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習近平、3選で逆に「失脚」が近づいた…不動産バブル「崩壊」で中国経済は大ダメージ!

2022年10月28日 12時36分47秒 | 全般

以下は今しがた発見した長谷川幸洋氏のツイートからである。
@hasegawa24
習近平、3選で逆に「失脚」が近づいた…不動産バブル「崩壊」で中国経済は大ダメージ!
https://gendai.media/articles/-/101482
「転落の始まり」になる可能性 長谷川幸洋
中国の習近平総書記(国家主席)が、国の最高指導者として3選を果たした。
「権力の座」は安泰なように見えるが、逆だ。むしろ、失脚への道を開いたのではないか。
「台湾奪取」をはじめとする重要課題は、どれも自らの墓穴を掘る可能性が高いからだ。


習近平はいま、最高の気分だろう。自身の3選だけでなく、最大のライバルだった李克強首相を無役に追い落とし、大勢の子分たちも引き上げた。共産党大会では、胡錦濤前総書記まで会場から追い出した。「これで、当分は自分の権力が脅かされる心配はない。あとは課題の達成に邁進するだけだ」。そんな思いであるに違いない。

ところが、それこそが「転落の始まり」になる可能性が高い。日本の岸田文雄政権も7月の参院選に勝利した後「黄金の3年間」などと言われたが、あっという間に支持率が急落し、いま危機の渦中にある。頂点を極めれば、後は下っていくしかない。

私の手元に「チャイナ・デイリー」という中国共産党の英字日刊紙がある。中国共産党大会が最終日を迎えた10月22日、自宅の郵便ポストに投函されていた。これまでも何度かあったが、関係者が配っているのだろう。

中国の組織的な動きが、日本でも活発に展開されている証拠である。それはともかく、配られたタブロイド判の国際週刊版、10月21〜27日号は全32ページのうち、スポーツ欄などを除いて、実に23ページを共産党大会特集に割いていた。

見出しを紹介すれば「中国共産党は国家を再興の次の段階に招き入れた」「台湾統一は歴史的使命、揺るぎない公約」「より良き世界の安全保障を推進」「世界中の友好国と指導者が画期的な党大会を称賛」といった具合である。全編、自画自賛に満ちていた。

それは当然だ。だが、真の問題は、習氏が語らず、中国のメディアも報じなかった部分である。習氏が10月16日の党大会政治報告で多くを語らなかった部分にこそ、習氏自身と中国の運命がかかっている。

不動産業がボロボロに…
中国が抱えている内政上の最大の難問は、不良債権問題だ。日本のメディアも大きく報じているように、コンクリートの骨組みだけで建設が中断しているマンションの無残な姿が、それを象徴している。

中国の不良債権問題は昨年7月、不動産開発大手の恒大集団の経営危機が表面化して、発覚した。この時点で、同社が抱えた債務は約33兆円とされ、同社は結局、12月に事実上倒産した。
経営危機はその後、不動産業界全体に拡大した。9月12日付の英エコノミスト誌は「少なくとも28社が投資家への支払いを中断し、香港証券取引所は上場している不動産開発会社30社の株式取引を停止している」と報じた。

建設が止まったマンションは、どれくらいあるのか。公式統計はないが、9月25日付の英ガーディアンは米格付会社、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)社の推計を基に「約200万戸」と報じている。

中国のマンション購入も、日本と同じように住宅ローンを利用するのが一般的だ。買った人は代金を頭金とローンで支払ったはいいが、建物は完成する見通しがないので、ローン支払いをボイコットする動きが広がっている。前例のない事態だ。

日本と異なるのは、多くの開発業者が完成前物件を売って得た資金の大部分を、すぐさま次の物件開発に投入していた点である。次の物件が売れない限り、先に売った物件を完成させる資金はない。ネズミ講に似ているので「ポンジー(ネズミ講)・スキーム」と呼ばれている。
先のエコノミスト誌によれば、不動産開発は7月、前年比45%も落ち込み、新規住宅販売は29%減少した。不動産関連業界は単に開発業者だけでなく、家具など消費財から鉄鋼、建設資材に至るまで幅広い。

統計自体がいい加減なので、信用できないが、中国の国内総生産(GDP)の約2割は不動産関連とされる。中国経済全体に悪影響を及ぼしているのは確実だ。中国は18日に予定していた7〜9月期のGDP統計の発表を延期した。「落ち込みが予想以上だったので、党大会への悪影響を懸念した」という見方が出ている。

習近平政権が招いたバブル崩壊
習氏が不動産問題をどう認識しているのか、と言えば、党大会演説では、わずかに次のように触れただけだった。

〈我々は、都市に引っ越しして永住権を得た地方居住者の法的な権利と利益を守る。そして法に基づき、自発的で、購入された権利と利益の移転を促進する。我々は、農業と地方の金融サービス体制を支援し保護する。…「住宅は住むためのものであって、投機のためではない」という原則にしたがって、我々は賃貸と購入双方を支援する多様な供給者とさまざまチャンネルを投入して、住宅システムを構築するために速やかに行動する〉
習氏が「投機」と言ったのは、中国では住宅を1軒だけでなく、2軒、3軒と買う人々が多いからだ。まさに住むためだけでなく、投機の手段になっているのだ。エコノミスト誌によれば「家計は資産の7割を不動産に振り向けている」という。

評論家の石平氏は「中国の経済学者がよく引用する数字に、いまや中国には『全国に34億人が住める住宅が出来上がっている』というものがある」と指摘している(「高橋洋一氏との対談本「経済原理を無視する中国の大誤算」、ビジネス社)。人口の2.4倍だ。
上海では、住宅価格が「サラリーマンの平均年収の59倍」というから、あきらかにバブルだ。バブルを生み出したのは、税収欲しさに大量の土地使用権を売りさばいた地方自治体とマンション・ブームを煽った開発業者、それを放置した中央政府の責任である。

だが、バブルを崩壊させたのは習近平政権だ。

習政権は「3つのレッドライン」と呼ばれる開発業者に対する規制(総資産に対する負債比率と自己資本に対する負債比率、短期負債に対する現金比率)を導入して、締め付けを強化した。さらに、新型コロナに対するゼロ・コロナ政策もバブル崩壊に寄与した。

消費者はロックダウンで住宅に閉じ込められ、身動きできず、住宅モデルルームの見学にも、銀行にも行けなくなってしまったからだ。とても家を買うどころの話ではなくなってしまったのである。

ゼロ・コロナ政策を止めるのか、といえば、そんな気配はない。習氏は党大会で新型コロナ対策について、短くこう述べた。

〈突然の新型コロナ勃発に対応して、我々は何よりも人々と彼らの暮らしを優先して、外国からの侵入と国内での再発を食い止めるために、ダイナミックなゼロ・コロナ政策を徹底的に追求した。…我々は責任ある大国としての中国の義務を世界に示した。…ウイルスの拡大を防ぐために、我々は全面的な人民戦争を発動して、人々の健康と安全を最大限に守った。そして、疫病対応と経済・社会発展の両面で、とてつもなく勇気づけられる偉業を成し遂げたのだ〉
そうだとすれば、不良債権問題の出口どころか、経済が通常軌道に戻るかどうか、も新型コロナ次第の面が強くなる。習氏を批判する横断幕の掲示に続いて、トイレの落書きも報じられたが、ゼロ・コロナ政策が続けば、国民の不満は高まるだろう。

ますます困難な道を歩むことに
それから、何と言っても、ロシアによるウクライナ侵略戦争の行方だ。ロシアとウラジーミル・プーチン大統領の運命は、習氏の求心力に直結する。9月23日公開コラムに書いたように、ロシアが敗北し、プーチン氏が失脚すれば、プーチン氏に肩入れしてきた習氏への批判が高まるのは避けられない。

ところが、習氏はロシアについて演説で、どう言及したかと言えば、ただの一言もなかった。ロシアのロの字も、プーチンの一言もない。自分の運命にネガティブに関わる可能性が高くなって、何かを語ろうにも語れなかったのである。
そのうえで、台湾問題である。習氏はこう語った。

〈台湾問題の解決は中国人の問題であり、中国人によって解決されなければならない問題だ。我々は最大限の誠意と努力によって、平和的統一への努力を続ける。だが、我々は武力(the use of force)の放棄を約束することは、けっしてない。我々は必要なあらゆる手段(all measures necessary)をとる選択肢を保持する〉
習氏は台湾を奪取する夢をあきらめないだろう。だが、足元の国内情勢は揺らぎ、盟友のプーチン氏も失脚する可能性が高まっている。言い換えれば、習氏はますます困難な道を歩むことを宣言したのである。

不良債権問題と新型コロナ、ロシアの戦争。これらで、いずれも習氏は失敗した。台湾奪取だけが成功する保証はない。冒険に失敗すれば、習氏はもちろん、中国自体の運命も暗転するだろう。

 



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