以下は前章の続きである。
コータッチの読みが外れて英国が大陸を切った。
日本と同じ。
大陸が大嫌いだった。
それでEUを出てしまった。
当初は「なんて馬鹿をやったんだ」という英国民自身の反省する声ばかり出た。
「もう一回、国民投票をやって正したい」とか。
スコットランドは分離し、ウェールズも倣う。
英国はばらばらになるとか終末気分の話も出たが、ときが経つにつれて彼らは辛気臭い独仏と縁が切れて清々している実態が見えてくる。
天を仰いだ嘆きもよくできた演出だったみたいだ。
その証拠にテイム・ヒッチンズ駐日英大使は「日本は英国を一度もEUの中の英国と見たことはない」と昔からの誼を語り、日本の対英投資を期待すると語った。
そして悪態の百もついてきたコータッチも先日のジャパンタイムズで「日英の絆を再評価する」の見出しで英国がいかに日本を高く評価し、相互に信頼があるかを切々と訴えていた。
趣味の嫌味は脇に置いた。
実際、日本は過去、英国にずいぶん助けられた。
日露戦争では英国はロシアを孤立させ、米国の反日悪宣伝を抑えた。
あの勝利の幾ばくかは英国のおかげだ。
戦後、日本が米国に抑え込まれ、エネルギー資源に餓えているのを見て原子力発電を提供したのも英国だった。
結果、米国は軽水炉を日本に解禁せざるを得なくなった。
それに日本はまだ英国に学ぶことも多い。
英国は戦勝国なのに実は日本以上の酷い自虐史観で潰れかけていた。
天井知らずの手厚い福祉が財政を破綻させていた。
今の日本と同じだった。
それをサッチャーの時代にほぼ10年で克服してしまった。
日本はそれを学び、自虐の枷を外す。
英国はEUからの自立に成功し、大陸に搦めとられてきた日本の歩む道筋を示して見せる。
すごくいい話ではないか。
(2016年9月1日号)