なぜVtuberが流行るのか?:日本におけるコンテンツ産業とメディアミックスの構造

2024-03-09 11:33:44 | Vtuber関連

 

 

 

これは「なぜVtuberが(特に日本で)流行るのか」という題名の動画だが、日本におけるアニメ業界の起こりと構造的特徴から来るメディアミックスを頻繁に行う背景、またアメリカや韓国との作品制作の構造の違い(ある種の職人気質が温存されやすい要因)などが述べられており、大変に興味深い。

 

こういったものは、今まで雑に文化論的な話で片付けられがちだったが、産業構造論や社会経済学(経営社会学やデュルケームの社会分業論などと絡めてみるのもおもしろい)といった視点で見ると非常にクリアになる部分があり、かなり興味をそそられる内容だった。

 

特に今は「セクシー田中さん」問題の背景にメスが入り始めたばかりだが、単に日テレやその下請け制作会社、あるいは小学館のみに問題をフォーカスすべきではなく、そもそも日本におけるメディアミックス自体の構造やその強み・問題点を明らかにすることが重要だと思う。これは「『神国思想』とその変遷:辺土から小中華へ」でも述べたように、日本を先進地域から遠く離れた「お辺土」と捉えるか、はたまた独自進化を遂げた素晴らしい地=「神国」として讃えるといった極端な二項思考が問題なのであって、他者と比較しながら強みと弱みを同時に理解・対処していくことが肝要と言える。

 

なおこの動画では、強みと弱みが裏腹な関係にある場合も多く、単純に弱みを発見してそれを解消すれば良いというわけでもないらしい、という点にも言及している。微妙な(割り切れない)部分はきちんと微妙なままに説明している点は信頼がおけるところだ。

 

また韓国とのコンテンツ産業のベクトルの違いについては、日韓で人口が倍以上違うという内需の規模に準じて語られるのはこれまでもよくあったが、その違いが今どのような結果を生んでいるかについては、例えば2023年に取り上げたジャニーズとBTSの違いなどに関する松谷創一郎の対談動画を改めて参考にするのも有益だし、あるいは分業化の不得手さを、メンバーシップ型雇用との関連(業務が無計画な形でシームレスになりがち)で考えることもできるかもしれない。

 

というわけで、様々な問題意識をブリッジするのに参考になる動画なので、後編にも期待したい。


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