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ドイツ旅行 五日目:中世犯罪博物館 前半

2021-02-22 11:28:28 | ドイツ旅行

「これは最新のマッサージチェアですか?」「いいえ、拷問器具ですよ。」と運転手の松井さんも言ったとか言わないとかいう伝説の椅子がこちらです。

 

画像がちっさいんでなんかツボ押しありの椅子みたいに見えますが、実はトゲトゲしてるんだよなあ((((;゚Д゚))))ガクガク

 

あ、申し遅れましたがここは中世犯罪博物館であります。当時の拷問器具とかが紹介してある場所やんね。中世の裁判については以前「動物裁判」のことをホイジンガの絡みで紹介したことがあるけど、時間軸的にはその前にここを訪れたわけでやんすよと。

 

なお、この博物館はそもそも個人の所蔵品であったものをニュルンベルクの拷問展示会を範型として整理・拡大していき、今の形にいたっている。耳目を集めるのは数々の拷問器具や犯罪を罰すものに使われた品々だが、元々所蔵者が文書管理人だったこともあって、旧い文書や絵の所蔵・展示も少なくない(というかその方が多いくらいだ)。

 

以下にその具体例を挙げる。

 

 

光の反射で見づらいが、犯罪ではなく決闘を描いたものだ(下二つは馬に乗っている)。右上の盾(バックラー)を前に突き出してへっぴり腰になっているのが妙にリアルである。なお、見学者が女性ばかりで構成されていて、花束を渡しているのも興味深い。まあこういう感じで貴族の女性と騎士のロマンスが生まれ、ミンネジンガーなどに題材とされたのだろう。

 

 

こちらは日本語訳もついてるのでわかりやすいが、罰金刑や恥辱を与える名誉(剥奪)刑の紹介となっている。名誉剥奪が刑罰!?と思われるかもしれないが、入れ墨などもその一種であると言えば、日本にも類似のものが存在するため理解しやすいのではないだろうか。

 

まあ頭の悪そうな品物を身に着けさせて晒し物にするのは絵面だけ見るとギャグにすら見えてくるのだが、その結果としてコミュニティから冷遇・迫害されるといった「追加ダメージ」があったであろうことを思えばバカにできないものだったのだろう(ついでに言えば、日本中世の話ではあるが、笑われただけで市中で切りつけさえし、さらにコミュニティの人間が殺傷されたことで復讐の連鎖が起こっていたような面子を重んじるメンタリティからすると、それ自体が実際に大きな精神的ダメージとなって当人を苦しめたケースも少なくないのかもしれない)。

 

 

幼稚園児の落書きかな(・∀・)?

 

 

左側は妊婦が手首を柱にくくり付けられ、髪を切る+むち打ちに刑に処されているようだ。上半身裸で身体の赤い痣が痛々しいが、女性が笑っているのは画力がないからなのかはたまた何かしらの意図があるのか・・・ちなみに右側はキリスト教の聖杯や聖書を手にしたユダヤ教徒への刑罰で、目隠しをして手を縛られた上で絞首台に吊るされている場面。幼稚園児並の画力によって恐怖よりも笑いが勝ちそうな絵面だが、謎なのは絞首刑と思しき場面なのに刑罰の重さについて議論・決定している点だ。一体何を決める必要があったのだろうか?この辺あまり詳しくないので今度調べてみたい。

 

 

ということでシビアな内容だけど笑ってしまいそうになる絵を見たところで、最後はこんなを紹介したい。なるほど~、もじもじ君は中世ヨーロッパに由来してる、はっきりわかんだね(すっとぼけ)。

 

これは夫婦間で争いが生じた時、決定的な証拠がない場合に戦ってケリをつける(どちらが勝ちかを決める)場面。腕力に勝る男性が穴に入り、女性は穴から出た状態で雌雄を決する形式をとっており、それぞれの勝ちパターン(最上段真ん中なら女性が男性にフロントチョークをきめている)が紹介されている。

 

当たり所が悪ければ大けが(下手すりゃ死亡)もあったろうと思われるが、いかんせん着ている服がマヌケ過ぎてどうにも真剣勝負に見えないんだよなあw

 

というわけで画力って大事なんだな(小並感)と痛感しつつ(まあ「写実的であることに意味を見出す」こと自体が一つの価値観・文化的ミームに過ぎないって話もあるんで、これもいずれ考えてみたいテーマではあるが)、他の展示物に目を向けるムッカーでございました。


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