2011年5月に担当医師から「生きる確率25%」と宣告された大病を患った。
8か月間、入院生活を送った。
2011年12月16日に完治、退院した。
退院して直ぐに京都に撮影に向かった。
下鴨神社には、まだ紅葉が残っていた。
2012年、1年365日の内、300日、京都府立植物園に行った。
春夏秋冬の植物と野鳥や蝶などの動物を撮影し続けた。
ツバキ、梅、桜、チューリップ、薔薇、花菖蒲、アジサイ、etc.
カワセミに惹かれて連日の様に撮影した。
台風襲来等で、殆ど誰もいない日も。
いつもは多くの撮影者に囲まれるカワセミを、独り占めして撮影もした。
カワセミを撮り尽くしたと思った頃、蝶に惹かれ出した。
中でも黒揚羽に惹かれた。
私たちが黒揚羽の通り道と名付けていた小道に入るなり、大音声を挙げた。
「森の女王よ、信長が参ったぞ、いざ、現れよ…」
同行者は叫ぶ
「森の女王様…」
すると、見事なオニヤンマが低空飛行で現れる。
彼は森の女王の先遣隊なのである。
程なくして、森の女王が姿を見せる。
だが彼女は殆ど静止してくれない。
一度だけ、上記の道から右に入った細い小道を歩いていた時、目の前に付き出して咲いていた桔梗に、(森の女王と私たちは名づけていたが、実は雄)彼が出現、正に、目の前に止まった。
奇跡の一瞬だった。
その翌年か数年後に、繁殖期に入った彼らが、飛翔力を雌に見せつける為に、垂直上昇を繰り返す場所があった。
水たまりの様な小さな池が在る一角である。
追いかけて、その池にかかる小さな橋を渡っていた時、左側、眼前の植物の枝の裏で、彼が交尾を開始した。
黒揚羽の交尾を見た事がある人は御存知と思うが、実に、幻想的な光景なのである。
私は、以前、ハス池に在るアジサイの葉陰で、彼らが交尾している一瞬を撮影した事がある。
実に幻想的な光景だった。
だが、今回は違ったのである。
彼は、数年間、追い続けた私に、「私が撮りたかったのでしょう…思う存分、撮らせてあげる…」とでも言っているかのように、私を見ながら、いつまでも、いつまでも交尾を続けていたのである。
3代の母娘が通りかかった。
憑りつかれた様に撮影している私を見て、彼女達も、彼らに気が着いた。
「まぁ、珍しいわね…何て美しい…」
実に感じの良い祖母、母親、妙齢の娘さんだった。
私と3代の母娘との間で、当意即妙の会話が弾んだ。
「娘さんを私の嫁に頂けたら私は死んでもいい」
呵々大笑。
彼女達が去った後も、私は撮影を続けた。
彼らの交尾は永遠に続くかのようだった。
その時である。
私に憑きものが落ちたような感覚が生じた。
「この世は生殖が全てである」とでも形容したらよいだろうか、そんな感慨が訪れた。
その日を境に、私の京都府立植物園通いが止まった。
この稿続く。
数年後の桜の季節、まだまだ撮り足りないと感じていた時、植物園の見事な桜を思い出した。
以来、以前に比べれば、雲泥の差ではあるが、花々の開化と共に、再び訪れだした。
メインは薔薇園だった。
今年は、今までで一番早く撮影を開始した。
もう撮り尽くしたと思っていた。
昨日は薔薇の香りを味わいに行こうと、本欄の作業を終えて直ぐに、親友を誘って、京都に向かった。
時間を節約する為に、セブンイレブンでおにぎり等を購入し、車中で食べて向かった。
今まで見落としていた場所から観覧を開始した。
見事さ、美しさに驚いた。
薔薇の香りに浸る為に行ったはずが、撮影の連続となった。
驚いた事に400枚超の撮影枚数である。
まるで彼らの精が宿ったかのような、奇跡的な写真と言っても過言ではない。
帰途のバラ園に、これまでに聞いた事の無いカラスの異様で凄まじい鳴き声が響き続けていた。
これは尋常ではないぞ、と、声のする場所に向かった。
野鳥を観察、撮影するのが趣味と思しきご婦人が夫を従えて、異様な鳴き声を発し続けているカラスにカメラを向けていた。
程なくして、そのご婦人が、「ああ、そうか、ここに子供がいたからだ」といって、横の小さな灌木の中にいたカラスの子供を発見した。
同時に、向かいの枝で、別なカラスが子供に餌を与えていた。
「私から子供を守る為に、あんな凄い声で威嚇し続けていたんだ。枝を揺らし、食いちぎって、投げつけてきたりして、いやー凄かった…」

いつもの帰り道、森の女王の通り道である。
二匹がいた。
全く停止してはくれなかった。
諦めかけたら、一匹が目の前に現れた。
子どもだった。
黒揚羽も子育ての季節。
帰途を進む。
薔薇園に最初に来た日に、見事なブルーの黒揚羽がいきなり現れてくれた場所
にさしかかった。
彼は、全く予想外に現れてくれたのである。
一瞬の事だったのだが、奇跡的に撮影できた。
私は、この写真を、Reina del Cidの♪Candy Apple Red♪に添えて、世界に発信したいと思った。

Candy Apple Red - Reina del Cid and Toni Lindgren  






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