イスタンブール秘話3

2005-12-28 23:38:04 | トルコ旅行

朝、フロント前で落ち合う(大石はラクが身体に合わなかったため瞼が異様に腫れていた)。まず、あちこちのATMで金を下ろせるか試すが、全滅。両方ともクレカの根本的な問題に起因しているので、まあ諦め半分ではあったらしいが。で、気が付けば9時過ぎ。することが無いので線路沿いに公園へ向かっていると、左側の露店が終わる辺りで突如憑き物がおちたように「やっぱ逃げるか」ということになって、引き返す。

まず、両替商で大石の金二万円分をトルコリラに換え、二人でわける(残りの日本円は帰国後の移動費用などを想定していたのだそうな)。大急ぎでホテルへ戻り、出立の支度をする。この時、(翌日の)帰りの飛行機が11時であることを考え、アジア側へ潜伏することに決定。大量の洗濯物を頼んでいた赤坂はフロントにそれを持ってきてもらうよう頼んだ後、(幸いにも)かなりまとまった状態の荷物を整理してすぐフロントへ。時計を見ると9時15分。大石はまだ下りてきていない。

そこでロビーに行き作戦を練る。移動の仕方はすぐ決まったが、それだけでは不安だ。何しろホテルの場所は割れているのだ。チェックアウトしたと知った奴らが周囲を、特に桟橋のあるエミノニュを探す可能性は決して少なくない。そこで思いついた。それを逆手に取ればいいのである。ホテルまでわざわざ来て行き先を聞くようなら、そしてもしホテルの側が答えようものなら、それが奴らにマイナスに働く仕掛けを打てば万全だ。ならば、最も効果的な仕掛けは何か?ありきたりだが、違う方向に行ったと思わせればいい。だが、あまり遠くへ行くフリはだめだ。間抜けにも次の日の飛行機で帰ると奴らに言ってしまったため、少ない可能性ではあるがブラフと見破られる危険がある。ならば、それを回避しつつ最も有効な(=時間が稼げる)虚偽の行き先はどこか?彼はすぐに思いついた。ヤロワだ!イェニカプからヤロワにフェリーで行ったと思わせればいい。エミノニュとイェニカプなら反対方向だし、利用者も多いので探すのに時間がかかる。

そこで大石が下りてきた。赤坂の用意の速さに驚いているようだった。赤坂は大石に計画を話した。そして、フロントの傍でイェニカプ―ヤロワ間の話を始め、フロントの人間にイェニカプ発のフェリーの時間帯を聞いた。これで仕込みはできた。後は洗濯物を受け取ってチェックアウトするだけだ。だが、その時もう9時20分を回っていたのだが、洗濯物はまだ来る様子が無い。すぐにでも出たい赤坂は焦れ始めた。一分いや一秒ですら惜しい。ここでフロントの親父に催促する。親父は洗濯物を取りにいった。もうできているならなぜすぐに行かないのか!!親父がこちらの事情を全く知らないのは重々承知していながらも苛立ちは隠せない。そしてさらに気を立たせることには、取りに行った親父が戻ってこない。それは通常なら分レベルでしかないのだが、今は死活問題。赤坂は本気で洗濯物を放置していくことを考え始めた。もう鍵を返してチェックアウトは済んだ。今着ている服をあと二日着る事も目前のリスクに比べれば微細、と。9時25分を目処に(洗濯物を置き去りにして)出立するよう決めたが、幸いその20秒くらい前に黒いビニール袋に入った洗濯物を持って親父が現れた。赤坂は簡単に中身を確認すると、すぐホテルを出た。(続く)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« イスタンブール秘話2 | トップ | 本と気まぐれ、ブギーポップ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

トルコ旅行」カテゴリの最新記事